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一枚の肖像画が死を招(よ)んだのか――!? 慶明大学教授・服部の依頼で市倉画伯が描いた肖像画には、拭い去れない死相が浮かんでいた。服部がその絵を手にした翌日、秘書が死体となって発見される。そして、助手の佐久田がホームから転落し、服部の娘も修善寺温泉の密室の中で変死した――。岡本綺堂(おかもときどう)の名作「修禅寺物語」と奇妙な符合を見せる、息もつかせぬ連続殺人!
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Posted by ブクログ
ひとに薦められて。 初めて読む作家さん、ふかやただきさん。 読み始めて知る…これ、シリーズだ。 『信州・奥多摩殺人ライン』(’92講談社文庫)という作品から、数学科教授助手・黒江壮&編集者・笹谷美緒のコンビがスタートしているよう。 2人の人となりを知らないのは、ちょっと残念だけれど、そのあたりは特に...続きを読む戸惑わずに楽しめた。 真面目なミステリ、という印象。 好奇心旺盛で事件にしゃしゃりでるタイプの探偵ではない。 今までにも事件を解決してきたのは、壮の“趣味”、“習性”らしいのだけれど、被害者のひとりが自分の都合のためだけに美緒たちの事情を構わずに事件解決を依頼してくると、ぴしゃりと「そんなことをしている時間がない」と断る。 とりあえず、“警察”をおすすめする、大人の対応。 自ら、探偵だと威張ることも、そういう意識もない。 オトナ~。 でも、キャラクタが薄いというわけではなくて、壮と美緒はきっちり、ホームズとワトソンの役回りとなっているし、無口で何を考えているかよく分からない壮と、てきぱきしっかり者の美緒のやりとりは微笑ましい。 とはいえ、この2人のやりとりだけに焦点をあてすぎていないところが、この作品のまじめバランスをとっているのかも?? 岡本綺堂の戯曲、「修善寺物語」に出てくる、夜叉王は源頼家に頼まれて、面を作り、それに“死相”を見る。 そして、その面を持って帰った晩、刺客に襲われ、命を落とす…。 周三は、夜叉王と同じように、才能があり、“死相”を見出したのだろうか? 服部啓吾の周りで起きる事件。 啓吾の悪い評判。 過去に起きているトラブルの数々。 事件の真相は、いかに?? トリック?自体はそんなに奇異を狙っているわけではないものの、ラストは切なく、物悲しく、しかし、けして後味は悪くなかった。 なかなか面白かったので、他の作品も、読みたい。
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