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『放浪記』で戦前の文壇に登場し、一躍時代の寵児となり、戦後に怒涛のように作品を生み出して彗星のように去った林芙美子。高度経済成長とともに早熟な才女としてデビューし、『恍惚の人』『複合汚染』などで流行作家となった有吉佐和子。二人の「女流」作家が駆け抜けるように生きたそれぞれの「昭和」とはどんな時代だったのか……。過剰なまでに個性的で生命力にあふれた人間像を鮮やかに描く。
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Posted by ブクログ
林芙美子と有吉佐和子について書かれた本。読み応えあり。 林芙美子が亡くなったときの円地文子のコメントが優しい。 『林さんは幸福な人ですね。失礼だけれども、実物よりは写真顔の方がずい分よく、実際の人より小説の方がずっとよろしい。死と一緒にわるいものは皆なくなって、よい所だけ残ることになった。』 関川さ...続きを読むんの有吉佐和子に対する一文(文末部分) 『有吉佐和子は「女流」という言葉を生み出すシステムとよく戦った。みずからの早熟さという宿命と善戦した。しかし53歳の晩夏の一夜、ついに燃え尽きた。彼女は、夏休みの間に級友に別れも告げずにどこか遠くへ去った「転校生」のようであった。』にそうとう泣けました。 有吉佐和子の「女二人のニューギニア」は好きです。 それから今「放浪記」を読み中です。
林芙美子についてしばらく読んでいたのでこれも。 関川夏央氏のものを読むのははじめてだけど、読みやすく、おもしろかった。「放浪記」時代の話だけでなく、流行作家になってから晩年までの話も知ることができて、なんとなく林芙美子の全体像がつかめた気が。 有吉佐和子についてもすごくおもしろく読んだ。有吉佐和子は...続きを読むわたしはかなり好きで以前よく読んだのだが、人となりはあまり知らなかったので興味深かった。帰国子女で、中国とも関係が深く、ニューギニアで暮らしたこともあるとか。同時代の友人として若いころの小澤征爾の話とかも興味深かった。 これまで、評伝ってほとんど読んだことがなかったけれど、評伝っておもしろいんだな、と。 あと、なんとなく、昭和が遠くなるなあ……とか思ったり。
小説のような、ドキュメンタリーのような、不思議な文章で、知らない間に引き込まれました。 つくづく作家というのはアブナイ人なんだなあと痛感。 林芙美子は好きな作家ですが、有吉佐和子は『女二人のニューギニア (1969年)』以外読んだことがなくてあまり知りませんでした。人民公社のエピソードはちょっとトホ...続きを読むホですね。
ところでこの本を登録しようとしたら登録入力のコンピュータ・ミスか値段が「3・50円」になっていたのだけれど、林芙美子の時代にもどっちゃったのかな(笑)。林芙美子と有吉佐和子の人生の一部分を切り取っている。ちょっとしたミステリよりもおもしろい。
根津に、新しいブックストアがオープンしたという記事を読んで、独自のカテゴリ棚でおもしろい紹介をしてるらしいというその本屋さんに、Kくんとでかけてきました。 落語とか、森まゆみさんとか、町の紹介とか、割引の本のコーナーもおもしろいのが選んであって、狭いけどおもしろい本屋さん。 私的にヒットだったのは、...続きを読む林芙美子の放浪記とか、色川武大の狂人日記とかと一緒にこの本があった小さなコーナー。この時代の本、好きなのです。こんなふうにこの本と出会えて、ラッキーでした。 本、おもしろかった、一気に読んでしまいました。ふたりの生きた様子が細かく紹介されてる。読みたかった本。「本人たちはそんなことになってたのか」と、息を呑みながら読みました。林芙美子の「書かばや、進まばや!」というのが、かっこよくて、自分の今のテーマとして掲げることにした。 女流って、そういう括りについて有吉佐和子もいやがったというけど、女流と言われてむっとくる感じもわかる、だけど女流という括りでこのふたりのことが1冊の本に入って読めたのがすごく得心のいくまとまりで、女流ということばの表す流れが、成す規模がぜんぜんちがうとはいっても、自分の中に流れてるのを感じてしまう。食べていく方法を見つけて、それが自分だけのものであってほしくて、道を切って拓いていくためにがんばっちゃう感じ。本人としてそれは当たり前のこととしてやってるんだけど、まわりからすると「女流」っていうなにか特別な覚悟みたいなものを感じてしまうという、腹立たしさ。だけど確実にある自意識。 それが自分の中にも流れてると感じることは、うれしいことじゃないし、同時に誇らしいことでもあるような、振り払いたいけど振り払えないような、消せない、強いもの。どうしてこれを男子は持たないのか?それこそが謎、という感じ。 ふたりの、死の姿までがちゃんと描かれていたのが、この本の秀逸なところだと思います。仕事をして、どうやって生きて、というのが、そこに表れざるを得ないのは、当たり前だと思った。めちゃめちゃで、あきれたり、目を背けたいような面も多いけど、放浪記も、複合汚染も、こんなふうに生きて、そんな書物をこの世に成したということが、かっこいい、やったね、という感じ。 解説が、いまひとつ・・・この本を読む女子の興奮がわからんか、という感じでちょっとざんねん。それから、筆者がどうしてこのレポを書いたのか、書かなきゃいけなかった理由を、読者としては読みたかったな、そこにも呼応できるともっと嬉しかったかなと思ってしまいました。ので星4つにしたよ。
林芙美子と有吉佐和子の評伝。関川夏央の書くものは何でも好きなのだけれども、林芙美子と有吉佐和子についての基本的な知識が欠けている(特に有吉佐和子については、ほとんど何も知らない)ので、内容自体は楽しめなかった。
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