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シェイクスピアとは誰なのか。別人、合作、それとも……。彼の存在が謎めいているのは、その作品の偉大さゆえでもある。片田舎から行方をくらませた無学な男は、いつのまにかロンドンで天才的な詩人・劇作家へと変貌を遂げた。才能が花開いたのか、誰かが成り変わったのか? シェイクスピア研究第一人者の東大教授が、演劇史上最大の謎を解く! 『謎ときシェイクスピア』改題。
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Posted by ブクログ 2018年05月03日
上司からの頂きもの。シェイクスピアとは実際誰だったのかということに諸説あるとは知らなかったし、どれももっともらしい論拠があって、そこらのミステリーより面白い!
Posted by ブクログ 2021年04月01日
別人説を、一見トンデモな見解のものも一つずつ解きほぐしていく面白さがある。肖像画、胸像、改めて見ると、なるほど!?ん!?の繰り返し。歴史を証明する文献の読み解き方として楽しく読める。
Posted by ブクログ 2016年06月06日
「田舎の公立学校を出たか出ないかわからないような学歴で、しかもずっと役者業に携わっていたのなら執筆のための勉強も調査も取材もする暇などなかったはずだ。それなのに、すらすらとこんなすごい作品を書けたはずがない。どうしてそんな芸当ができるというのか。一体、シェイクスピアとは誰だったのか。」(p.50)...続きを読むというのがこの本のテーマ。「シェイクスピア別人説」として七人の候補が挙げられ、それぞれの主張の根拠、強さを様々な記録から探っていく。そして最後に、著者の結論が述べられる。 ロンドンでは「シェイクスピア作者問題」についての修士課程があったり、アメリカでも「シェイクスピア作者問題研究センター」があったりするらしく(p.9)、当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、日本では考えられない程大真面目に「シェイクスピア学」という学問分野として成り立つのがすごいと思う。 ただ、その熱の入れように付いていけず、当時の劇作家や役者たちの色々な話が出てくるが、正直あまり興味が持てず、仔細に追うことができなかった。やっぱりある程度シェイクスピアを読んでるとか勉強した人じゃないと興味が持てないのかもしれない。 それでも、シェイクスピアの生きたエリザベス朝の時代について書かれた第二章は面白いと思えるところがいくつかあった。イギリス国教会が定められてから、カトリックが弾圧されるなかで、シェイクスピアが親カトリックの家系で育ち、沢山の近い人が処刑されるのを目の当たりにした、というのはシェイクスピア作品を読む上で知っておいてよい知識だと思う。「敵国スペインの宗教カトリックが棄権しされたイングランドにおいて、カトリックの環境で育ったシャクスペアが学んだことと言えば、面倒に巻き込まれたくなかったら自分の正体を隠せということだったのではないだろうか。」(p.177)そして、結果として「謎めいた人物となった」というのは納得できる。また、同じように現代と違うことで、重要なことしては、劇作家の地位、作者や著作権に対する考え方の違い、という部分だろう。「客を呼べる台本ができさえすればいいので、誰が書いたかはさほど問題にされなかった時代だった」(p.266)という部分は、指摘されないと気付かない。いったん戯曲が作者の手を離れてしまえば、劇団が戯曲を管理し、あるいは出版社に金が入る。そして劇団は厳しく戯曲を管理し、「役者たちに台本を配らなかった」(p.285)。そして「自分の台詞だけを書きつけた巻物(roll)を持って稽古したため、十七世紀初頭のフランス語(rolle)を経由して、役のことをロール(role)と呼ぶようになった」(p.285)というところは、英語好きとしては最高に面白い部分だった。 細かい部分はともかく、最後は納得のいくというか、安心できる結論になっていた。(16/06/06)
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