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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 大和型戦艦主要全写真+大型図面。 主要論文4編+松本ノート。 カラー口絵「海底に眠る大和」「海中の戦艦長門」 「呉市海事歴史科学館展示の『10分の1大和』建造経過」 「特攻出撃前の大和の最後の姿」
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Posted by ブクログ
大和型戦艦の設計思想と造船技術について深く知ることのできる本。設計に携わった技術将校である著者が,敗戦時の焼却命令にもかかわらず私蔵していた資料をもとに執筆した文章に,大和ミュージアムの所蔵写真・図面等を加えた,非常に史料価値の高いものになっている。 一般書籍としては,戦艦大和の技術面の記述がこれ以...続きを読む上詳細にわたるものはないようだ。大和の戦歴や乗組員の生活・運命,そちらにより興味がある人には少し退屈かも知れないが,機械や技術に目がない人なら夢中で読破すること請け合いだ。 例えば防御の設計では,直接防御(装甲)と間接防御(水密区画と注排水)についてそれぞれかなり詳しい説明を加えている。砲弾と爆弾と魚雷で艦の被害様相がどのように異なるかや,あの41cm厚の舷側甲鉄の傾斜の決め方など,膝を打つ情報が満載でとてもためになる。(ちなみに大和型では,装甲の設計条件は舷側では距離20km,甲板では30kmからの射撃に耐えることとしたそうだ) ユトランド沖海戦の戦訓から至近に着水した砲弾も大きな威力を維持することが分かり,それが甲鉄を水線下まで延ばす設計に繋がったこと,また逆に着水後も威力を落とさぬよう砲弾の被帽に工夫が施されたことなど,攻撃と防御のせめぎあいの中で作られていった技術史としても興味深い内容が多い。 空前絶後の攻撃力・防御力を備えた大和型戦艦の技術を記した第一部のほか,第二部では開戦前に帝国海軍が経験した技術的問題についても大きく扱っていて興味深い。 著者の松本氏も究明に関わった昭和九年と十年の事故がそれで,前者が水雷艇友鶴の転覆事故,後者が特型駆逐艦初雪の切断事故だ。 友鶴は兵装の重量過大のために重心が高くなってしまい,荒天の中,復原力不足により転覆に至り,ドックに曳航されるも浸水により百名が殉職,生存者は13名。艇内の壁面等には「天皇陛下万歳」などの遺書が多数見られたという。 初雪は台風の大波により強い縦曲げがかかり,強度不足によって艦首から1/4の位置で切断され,その艦首部は沈没,殉職25名という惨事を起こしている。波の波長は艦長と同程度の100-150m,波高がその約1/10という想定外の厳しい海象だったとはいえ,初雪を含む第四艦隊の他の艦も大きな被害を受け,海軍関係者に大きな衝撃をもたらしたそうだ。 ともあれ,これらの事故の教訓に基づいて,海軍艦艇の安定性と強度の見直しが急遽行われた。 失敗に学び,その後の改善につなげるという,技術の発展になくてはならないサイクルが,明治以降きちんと回ってきた一例であろう。
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