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亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
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Posted by ブクログ
星4.6 めっちゃくちゃに面白い。 ミステリとしての面白さもあるし、物語の落とし所が素晴らしい。大傑作。 米澤穂信さんなら、メディアミックスの観点からも「氷菓」が代表作と謳われがちだが、私は間違いなくこれこそ至高と思っている。 ※新しめの作品は未読だが。 「氷菓」も、もちろん素晴らしい作品。 ...続きを読む この「ボトルネック」は、大学生のときに読んで、とてつもない衝撃をもらった作品。 2016年一冊目の読書。 失敗は許されない、という謎の思い入れから、間違いないだろうと手にした作品。 大学生の頃、衝撃を受けたものだから大筋はわかっているし、衝撃はラストだからラストも記憶にあった。 それでも尚、ほぼ完璧といっていい面白さ。 星5.0にしないのは、まだ見ぬ読書体験に期待を込めて、のこと。 一年の計は元旦にあり。 最高の幕開けを飾ってくれた。 もう元旦ではねーけど。 元恋人を弔うために、彼女の死後2年経ったあと、ようやく整理のついた主人公は、彼女が死んだ東尋坊へ向かう。 そこで妙な感覚に陥り、気を失い目が覚めるとそこは、自分の生まれなかった世界線。 そこでは自分が生きてきた世界では存在しなかった、生まれてこれなかった姉が存在して… もし、自分の家族において、自分ではない人間が生まれてきたことにより、自分が存在していなかったら、どう世界は動いていたのだろう。 世界といっても、それは身近な話であり、身近な人たちの運命がまるで違うことになっている。 バタフライエフェクト的発想ではあるが、自分が生きてなければ…その当事者が自分でなかったとしたら…という「別の」現実が、これでもかと主人公に襲いかかる。 ネタバレになるので、そこまでは突っ込まないが、何より魅力は展開のスピード感。 これが素晴らしい。 やっぱ、無駄が無いのが一番だよ。 速読でもできない限り、結構な時間を食われるのが読書なわけだから。 いくら読書好きだとしても、そこそこ時間かけてクソを浴びせられたらしんどくない? 私はしんどい。 忙しい中、時間を食われても楽しい時間を、そして心地よい読後感を味わうために期待を込めて読書をしているわけだ。 その点、この「ボトルネック」は素晴らしい。 道中、先が気になって手が止まらない感覚。 退屈させない展開のスピード感。 そして、落とし所。オチが完璧に決まる。 そのラストは、展開的に完璧なのだが、その表現がほかに無い読後感をもたらしてくれる。 ある電話からのメール、それで表現したラストが完璧。 そのときの主人公の心情とその後を想像すると… どのベクトルの読後感かはネタバレになるので書かないが、一旦、主人公がどうなるのか、というオチはラストページの手前で主人公自身の台詞で明かされる。 ただ、それは主人公の望みであって、どうなるのか、というより、その選択をとるのか、というものである。 最終的に、その選択をとれるのか、は、その数ページ後、本当の最後の最後にわかるが、その幕引きが鮮やか。 ちなみに、私はラストが秀逸と書いたが、そのラストをわかった上で、主人公の終盤の心情を汲み取った上で、スクーターに二人乗りしたときに主人公が抱く、ある気持ちが特にグッとくる。 家族、というものを考えさせられて、最高だった。 あらすじ程度までしか知らないままで読んでいただきたい傑作である。
不意に感じる自分の生きづらさや呼吸の苦しさの正体がわかった気がした。 読んでからずっと好きな本です。
SNSでも「救われないミステリ」として紹介され、興味があった分期待も大きかった。 所謂パラレルワールド物で、賛否はあるだろうがSFミステリとしての完成度や著者が伝えたいメッセージが渾々と伝わってきた。 ラストの一文が主人公の人生をどう左右するのか、想像しながら誰かと語り合いたくなる、極限まで心理に迫...続きを読むる作品。
「最後の一行」が強調される意味がわかった 成程、読み手によって心に重く響くのか軽やかな気持ちになるのかで分かれそう 私は最初は前者、色んな解説読んで後者もありと思った 一から複数の可能性を見出す系の思考力で殴るSFミステリ 軽くて重かった
好きです。こういう終わり方。
崖から転落したと思ったら 気がついたときには元の世界にどこか似た 異世界に飛ばされていた 僕の代わりに”姉が生まれた異世界”では 何もかもが上手くいっていて、 もしかしたら”僕の存在”が周りを不幸にしていたのかもしれない・・・ “この事実”を目の当たりにしたとき 僕は何を思うのか? これまで...続きを読む通りに暮らすことができるのか? あまりにも主人公に厳しい事実が 次々と明らかになり、 『自分の存在を否定されているような展開』に 打ちのめされそうになりました・・・ さらに『ボトルネック』というどこか不穏なタイトルを 作品全体ではっきりと表現されていて ただ暗いだけの作風じゃないんだなと感じ、 私としては好みの作品でした!
最初の方は別の世界に存在する姉とのやり取りが面白く、キャラに魅力を感じていた。 しかし読み進めるにつれ不穏さを孕んでいき… 「自分」についてよく考えせさせられ、考察のしがいのある作品。
崖から落ちて亡くなった恋人を追悼するために東尋坊を訪れたリョウ。 だが、自らも不意に崖から墜落してしまう。 目を覚ました先は見慣れた金沢だったが、自宅には産まれるはずのなかった姉が存在。 「ここは並行世界なのか?」 元の世界に戻るため奮闘する二人だったが次々に明らかになる事実の数々。 その先に待っ...続きを読むてるのは希望か絶望か? …………….。 残虐的ではないグロテスクを実感… 分岐点で選んだ道が正しいか否かはわからないので普段考えないが、もし自分の選ばなかった道の結末がわかってしまったら… 優れている人と自分を比べ羨むことは“ありふれた”ことだが、もし比較し羨む対象が並行世界の優れた“自分”だったら… SFだからこそなせる技に心を抉られました。
恋人を東尋坊での事故で失った過去をもつ機能不全家庭で育った主人公が、再びその地を訪れたとき、パラレルワールドへと飛ばされてしまう。そこにあるのは産まれる運命にはなかった姉の存在、そしてその友人として存命の恋人の存在であった。 元の世界と迷い込んだ世界における「異なる点」や「同じ点」などが明らかにな...続きを読むっていく中で、明るみになっていく恋人がなぜ主人公に惹かれたのか、そして恋人の事故はどうして起きてしまったのかが伏線回収とともに丁寧にかつ若々しく描かれていた。 タイトルにもある「ボトルネック」、元の世界において機能不全の両親、失ったどうしようもない兄、失った恋人と失うことが多かった主人公が迷い込んだ世界での出会いを通して気付いた「ボトルネックの正体」とそれに対する主人公の行き着いた答えには若者らしい共感点がある。 青春ものファンタジー作品として大切な「行って」「帰って」くるプロットの中で帰るときの原動力となった主人公の思い、そして「帰って」きた元の世界の主人公にとっての見え方をラストシーンで感じ取って欲しい。
知りたくない、知らない方が良いことがある。ツラい。つらすぎる。元の世界に戻るも、戻らぬも選択は厳しい。 儚い羊たちの祝宴につながるストーリー展開を感じ、確実に力量が上がったなと、読み終えて最初に思ったのは、そのことだった。そんな評価をするほどの力量もないが、継続することの重要性を感じた。
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米澤穂信
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