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国家の将来のビジョンを描いた上での国防や国益の議論がなされていない昨今。注目を集める国際政治学者とナショナリズムをテーマにした作品を世に送り出してきた作家が、トランプ時代の日本の針路を考える。
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Posted by ブクログ 2020年05月13日
猪瀬、三浦両氏による対談。都知事が小池氏となり、トランプ大統領誕生半年後に出された本で、東京オリンピック誘致や森友学園問題、稲田防衛大臣時代の日報問題にも触れられている。猪瀬氏は、明治以降の歴史や全共闘に参加した体験を基に話されていることが興味深かったし、三浦氏は、政軍関係や憲法問題など自らの研究テ...続きを読むーマや当時のテレビ出演、セミナー、勉強会での話題や母親としての視点からの意見が印象的であった。社会は国民国家が中心的アクターであって、健全なナショナリズムの必要性と、現在の状況を的確に読み解いていくリアリズム的な基盤を持つことの重要性をわかりやすく説明しており、参考となった。猪瀬氏の「まえがき」と三浦氏の「あとがき」が素晴らしく、感銘を受けた。 「(三浦)そもそも、大学には「軍」とか「戦略」と名のつく研究をすることすら、憚られる雰囲気があります」p28 「(自衛隊)陸海空が戦前の日本軍みたいにタテ割になっているから、それぞれ予算が既得権益になっている。だから本来は国家防衛戦略を作成して、既得権益を一度解体しないといけない」p34 「軍人だから戦争をするのではなく、専門家だから戦争を抑止できる能力があると考えなければいけない」p37 「(戦後の日本)要するに「お国のため」あるいは「人のため」という人と、無責任に批判したり揚げ足取りをしたりする人たちとの戦いだったのではと思っている」p104 「(猪瀬)国民国家にとって言語と伝統文化は重要な要素で、そこにしか拠り所はないと僕は思っている」p122 「(三浦)戦後を否定する気はありません。パブリックマインドのある自律的な個人が育てばよかったのにと残念に思っているのです」p156 「(猪瀬)森鴎外の発想の根底には「国家は形式である」という考えがあったと思う。形式の一角が崩れると、たちまち秩序は崩壊する、と述べていた」p183 「(三浦)日本人は誰かのせいにして生きてこられたから、全体で負荷を共有するとか、それができなければ選択を迫られるといった考え方がピンとこないのかもしれません」p221 「「お受験ママ」というのは、たしかに出世はもたらしてあげられるかもしれないけど、本当の実力や志は育てられないのです」p230
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