Yes We Can、バイマイアベノミクス、実はこれ全てスピーチライターが書いたもの。本書を通してはじめてスピーチライターなるものの存在を知った。空気で物事を決める日本人にとってスピーチは空気をかき乱すだけのものであり、集団の意思決定技術としては有効ではなかった。論理ではなく深夜まで飲み合う「つきあい」が重要であり、つきあいで築かれた強固なつながりの前ではスピーチは所詮、言葉遊び。ところが、バブル崩壊以降、終身雇用が崩壊し仲間の転職が当たり前となり、付き合いのリソースが役に立たなくなってきている。つながりの薄い社会で本領を発揮するスピーチは、つながりが薄くなり続けていく現代にあって益々その重要性を増している。本書ではスピーチライターの役割、仕事、スピーチライティングの具体的事例が縷々紹介されている。スピーチライター恐るべし。