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カニバリズム(人肉嗜食)は人類の根源的タブーのように思われながら、実のところその痕跡は古来より無数に残されてきた。著者の専門は中国でありながら、古今東西の記録・小説を博捜し、ときに舌鋒鋭く、ときに諧謔と皮肉をもってカニバリズムを縦横無尽に論じる。人間の薄っぺらな皮膚を両手で思い切りめくり上げ、曝し、目を背けたくなるようなものを直視することで、「近代合理主義精神」なるものの虚構を暴き、「良識」を高らかに嗤いとばす。人肉嗜食、纏足、宦官……。血の滴るテーマで人間の真実に迫る異色の作品。
...続きを読むPosted by ブクログ 2020年09月24日
澁澤龍彦の序がまずよい。残虐や攻撃=動物性、友愛や連帯=人間性と一般的にイメージされてるが、むしろ逆なのでは?という定義。道具の発明は力の均衡を壊し、バランサーであった動物的本能が働かなくなり、同類殺害が生まれた。だから、カニバリズムは人間的な行為なのだという完璧な導入。
本文で好きなところの要約...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年06月15日
概ね食人を介して考える文明論というか中国文明論だった。
食人のタブーというものが虚飾であり「糞リアリズム」の前にはなんの意味もないという話はなんとなく分かる。
こういった、つきつめると意味の分からないタブーは人間社会の中に多いものだなともう分けです。カニバリズムを文学的テーマとしている作品は多い。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月01日
以下4点がキッカケで読む事になった『カニバリズム論 』(中野美代子)
❶『フォギーフット2』(紗与)読んでて出てきたワード【カニバリズム(人が人の肉を食べる事)】が気になり、
❷⑴『ロビンソン・クルーソー』(デフォー)で、主人公が無人島生活をしている時に、カニバリズムな野蛮人が描かれていたシーン...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年10月24日
社会学・哲学の本ではなく、文学に属する評論的エッセイ集である。
「カニバリズム」つまり人肉嗜食に惹かれる著者は澁澤龍彦などと通じる傾向が見られるが、澁澤なんかよりもずっと学識豊かで、冷静なまなざしを持っている。
中国の文学と歴史に詳しい著者の記述は、中国について非常に疎い私から見ると魅力的で、なかな...続きを読む
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