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【第38回すばる文学賞受賞作】父と二人で出かけた七歳の誕生日旅行。「サイモン」という人物を想像するゲームで一緒に遊んだあと、父が船上から姿を消し、ぼくはたったひとり、夜の海に取り残された。湖のある小さな町で暮らす伯父のもとに引き取られたぼくは、大学卒業後に港町に出て、水産物加工場で働きはじめる。楽しみは週に一度のアイスホッケー観戦だった。二十代最後の年にぼくは偶然、サイモンそっくりの人物と遭遇。やがて、中古車販売を営む「サイモン」のもとへ週末ごとに通い、ガレージで過ごすようになっていく。だがある夜、突然「サイモン」が、ぼくと父しか知らないはずの言葉を口にして――。時間と空間を自在に交差させながら、喪失の果ての光を繊細に描き出す、新しい才能の誕生。
...続きを読むPosted by ブクログ 2015年10月31日
装丁に惹かれて借りた本。次作が楽しみな作家さんの一人になった。江國香織さんが「手ざわりがある」とコメントしていたのも分かる気がする。
主人公の言葉や身に起きる現象が誰かとリンクしていたり月を骨に例えたりしていて面白いし、夜の空気や時間の流れ、月明かりと人の歩み・・・そういったものを感じて穏やかな気持...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月25日
7歳の誕生日に船に乗って、父はそれっきりいなくなった。
消えた父の面影を残したまま、貧しい叔父に引き取られた僕は
湖がある寒い街で少年時代を過ごし、大人になって港で働くようになる。
そこで盗難車や事故車を売買している男は、
かつて少年と父だけが知っていたサイモンそのものだった。
サイモンが語っ...続きを読む
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