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インドに発した仏教は、長い時間をかけてわが国へと到達したが、伝播の道筋で土着の思想と習合し、本来の思想から大きく変容した。この結果、「死者儀礼」「死者に対する〈仏〉という呼称」「霊魂の存在」など、現代に通じる誤った仏教理解が生じる。こうした誤解に塗れた日本人の仏教観を叱り、「仏教=無神論・無霊魂論」の主張を軸に、正伝の仏法を説く。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
幸か不幸か、自分は特定の宗教を信仰する者ではありません。仏教やキリスト教の根本的な思想が、どのようなものであったかということに興味は抱いても、宗教というものは、時を経て伝播する過程で、人間の素朴な心情に根ざす土着的な思想と結びついたり、政治や権力に利用されたり、そのほか様々な事情で、本来の教義からか...続きを読むけ離れ、変容していくものだという考えから、宗教のあり方そのものに対しては少なからず懐疑的です。ですから、この本も興味本位で手に取りました。 著者の龍珉老子は、青年時代にキリスト教の求道者になられ、後に禅の道を志して印可を得られた方だそうです。また、禅者鈴木大拙老子の高弟でもあられ、西田哲学をも学ばれた、修行者としてだけでなく、学者として宗教哲学の核心をも追及された方のようです。 本書では〝梵我一如〟という認識は仏教ではない。仏教は〝無神論〟である。〝無我の我〟こそ仏教の根本である。と書かれています。そもそも一般的に使われる〝宗教〟という言葉は、神の存在を念頭に置いた〝re‐ligio〟が語源となっており、その意味からいうと、仏教は宗教ではないともおっしゃっています。が、その一方で、親鸞の教えとキリスト教の共通性にも触れられています。 仏教用語が多用されていて、なかなか理解しづらい箇所も多々ありましたが、とても興味深い内容でした。
とても難解な仏教本。「どうしてこうなるのか分からない」どころではなく、「何が書いてあるのかさっぱり分からない」レベル。ただ、日本の葬式仏教とは異なる、本来の仏教の教えについて書いているのは分かる。 難しい本ではあったが、本来の仏教は輪廻を「否定」しているのではなく、輪廻を「前提としない」というスタン...続きを読むスだという解説は分かりやすかった。輪廻は、古代インドでは誰もが信じていた土着の信仰であり、ブッダといえども輪廻を無視して説法を行うことはできなかったが、その説法は、輪廻がなくても成立するように構成されている、ということだと理解した。すなわち、仏教徒は輪廻転生を信じても信じなくてもどちらでもいいのである。(私はもちろん信じていない)
インド→中国→日本と伝わっていくにつれての仏教の変容について。それ自体は悪いと思わないけど、ルーツは知っておいたほうがよいな、と思わされました。現代キリスト教と黎明期のキリスト教が異なるのと同質の問題だと思います。
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