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「男と張り合おうとするな」醜女と呼ばれながら、物書きを志した祖母の言葉の意味は何だったのだろう。心に芽生えた書きたいという衝動を和歌が追い始めたとき、仙太郎の妻になり夫を支える穏やかな未来図は、いびつに形を変えた。母の呪詛、恋人の抑圧、仕事の壁。それでも切実に求めているのだ、大切な何かを。全てに抗いもがきながら、自分の道へ踏み出してゆく、新しい私の物語。
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Posted by ブクログ
展開が素晴らしい。 引き込まれて、一気に読んだ。 読みながら、「書きたい」という想いと「才能」の間に あるヒリヒリするような乖離やせめぎあい。 また、人が人と関わり、近くなればなるほどに見せられる あまりに酷い一面。 それを読み止めることなく、一気にラストまで読ませて 苦しい中にも、光る希望を見せ...続きを読むてくれるのが 角田さんの凄いところだなぁ、と改めて思う。 何度も何度も読み返すたびに、歳を重ねるごとに 違う味わいを感じさせてくれると思われる 大事な一冊に出会えた。
うわーーー中盤すごく頭が重くなった。 本当にいろんなことを考えながら読むことになった。 これを読んだ大事な人と感想を言い合いたい。 でも大事な人にこの本を読んでもらうのが怖い。 ちょっと自分の考え方が和歌と似てるかも、と思って、 若干の危機感を抱いた。 そんな感覚も、大学生の時の和歌みたいだなと自分...続きを読むで思う。 うわーうわーうわー、面白かった。もう一回読んで、自分の言葉できちんと感想にしたいけど今はこんな言葉たちしか出てこないな。。。
やはり俺が尊敬して敬愛する偉大なる作家先生である 角田光代様の作品! とても面白かったです。 読んでいて、どの人物にも自己投影できないんだけど そこは、さすがの文章力でどんどん読み進められました。 なんとも感想を書くのが難しいのですが、 文庫本の最後の解説で津村記久子が書いているのが 本当にその通り...続きを読むと言った感じでございました。 本編を読む前にこの解説を読んでからだと めちゃくちゃ読みたくなるかもしれません… この解説の最後がまさにこの小説を表しているので抜粋します。 「精一杯生きること」よりも価値のあることなんてあるんだろうか。 「自分の人生を生きる」気概とは何か。 この小説は、「生き方を教えてあげる」という本より精細に、どんな先人の知恵よりもフェアに、そのことを教えてくれる。 読む人の心に、小さいが簡単に消えない生きる勇気を灯す。
すごい本を読んでしまった。角田さんは大好きなのに、このタイミングまでこの本を読んでこなかったが、今がそのときだったのだと思った。解説がこれまた大好きな津村記久子さんで、まさに私得。 主人公の和歌が母親に「あんたはおかしい」と言われるところは、自分の昔の記憶と重なって一度ページから目を離す必要があった...続きを読む。 終盤、和歌が歴史的建造物や文化遺産を見ても物足らず、そのはずれの道を行き交う人々や雑多な様子を見て、その土地で暮らす人が見たかった、と気づくシーン。人が怖いくせに人に興味があるもいうのも、最近の私と重なった。 誰かに「あなたは普通だ。大丈夫だ」と言ってほしい、肯定してほしいという願い。おかしくないと言われないと自分が間違っているかもしれないという底知れない恐怖。そんな化け物を内側に飼いながら、それでも人との関わりを辞めずに生きていく。 和歌はこれから誰かと深く関わることができるのだろうか。私もこれから物を書いていきたいが、仙太郎の言葉が呪縛として思い出されることがあるかもしれない。そんなときに、私の支えになるものはなんだろう。 なんとなくで始めたことでも、それが思わぬ方向に導いてくれるることはある。「人は運命を避けようとした道で運命に出会う」というような言葉もある通り、今やっていることに不安を覚えても、目の前にやってきたことには真摯に向き合いたい。
本田和歌 わたしは彼女を、この物語の主人公である彼女を、自分の感情に誠実な女性だと思った。 この作品の時代背景は、ちょうどわたしが産まれた頃。 P11「1985年、200人いる和歌の学年で東京の四大に進学したのは、推薦入学をのぞくと28人だった」時代。 男女雇用機会均等法が成立した頃。 しかしまだ...続きを読むまだ、女性が寿退社をするのが当たり前の時代。 物語を追うにつれ、『オウム真理教による地下鉄サリン事件』『阪神・淡路大震災』『酒鬼薔薇聖事件』など、実際の出来事も登場し、その時代背景を強化する。 のめり込むように読んだ。 解説で津村記久子さんがおっしゃるように、この作品の面白さ、内容を人に伝えようとすると、P389「どうも普通だな、というような内容になってしまう」。 わたしはだから、「どうも普通だな」というレビューにならないよう、慎重に、作品の言葉をお借りしながら、この作品の面白さを伝えていきたい。 この作品は、本田和歌という一人の女性の、生きた証である。 この作品はフィクションであり、実在の人物や団体とは関係ないかもしれない。けれど、これをフィクションとして片付けられる根拠も、実在した人物ではないという根拠も、どこにも存在しないのだ。 和歌の恋人・仙太郎を好きになれなかった。 P22「贔屓目でなくとも仙太郎は同世代の男の子たちよりは様子がいい。昨今もてはやされている醤油系統の顔立ちで、スタイルもよく服のセンスも悪くない」。 P24「ああ、本当に仙太郎は手の届かないところにいったと和歌はやけに強く実感した。今はただ、遠い存在のはずの人が隣にいることが奇妙に思えてならなかった」。 こういう人は、憧れの人、尊敬できる人として距離をとっておくのがわたしにはちょうどいい。 そして和歌は徐々に、仙太郎がいる場所へ向かってゆく。 P122「仙太郎と対等になれると和歌は思った。もう仙太郎をまぶしく見上げなくてもいい。うっすらといつも感じていた劣等感を脱ぎ捨てたところで向かい合うことが、きっとできる」。 この、憧れの感情がない交ぜになっている恋人と並べたような瞬間は、とても嬉しい。 しかし彼は、並ぼうとしてくる和歌に対して、棘の刺さったボールを投げてくる。ボールの速さは速すぎず、変化球でもない。普通のボールなら受け取れるそのボールは、よく見るとトゲトゲしていて、和歌は受け取る瞬間いつも、取りこぼしてしまう。指に刺さった棘は、いつまでも抜けないし、いつまでも痛い。 (解説ではそれが「未必の故意」という言葉で表現されていて、さすが津村さんの解説は素晴らしい!) だから和歌は、P210「安堵の必要なほどの緊張を、何に対してしているのだろう?」と思ったし、P200「会社を辞めようかと、その日、和歌は思った。辞めれば、受けた依頼の仕事をこなす時間も増える。(中略)けれど、それを仙太郎に告げることを思うと、億劫だった」のである。 角田さんは、恋人間の、毒を孕んだ関係性を描くのがとても上手な方で、この作品においても、それが冴えわたっている。 こんなにも、人と人というのは分かり合えないものなのか。 毒親って言葉も、デートDVって言葉もない時代。 たぶん、これらは和歌のような人が必死に言葉を紡いできたからこそ生まれた言葉なんだろう。 P332「自分は母親を、未だこわがっている。叱られることを、認めてもらえないことを、罵倒されることを、まるで母親に置いてきぼりにされた幼児のようにおそれ、こわがっている」。 P337「恋人の機嫌をうかがい、笑っていれば安堵し、不機嫌なら不安になり、自分の言葉、行動、返答、笑い、何かが暴力の起爆剤になるのではないかと終始気を張り巡らせている語り手の気持ちを、和歌は知り尽くしていた」。 言葉がなかっただけで、存在していた毒親とデートDVを、一生懸命受け止めながら、生きていくということ。 P393「『精一杯生きること』よりも価値のあることなんてあるんだろうか。『自分の人生を生きる』気概とは何か。この小説は、どんな『生き方を教えてあげる』という本よりも精細に、どんな先人の知恵よりもフェアに、そのことを教えてくれる」。 とても苦しい時代だったと思う。 とても生きづらかったと思う。 そこで時代を切り開いていく芯の強さ。その芯を奪う者の存在。 時代が変わろうとする時、そこで苦しむのは、いつだって社会の最前線にいる若者だ。 社会の最前線で、時代を切り開いてくれた方々に、和歌のような女性たちに、わたしは心から感謝を申し上げたい。
「妄想のなかで生きることと現実を暮らすことは矛盾しない」 繰り返しの内省と自問自答のなかでもがき、自分の出した結論に更に疑問を投げかけ、妄想と現実のなかで自らの軸としての祖母が自ら選んだ道を歩んだという妄想に現実の希望を見出していく・・・ 複雑ですっきりと入ってくる話ではありませんでしたがじわじ...続きを読むわと心に染みるお話でした。
これは、非常に重い。なかなか、生々しいお話。しかし同世代の女性に勧めたい一冊。 憧れの恋人を追いかける姿とか、周りが見えなくなる感じとか、彼が大した男ではなかった、と認めるのも辛いし、生きづらいんだな。。 結果、自分は自分、と生きて行く姿はかっこよかった。
盛者必衰とか必衰盛者って感じの話 特にドーンって出来事があるわけでもないのだけれど、仕事と生活、がテーマのお話 「女性」が主人公、テーマの話が読みたくて手に取る なにかsns で誰かが紹介していた気がする 津村記久子さんが解説書いてるから、津村さんかな? 角田さんの作品、まだ読みたい 本が読...続きを読むめるカフェも見つけたい 忙しいぞ
3日で一気読み!面白かった 対岸の彼女を読んで興味を持った角田さん。角田さんの書く文章は力があって圧倒される。
目に見えない正しさは曖昧で脆い。多分、ないから。 恋愛は相手がいるからできること。 ではいい彼氏、彼女って? 付き合う期間が長くなってしまったり、関係が近くなればなるほど不満も増えるだろう。 歪んだ解釈をしてしまうこともあるだろう。 間違っているとわかっていても、そちらを選ぶこともあるかもしれな...続きを読むい。 そんな自分の醜さに正面から向き合えているか? みっともなくなる度に、気づけているか?
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私のなかの彼女
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角田光代
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