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新宿歌舞伎町「日本駆け込み寺」代表、玄秀盛(げん・ひでもり)。彼はDV、虐待、借金、ストーカーなど深刻な問題を抱える相談者を3万人以上救ってきた。それも無償でだ。近年は出所者を雇用・支援する「駆け込み居酒屋」を始め、メディアを賑わせている。しかしこの強面(こわもて)の男はいったい何者なのか? なぜ人助けにすべてを捧げるのか? その秘密は玄の壮絶すぎる過去にあった――開高健ノンフィクション賞作家の出世作。『駆け込み寺の玄さん』改題。
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Posted by ブクログ
とても興味深く一気に読みました。 過去のやってきた事実は変えられないけど、解釈は変わってくるのだ。過酷すぎる人生で聞いた側は眉をひそめてしまうのは間違いないけれど。人は変わるんだと強く感じる一冊。そして私も強くなりたいなと思いました。
歌舞伎町の深い闇、そこで駆け込み寺をやっている凄腕の男の物語 親の愛なんてものを見たことも触ったこともない人間には、そんなもんわからんのや。愛情なんていう概念すらわからん 彼は自分からは決して喧嘩をしようとしなかった。売られた喧嘩もよほどのことがなければ買うことはなかった。何しろ彼のプライドは容...続きを読む易に傷つかなかったのだ 生きるためにものを盗って何が悪い。何もしなければ死ぬだけだ。社会道徳も、倫理も、何ひとつ俺を守ってくれなかったよ そうする以外、生き延びるために何ができる?だからええんや。何ひとつ後悔なんかしてへんよ 秀ちゃんの小便、血がでとる おれの体、おかしかったんか ヤクザより、普通の人間のほうがよっぱどこわい。ヤクザはいい。だいたいの予測がつくからな。でも、普通の人間は追い詰められると何をするかわからん。一見善良そうな臆病な男が刃傷沙汰をおこすんや がまんできない人は結局できないんです。だんだん年を取るとね、なかなか器用にはできないから ワルをやるのは、ひとりがいいわ。徒党を組むとアガリは全員と分けならんし、誰かがヘタを打つと芋ずる式にパクられる だが、17歳の時、彼は突然死のうとした 大量の市販薬を飲んで、自殺を図ったのだ 彼女たちはみなと同じだ。つぎ込んだものが大きければ大きいほど、必死になってだまされていることを否定する 未練はない?―ううん、ぜんぜん、私、今までの人生で、一度も人を信じたことがなかった 上にいたやつらがどんどん下へ落ちてきている。じゃあ、下にいるやつが上に上がれるかって?上げれるはずがない。下にいたやつは、もっと下に行く。底なし沼や。下から、上へ這い上がれへん。まともにやっていても上げれんよ。ただ下へ、どんどんどんどん下へ落ちていくだけや 人を見抜く術や―人を見るときはな、過去に照らしてプロファイリングなんかしたらあかんのや。自分のものさしを持っていると、必ず見立てに狂いが生じる。何もないまっさらな気持ちで、そいつを見る。 玄は自分を脅かす相手をそのまま放置しておくような男ではなかった。それが彼の中でのルールなのです 玄はものを所有することに何の興味もなかった。ロレックスであろうが、ベンツであろうが、同じことだった なあ、俺が何を頼りに生きてきたか知っているか?自分やで。俺のほかに何がいる? 目次 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 おわりに(文庫版のために) ISBN:9784150504748 出版社:早川書房 判型:文庫 ページ数:288ページ 定価:680円(本体) 発売日:2016年08月15日発行
エンジェルフライトがドラマ化されていたのを観てそう言えば佐々さんの作品で未読があったなと購読。 何と言うか原点と言うか。 かなりの主観が入っている様に感じるのも取材対象が人たらしと評される所以か。 人を助けることで過去の自分を救っていると言ってしまえば感傷的過ぎるのかも知れないが。 この世の彼方此方...続きを読むに玄的な人が居て救われている人もいるのだろう。 早く新作出ないかなー。
「駆け込み寺の男 玄秀盛 佐々涼子 ハヤカワノンフィクション文庫 2016年 680円」金や男女男男関係、仕事、DV、貧困などのトラブルをかけた人の逃げこむ場所を提供している実在の人物の壮絶な話。エグくて、自分の悩みが小さい物だとわかるのでこの手の本は好きだ。
人間が欲望や執着を満たし続けた時、その後には何が待っているのか。さらなる欲望と執着の連鎖なのか、破滅なのか、はたまた悟りなのか・・・。 そもそも、欲望や執着を満たし続けることができる人は多くはありません。そして、幸運にもそれを成し得た多くの人は、自らその山を降りることはなく、誰かに引きずり降ろされ...続きを読むます。 それゆえに、欲望や執着を満たし続けた時に何が待っているのか、を知ることはとても難しいことのように思います。本書は、それを成しつつも、自ら山を降りた稀有な人間に焦点を当てています。 そしてそこに著者は、欲望と執着の連鎖でもなく、破滅でもなく、悟りでもないものを見いだし、読者である我々に提示している。そんな奥の深いノンフェクション作品です。 【本書抜粋 玄秀盛】 子供ってなあ、大人よりはるかに適応力があんねんで。俺は家畜や。だから、家畜の考え方しか知らんのや。 別にかわいそうなことあらへん。なまじっか変な愛情を注がれて、それを突然取り上げられた方がずっとしんどかったやろうな。 でも、幸運なことに俺は知らんかった。 だから見える。執着なくして生きられない人間の弱さが。 ーーー
壮絶な体験記には驚きました。 でも全てがつながって、知恵のある人助けを今職業としてできているってことがすごいと思いました。
『エンジェルフライト』『紙つなげ~』のノンフィクション作家佐々涼子のデビュー?作。いまのところこの著者は外れなし。
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