本書はハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のBGIE(Business, Government, and International Economy)というモジュールで使われている本になります。HBSで使われているということは、これからビジネス界に入る人(MBA)、あるいはすでにビジネス界でそれなりの役職についている人(エグゼクティブ)が読む本になるわけですが、章によっては多少難解な箇所もありましたが、全般的に言えば、そのような対象読者向けの本としてはわかりやすく書いてあると思います。何より一番好感が持てたのは、様々なマクロ経済指標(金利、インフレ率、為替レート、マネーサプライ)の関係性をひもときながら、最終的にはその因果関係は複雑でわからない、と正直に書いてあることです。ただし、白旗を上げているのではなく、むしろロジカルに(分析対象指標の)押し上げ要因と押し下げ要因の両方があることを示し、結果として(その分析対象指標が)どう変化するかはわからない、という記述をされています。これが巷の経済入門書との最大の違いでしょう。