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昭和十九年六月孤立無援の東部ニューギニアで味方部隊の再来を信じて籠城した日本軍兵士十七名。熱帯雨林の下、飢餓と悪疫、そして掃討戦を克服して生き残った四人の男たちのサバイバル生活を克明に描いた体験記。敗戦を知らず、十年間の“生存”に挑んだ逞しき日本兵のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
十年間ニューギニアで潜伏生活をした元日本兵の記録。 軍事を知らなくても楽しめる。 そもそも殆どの部分がサバイバルの記録。 原住民すら行かないような所で生活するのだから並大抵の苦労ではない。
もともとサバイバルのノンフィクションが好きだ。その中でも、終戦を知らずにジャングルで隠れ生き延びた旧日本兵の話に興味があり、数冊選んだうちの1冊である。 一言でいうと、すさまじかった。感動した。 著者を含む日本軍17人は、ニューギニアに終戦直前に派遣されたが、敵の爆撃を受けてジャングルに着の身着のま...続きを読むま逃げ込んだ。そこから隠れながらのサバイバル生活が始まる。山に畑を作り、狩りをし魚を釣り、家畜を育て、現地人と交流し、現地語を覚え、監督者に発見されるまでなんと10年もの間、山奥に生き延びたのだ。 当時ろくなツールもないのに、著者たちの記憶だけを頼りに書かれた本書は克明な記録である。激しいマラリアや、終戦前には敵の銃撃を受け、仲間は次々と亡くなっていった。壮絶な苦労の末に山での生活に慣れ、食料の調達も改善していったが、彼らの心にあるのは母国だった。 最初の戦争の部分はあまり面白くなく、小さいフォントに挫折しそうになったが、サバイバル生活6年目くらいに現地人と知り合い、交流を深めるようになってからの描写がなかなか面白かった。 現地の官憲に日本に送り返されることになり、終戦を知った時の衝撃はいかに。それにしても、希望を捨てない彼らのメンタルの強さには感動した。日本に帰れて本当によかった。
感動の一作! 見知らぬ土地で、いつ敵に襲撃されるかも分からない、食料確保の手段もない、常に側にあるマラリアの脅威、次々と力尽きていく仲間たち… こんな激動の環境の中、小屋を作り、狩りをし、敵地に潜入し食料を確保し、農園を開拓して生き延びた姿勢は圧巻の一言。 生き延びようとする力はこんなにも強い...続きを読むのかと思わされる。 いまの自分も死ぬ気でやれば、なんでもできるのではないかと思わせてくれた。
日本に生還してから30年以上も陽の目を見ることもなかった手記。 おもしろいといえばあまりにも不謹慎ですが、冒険記としても第一級の資料で、500ページ以上ありますがグイグイ読むことができます。 ニューギニア戦は特に悲惨を極めた負け戦であったにもかかわらず、指導した軍の参謀や司令官を激しく非難した言葉...続きを読むはほとんどなく、10年間のジャングル生活を飾らず美化せず、事実を事実として落ち着いて描いているので、読後感は清々しいです。
これはやられた。前半の戦争の状況描写は退屈だったが、ジャングルでの篭城を始めてから一気に面白くなる。10年以上にもわたるジャングルでの篭城を通じて、希望を失わず少しずつ知恵と仲間との協力で生活基盤を作っていく。サバイバルモノの傑作だ!これが30年近くも埋もれていたなんてもったいない!
9/25 良かった。我ら現代人には想像もつかない生活の日々、自暴自棄にならず、開拓するさまはすごい。
激戦、籠城、原始生活、現地民との交流…。 心にささるのは、各年の正月の手記に書かれた筆者の思いである。祖国、肉親がどうなったか、もはや戻る場所も頼る人も自分を待つ人もいないのかもしれない、世界に忘れ去られたような離島に、わずかな日本兵とともに隔絶された孤独、寂しさ、不安、恐怖。そういった感情たるや...続きを読む、平和な世に生きる僕には到底想像もできない怖い暗いものだ。 農園の開拓や食料の確保のための創意工夫や、現地民との交流は、一見すると楽しそうではある。しかし、その活動の裏には前述の暗い気持ちが絶えずあったのであり、活動に打ち込むことにより、死につながる暗い気持ちを振り払おうとしていたのであろう。壮絶な、精神的なサバイバルでもある。 こんな苦労や辛さをしたくない、という正直な気持ちを大事にしたい。自分だけでなく、周りの人、後世の人にも。そうならないために、最近キナ臭いが、悲惨な戦争を再び起こさないように、そういった気持ちを今一度強くした。今僕に、僕たちに何ができるか、大事なことに思いをはせるきっかけとなる良書であった。
第二次大戦下ニューギニアで敵陣に追い込まれ、現地人も入り込まないような奥地に篭城すること十年。 その小隊十七人の極限サバイバル。 とにかく詳細な記録に驚く。これは貴重な後世へ伝える資料となろう。 でも読み物として考えると、もう少しコンパクトにまとめて欲しかった。 半分の250ページ位にま...続きを読むとめたらもっと濃厚な一冊となったと思う。
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島田覚夫
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