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16世紀のオーストリアの小村に、ある日忽然と美少年が現れた。名をサタンといった。村の3人の少年は、彼の巧みな語り口にのせられて不思議な世界へ入りこむ…作者は、アメリカの楽天主義を代表する作家だといわれるが、この作品は彼の全く別の一面-人間不信とペシミズムに彩られ、奇妙に人を惹きつける。(解説=亀井俊介)(改版)
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Posted by ブクログ
人間と獣は違う。いろいろな点で違う、ゆえに人間は獣よりも優れている、というのはよくある一般的な話。 この本では、人間と獣は違う、人間には良心がある、だから獣よりも劣っている、という。 人間は良心のためならなんだってする。戦争、殺人、強盗、拷問、残忍なことなんでも。ありもしない道徳をもちだして。 獣...続きを読むは残忍なことをしない。本能で、無心でやった結果、仲間に危害を加えていることはある。でも誰かを傷つけて喜ぶなんてことは絶対にしない。 手塚治虫の漫画ブッダの中のナラダッタという人間を救うために、動物の命を犠牲にしてしまいその罰を受け、生きながら獣として生きた人物を思いだした。獣として、人間としての良心を持つことなく、自然の流れの中に身を任せ、すべてをあるがままに生き、心美しく、天命を果たしたというエピソード。 人間である以上、この物語の中でいう良心はつきまとう。 “人間とは何か”で語られたように、良心をより高みのある理想に近づけるよう努める。 これが僕らが正しく生きるみちなんだろうか? また世界の流れが大きく変わりそうな今だからこそ心に留めておきたいと思った話。人間なんて羊と同じだという話。 人間はいつも少数者に支配される。声の大きな一握りの人間に。正しいこともあれば間違っていることもある。でもそんなことはどうでもよくて、とにかく大衆はそれについていく。例えば戦争。だれかが戦争をやると言いだす。最初は懸命になって考えて反対を唱える。でも長くは続かない。やがて聴くものはいなくなり、人気も落ち、奇妙なことに滬んどはそういったものを迫害し始める。そうするともう全員が戦争だという。あとは嘘をでっち上げ、戦争は正義になる。 今だからこそ、心に留めておきたい。
晩年のトゥエインがこれを書いたのだと思うと虚しくて憂鬱になる。サタンの視点から見る人間の愚かさ、そんな着想からここまで広げられたのはトゥエインならではだ。亀井氏は「ペシミズムに陥りながらも、それを乗り越えようと苦闘した」と評するけれども、むしろこの本こそ彼のペシミズムの骨頂だったという気がしてならな...続きを読むい。名作ではあるが、気分の良い思いはしない。
人間に対する徹底したペシミスティックな視点 「君たち人間の進歩ってやつは、どうもあまり感心しないね。もう一度新たに出直すことだな。」p182 生まれ落ちたが最後なんです。
トウェインの晩年のペシミズムの代表作。 サタンと名乗る美少年(彼は天使だという)が村に現れ、人間の文明の軌跡やその愚かさを嘲笑い明らかにする。 善悪とはという問いを起点に、 幸せとは、運命とは、人間とは何なのかという問いに繋がっていく。 サタンが魅せる人間の愚かさのいくつかの描写や緊迫感が見事で...続きを読む、物語に引き込まれた。 いろんな問いがある中で一番刺さったのは、サタンが良心を語るシーン。 人間は良心なんてもので善を選択しているつもりになっているが、カインとアベルから始まり人間の歴史は戦争と殺戮の歴史じゃないか。 ほとんど間違った選択をしている中で正義を振り翳して生きていて、それで得をしているのは一握りの奴らだけ。 良心がなければ善も悪もない。良心なんてクソ食らえだ。 ハックほど切実ではないものの、俯瞰的に捉えられた良心の概念が顕になって、トウェインが人生を通して向き合ってきた題目なのが窺えて面白い。 最終章にあった人間とは思惟、夢なんだというところが完全に意図を汲み取れず、、人間とは何かの方も読んでみたい。
マーク・トウェインってトム・ソーヤーだけの作家ではなかったのね。トム・ソーヤーシリーズは読み通せたことがないけれど、この小説は結構いい。全ては夢だと悟るために一生を費やしたのかという気もするけど。 サタンの人間に対する無関心さが、まさに天使という感じで気に入ってる。
サタンの目から見た人間のやることと言ったら、確かにそう、その通り。でもサタンが変えてくれる運命も厳しい。少年たちが見る現実としては大変厳しい物語だった。大人の自分が読んで思うのは、自分以外の人が幸せか不幸かは、その人の一時、ただそれを見ただけでは判断ができないということ。幸せか不幸かは本人しかわから...続きを読むない。ただ、マーク・トウェインが3度も書きながら未完に終わってしまったこの作品との格闘には、「生きる」ということを教えてもらった気がする。しかし、Guardianのコメディー作品は笑えないのが多いなぁ。
マーク・トウェインとは思えないほど、重苦しいはなし。 でも、これからの生き方を変えようと思うほど、考えさせられるものだった。
トムソーヤーの冒険書いた人とは思えないほどの暗さ。 バタフライエフェクト的なくだりもありつつ、ひたすらに悲観に満ちた死生観がストーリーを取り巻いている感じ。 思春期に読んだら人間不信になりそう。 ただ、文章は重くなく読んでてストレスは一切なく流れるように読めた。
知り合いに勧められて 当初聞いていたより、相当おもしろいお話で ある意味荘子的なところもあり、最後は唯識的でもあり、美少年も出てくるし、すごく深いわけではないけど、楽しみながら一気に読めた
再読。一番最初は小学6年だったのを衝撃とともに覚えている。トム・ソーヤーの人がッ?みたいな。その頃ラブクラフトにハマりまくっていた私にはツボすぎて、何度読んだかしれないが、ここ数年手に取っていなかったので、ダラダラしながら読む。嗚呼。この1冊でマーク・トゥエインが大好きになった。
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