山桜記

山桜記

652円 (税込)

3pt

3.9

全七作からなる歴史小説短編集。
豊臣秀吉による朝鮮征伐の前半・文禄の頃、一通の文箱が博多の津に打ち上げられ、秀吉の許に届けられた。中の手紙は半島に渡った夫を思う妻のものであった。興味を持った秀吉はその女を名護屋に呼び寄せたが……(「汐の恋文」)。
関ヶ原の戦いの前に大坂方の人質になるのを拒み、火を放って果てた細川ガラシャ。その嫁である千代はガラシャと死を共にせず生き残った。細川忠興の嫡男・忠隆は、父の命に背き千代を離縁せずにいたため、遂には廃嫡されてしまう。しかしその後も忠敬は千代と共に暮らし続ける(「花の陰」)。
戦国時代や江戸時代の女性・夫婦の旧来の像に著者独自の新鮮な解釈を投げかける、珠玉の短編集。

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山桜記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2021年08月01日

    戦国の世を生き抜いた武将大名夫婦を主人公にした短編集。巻末解説で澤田瞳子も書いている通り、短編小説としての面白さも去ることながら、葉室小説の核心はその美しさにある。

    その美しさも絢爛豪華というものではなく、キレのある素とした美しさ。読んで心が洗われる清涼感のある美しさである。

    きちんと生きる、筋...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年04月23日

    葉室麟初の短編集で全七作。
    戦国時代、江戸時代の女性、姫君にスポットライトを当てていて、どの作品も楽しめました。
    ぎんぎんじょ、牡丹の咲くころ、汐の恋文が特に印象深かった。
    文庫ではなく単行本で読んだのですがカバーが可愛らしく印象的でした。

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    Posted by ブクログ 2019年01月01日

    武家社会の夫婦の姿を描いた、7作の短編集です。
    どの作品も、「人の心の美しさ」が感じられる良作ばかりで、解説の澤田瞳子さんも「この作品の感想は“、ああ、美しいなあ”という詠嘆である。」と書いていらして、まさにその通り。と思いました。
    個人的には、「ぎんぎんじょ」「牡丹咲くころ」が好きでした。

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    Posted by ブクログ 2020年06月27日

    戦乱の時代の中、女性が主人公の武士の妻の覚悟を感じられる7作の短編物語


    「汐の恋文」
    朝鮮出兵で半島にわたった夫へに届かなかった恋文。それが結果的に秀吉の手に。秀吉からの呼び出しに応じた菊子は秀吉に対峙します。秀吉は、菊子の身代わりとして夫の帰国を命じる。夫は帰ってくるのか?
    とても強い夫婦の絆...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年03月09日

    戦国時代から江戸初期にかけて、九州を舞台に生きた武士の妻たちの短編集。
    「花の陰」が良かった。

    男だらけの話だと文章は漢字だらけで堅くなるのに、女が入ると仮名が増えて、柔らかくなるのは必然なのだろう。
    短編は、その話の世界観に入るまでが面倒だけど、その分たくさんの話に触れられるところが好き。

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    Posted by ブクログ 2018年03月31日

    戦国時代から江戸時代初期にかけての女性、特に「妻」の姿・生き方を描いた短編7作。
    仙台藩から柳川藩に嫁いだ鍋姫の目を通して伊達騒動を扱った『牡丹咲くころ』が、特に印象深い。
    伊達騒動については、従来悪役とされていた原田甲斐を主人公に、深謀遠慮で仙台藩を守った忠義の人とした山本周五郎の『樅の木は残った...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2021年08月16日

    夫婦となると、もともと他人ゆえ心が通わねば共に暮らすのは無理でございましょう。いずれかが力を失うたからと見捨てるのは夫婦とは申しません。ひたすら心の結びつきに頼って世の荒波を渡ればならないのですから、夫婦ほど強いつながりは無いのです

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