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幅広く衆生の救済を目指す大乗仏教運動は、西暦紀元前後にインドで胎動し始め、東アジアを覆うほどの伝播をなして今日に至る。「釈尊の初期仏教に立ち返れ」と説く般若経を先駆経典とし、その中心思想「空」はナーガールジュナ(龍樹)によって基礎づけられた。「大乗諸仏と私」「大乗の展開」「大乗の諸相」の三部からなる本書は、「菩薩」という言葉の来歴、空の考え方、経典成立の問題など、大乗の諸側面に迫った、仏教学の泰斗最後の論考集である。仏教入門としてもまたとない書。
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