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著者は少年の頃、京都の禅寺で精進料理のつくり方を教えられた。畑で育てた季節の野菜を材料にして心のこもった惣菜をつくる――本書は、そうした昔の体験をもとに、著者自らが包丁を持ち、一年にわたって様様な料理を工夫してみせた、貴重なクッキング・ブックである。と同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活の荒廃を悲しむ、異色の味覚エッセーでもある――。 ※新潮文庫に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
映画『土を喰らう十二ヵ月』のDVDを観て(映画の料理監修が、土井善晴先生なので、ちょっと気になっていたのだ)気に入り、原作を読みたいと思った。 元の本はけっこう昔に出版されていたらしいけれど、映画の情報が出た頃に再版されたのだと思う。 令和3年12月10日 32刷の本。 長く読まれているのだなと思う...続きを読む。 文章のテンポがまさに映画での沢田研二さんの語り口で、いい気持ちで読み進める。 映像も目に浮かび、またDVDを見たくなる。 原作はエッセイなので、女性編集者との関係などのストーリーは無い。 けれど、映画での物語は原作の雰囲気を壊していないし、おばあさんと山椒の佃煮のエピソードなどは人物の続柄を少し変えてうまく取り入れている。 映像も、原作も良い。 一月の食料は、雪の中から掘り出したり、貯蔵庫から乾物を取り出して料理したり、旬を喰う日の楽しみはまだ。 春の芽吹きから、夏の収穫、秋の山のめぐみを経て、十二月、寂しい冬となり土も眠る。 一周して戻った。人の一生のようである。 土の恵みを採り、料理をするという作業の間、作者の脳裏にはいつも、子供の頃に寺で修行していた頃の和尚さんの言葉や思い出が浮かんでいる。 禅寺での料理作り。それは精進の日々である。 その時期ある物で作る、または「何もない台所から絞り出す」 そして、精進の極意は季節を喰うところにある。 何度も読み返したい1冊がまた増えた。
月毎に違う食材が書かれているので、どの月から読んでも楽しめる。 食を通した人との交流が丹念に紹介されているのが良い。個人的には、六月の章の梅干しの話がジンときた。
子供時代に禅寺で修行していた著者が、その教えを活かし、毎月様々な料理を作る本。 「美味しんぼ」で知った人も多いと思います(自分もその一人)。 この本には高級料理なんて一品も出てきません。 粗末なお惣菜ばかりです。 けれど、どれもこれも最高に美味しそうです。 畑で取れた旬の野菜を、手間ひまかけて丁...続きを読む寧に料理する。 それがどんなに贅沢で、どんなにありがたいことか。 作中では、以下のように書かれています。 『出来のわるい大根を、わらう資格はぼくらにはない。 尊重して生かせば、食膳の隅で、ぴかりと光る役割がある。 それを引き出すのが料理というものか。』 食材に貴賎なしということですね。 本当の意味での「ご馳走」とは、まさにこういう事なんだと教えてくれます。 じんと来る表現もたくさんあり、心を豊かにしてくれる一冊でした。 ちなみに、自分が一番心惹かれたのは、次の一文です。 『めし時になると、父は近くの山へ入り込んで、三十分くらいすると何やかや、木の葉や、キノコやをとってきてオキ火を片よせて、そこで焼いて喰った。 弁当箱には、味噌と塩とめしが入っているだけだった。 山へゆけば、惣菜になるものが収穫できるから、何もいらなかったのである。』 ああ……なんて羨ましい!!
水上勉が幼少の頃の寺暮らしを回顧しつつ、軽井沢の仕事場で一年、ぬく飯と家の畑で取れる季節の野菜、山菜、木の実などを様々に調理して味わうエッセイ。精進料理ということで、肉、魚の類はまったく登場しないにもかかわらず、その読むだに滋味豊かな食事は、四季をそれぞれに楽しみ、美味しさに溢れている。この歳になる...続きを読むと、本当の豊かさとは、ぬく飯と四季折々の素朴な汁菜のことだと気がつくものだ。随所に引かれる『典座教訓』も滋味深い。
美味しいお料理を丁寧に作るシーンが印象的な本を紹介して!とお願いして、オススメいただいた本。 口の中にじゅわっと味がする感じ。 旅行中に読んで、早く帰ってゴハン作りたくなった(*´∀`)
こんなすごい本に出会えて幸せだと思う。 食することの深み、重みを十分に感じた。 自給自足を目指す私。 何回も再読することになると思う。
はじめて 水上勉の本を読んだ。 食に対する ポリシーと言うか 信念が実に明確に打ち出されていた。 旬が 美味しいのである。 旬という言葉がある 日本の文化が 素晴らしいのだ。 それに対する 生でない 保存する という文化が 対置されている。 水上勉の生い立ちというか素性が 明らかにされて 大工であ...続きを読むる父親の 自然な食に対する 気持ち。 そして,9歳にして 寺に出され 精進料理につきあうことで 料理に対する 気構えが 実にしっかりしている。 食べようとするものに、無駄なものは 何もないのである。 ホウレンソウを 丸ごと食べるには それなりの処しかたがあるのだ。 根っこの持つ意味は 食べなきゃわからない。 いいねぇ。 大根にしても,ジャガイモにしても、皮とは剥くためにあるのだろうか。 栗の渋皮にしても。 クワイの皮さえも,剥くことで 美味しいと言えるのだろうか。 捨てることは,何かを捨てていないのだろうか。 水上勉の料理のすごさは 自分が楽しんでいることだ。 そして,自分の味への郷愁があることだ。 タケノコに対する想いが 何ともせつない。 目先のものを食べることで 精一杯だった 自分を振り返ってみた。 食べるのは 生きている限り 続けるものだとしたら 来年食べるものを 今作ってもいいだろう。 そう思える なにかが そこにはあった。 自分が生まれたときに つけられた 梅干しを 60歳の時になって 食べることができたとしたら なんてすごいことなんだろう。 そこには、不変がある。熟成と豊饒がある。 おばあちゃんの作ってくれた料理が未だに 思い出にあるのはなぜだろうか。 こんにゃくのトンガラシ煮。フナのミソ煮。 不思議な味わい。美味しいとはいえなかったが、印象に残った。 でも、卵焼きやカレーやトンカツがおいしかった。 母親が来た時に フキの料理が思い出された。 なんでフキなんだろう。くすんで黒くて、見た目にぱっとしない。 それが,なぜ母親と結びついたのだろうか。 そして、突然 チーズの味となる。 オヤジは チキンラーメンから始まり,寿がきのラーメンに発展するのも よくわからない。そして,突然に ヒレ肉トンカツに 変わるのだ。 味が 飛躍し 料理が飛躍する。 そして,豚足とホルモン焼きに たどり着き 土手鍋になる。 味は ますます濃厚になっていくのだ。 今やろうとしていたことが,クロスする。 豆腐が 面白そうだ。 ジーマミ豆腐を作ってみたくなった。 ゴマの皮をむく。 『すり鉢へ 適量のゴマを入れ、それに水をわずかにいれて、手で混ぜ,鉢の目にこすりつける。 そして、水を加えると 皮は水面にぷかぷか浮いてくる。それを静かに捨ててしまえばいい。』 ケチ という意味が 本当に 美味しいと理解してくれる ヒトが いるかどうかなんですね。
日経の春秋で「五十三年も生きていた梅干し」の話が引用されて興味を惹かれて購入。なるほど少年時代に京都の禅寺で奉公した経験を元に軽井沢で隠遁生活?をしている食と料理を中心とした月ごとのエッセイ。 『めしを喰い、その菜のものを調理するということは、自分のなりわい、つまり「道」をふかめるためだということが...続きを読むわかってくる。一日一日の食事を、注意をぬいて、おろそかにしていれば、それだけその日の「道」に懈怠が生じるだろう。』 これが全てかな。食材への感謝。そもそもの食材やそれを育てた土や風土の声を聞くこと。手間を惜しまず工夫を重ねる。それこそ『精進』料理であると。何かとコスパ・タイパが重視されがちな今だからこそ改めて噛み締めたい言葉も多い。
料理ってその人のテクニックとかを現すものだと思ってたけどそうではないのだね。 食材を大切に思う心とか、その土地に感謝する心とかが最も大切で、人間はそれをいただいているだけでしかない。 精進料理の捉え方が変わった。 定期的に読み直したい本。
水上勉が、若き日の修行僧時代に学んだ精進料理を元に、日々の食事をととのえる様をつづった異色の食エッセーである。「土を喰う」のタイトルのとおり、季節季節に土の畑で採れるものから献立を決め調理する。そこにあるのは、すべてを無駄にせずおいしくいただくという禅の教えに通じる考えである。それにしても、この本を...続きを読むもとに映画を作ったそうだが、どんな映画になったのだろう。不思議だ。
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「土を喰らう十二ヵ月」
2022年11月11日公開 出演:沢田研二、松たか子、西田尚美
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土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―
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水上勉
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