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【電子書籍特典付】コミカライズ3篇&監修者・外薗昌也氏の書き下ろし2篇を収録! この世で最も死が生まれる場所、それが病院である。 「誰もいない病室から鳴るナースコール」 「てんかん発作の原因となっていた生霊」 「病院の詰め所にやってきた男の子の正体」 「仮眠室に現れた黒いピエロ」 など、現役看護師の著者が蒐集した五十二個の体験断。病院にまつわる話だけを集めた奇譚の数々。
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Posted by ブクログ
日々人の生き死にが繰り返される病院。そこには様々なものがとどまり、渦巻いている。その一つ一つが何かしらの形を持ったとき、生きている人間にいったいどのような影響を及ぼすのだろうか……。 *** こちらも初見の方。怪談本は何冊か読んでるが、初見の人が結構多い。それだけ怪談の語り手が多いのはいいこと...続きを読むである。さてこちらはタイトルからして病院にスポットを当てた話……。だけでなく(病院多めで)いろいろな場所で起った話が52話収録されていた。病院で起った話も多いが、医療関係者が体験して聞いた話という感じかな、といった印象の一冊だった。 一話一話がすっきりまとめられているので、読みやすい。また、著者が関西方面出身者で、体験者たちも同じ地方の方々なので関西弁が随所に出てきて少しだけ怖い雰囲気を和らげているのでサクサク読めた。それでも怖い話は随分怖かったので、夜になって読んだことを後悔したほどだった。 お気に入りの話はたくさんあるが、その中でも特に怖かったものをいくつかあげていこうと思う。 「そいつや」 餅をのどに詰まらせ救急車で運ばれてきた老人とそれにつきそう妻。医師や看護師による懸命の処置もむなしく、彼は帰らぬ人となった。妻に状況を説明せねばならぬとなった時、不意に医者に呼ばれてしまった。まだ妻はいるか?など不可解な質問を繰り返す医者を不思議に思ってみていると、言い淀むように背筋の凍るような事実を告げた。 読んでいて非常に鳥肌が立った話。医者が言い淀むように告げた言葉を読んだ瞬間に全身に鳥肌が立った。ただ、背景を考えると今までたまりにたまっていたものが爆発したのだろう。きっかけは何だったのかそれはわからないが、ただ、長年一緒に生きてきて最後の最後に明確な害意を向けられるって言うのは切ない。でもたぶん、ずいぶん長い間我慢していたんだろう。恐ろしく、ぞっとする話だがなぜこんなことになるまで放置してしまったのか、救いはなかったのかということを考えてしまう話だった。 「傾ぐ人」 夜勤をしていた看護師のHさん。ナースステーションで仕事をしていると、どこからか視線を感じる。視線を感じた先を見ると、ナースステーションから見える先にある階段に、誰かいるようだ。時間が夜中ということもあり、不審者が上がってきたのかと警戒したが、微動だにせず立っているだけであった。動かないことでかえって不気味な様相のその影を更に注意深く見てみると、首を異様なほど傾いでいるようであった。明らかに尋常ではないシルエットに恐怖を感じたHさんは病院の保安員を呼ぼうと、一瞬目を離すと不可解なことに忽然とその影は消え失せてしまった。 そして更に目の前で起った信じがたい出来事に驚いているHさんに追い打ちをかけるような出来事がまっていた。 なんとも気味の悪い話だった。看護師のHさんが見た謎のシルエットの不気味さと言ったら。私は真相がわかる前からこのシルエットが何故そんな恰好なのかというのがピンと来てしまったので更に恐ろしかった。この後このシルエットがなんであるかというのがはっきりわかるわけであるが、その者がなぜHさんの前に現れたかは不明。 たまたまということもあるかもしれないが、それでも目の前に意味深に表れるのはなんとなく不気味で仕方がない。 「つくり話」 外科医として働いているRさんのお話。昔、Rさんが住んでいた町で首吊り死体が発見された。Rさんは直接死体を発見したわけでは無いが身近で起こった非日常の出来事ににわかに興奮した。 その後、成人して事あるごとにその話をするのだが、話を盛り上げるために真実ではない事も語ってしまっていた。 そして、そんな日々を繰り返していたある日、同僚と飲んでいる際その話をしていると、ぞっとするような状況を招いてしまった。 これはどう考えても語り手が悪い。苦悩の末に自死を選んだ人物を飲みの席の話のタネにして、しかも事実を湾曲して伝えるなんて。湾曲しているというか、もう完全に原型がないためもはや改ざんだ。今回は同僚がいたから助かったのだろう。多分長年事実でないことを吹聴していたせいで、いよいよというところまで来ていたんだろうな。 Rさんは直接的に怖い目にあったわけでは無いが、同僚の一言で反省し、今後は一切この話は語らなかったとのことだが、まだ取り返しのきくところで良かったよなぁと思った。 「死神以上」 面会時間はとっくに過ぎたのに、廊下を走り回るこどもの足音が何度も聞こえる。面会時間を過ぎていることを抜きにしても、病院で走り回っている子供をとがめない親にいら立ちを募らせるRさん。しかも、その子供は時折ナースステーションに少し入っては出ていくという迷惑極まりない行動を繰り返す気配があった。わざと存在を示すように音を立てて動き回る子どもを注意しようとドアへ向かうと、そのドアの向こう側にいたのは確かに子どもであったが、目を見開き口をむいて笑いながら疾走する子供の姿であった。 あまりの不気味な姿に背筋を寒くしたRさんは、この日同じく夜勤をしていたOさんに先ほど見た子供について話すと、その子供にもまつわるジンクスを語り始めた。 これもなかなかに怖い話。面会時間を過ぎた夜に廊下を走り回る子どもの足音が響き渡るのも気味が悪い話であるが、最も恐怖を感じたのはその子供の表情だ。目を見開いて口をむいて笑いながらという、普通では考えられないほど恐ろしい表情。(個人的にはフリーホラーゲームの恐怖の森に出てくるよしえのような顔を想像した)その表情だけでも怖いのに、その子供が現れたことによってもたらされる災厄も怖くて仕方がない。この子どもが現れるためその出来事が起こるのか、それともその出来事がおこるから子供が出てくるのかは分からないが、邪悪な存在であることは間違いない。Rさんはその夜以降一度もその姿を見ていないという事だが、まだこの病院には出没しているようす。どういう因果でこの病院に居続けるのかわからないが、なるべく出てこないことを祈る存在だ。 この怪談本はなかなかに粒ぞろいで面白い一冊だった。ほかにも「マナーモード」「寝言」など怖い話がたくさん収録されていた。 舞台が病院の話は多めだが、そればかりではなくバリエーション豊富だったので逆に読んでいて飽きなかった。 世の中にはたくさん怖い話や不思議なことがあるのだなという事を再確認した一冊だった。
病院の先生や看護師さん、患者さんが語る怖い話 まず表紙がこわい 頭だけこっち向いてるピエロが既に怖い そしてちょいちょい挟まれるイラストが不気味 お寺にお祓いをたらい回しにされるって絶望しかない
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