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自ら滅び行く日本民族へ―― 最後の文士・野坂昭如の遺言 右へ進もうが、左に行こうが、日本のお先は真っ暗闇。食と農を疎かにし、金と物を崇め、原発エネルギーに突っ走り……その当然の報いによって、日本は滅びようとしている。希望や救いはどこにもない、日本はもう一度焼け野原になるしかないことを万感を込めて謳う、“最後の文士”野坂昭如、渾身の檄文。
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Posted by ブクログ
「日本の将来について考える時、ぼくに希望は全くない」 この一文から、この本は始まります。 おそらく、こういう歯に着せぬ物言いを、できる人というのは、 今の社会では、非常に限られていると思います。 この本で、野坂氏は、食料自給率にやたらこだわっています。 「人間の一番の基本は食にある。食べるこ...続きを読むとで人は生きている。(中略) 食はそれぞれの国の生き方と、つながり、そのには歴史があり伝統も息づいている」 だが、日本は、それを「捨てた」と言う。 「大事なもの」を捨てた基盤の上で、今の豊かな社会があることへの 脆弱性を危惧しているのだろう。 もし、海外からの供給がなくなったら、いとも簡単に崩壊するであろう社会に 自分達は生きている。 野坂氏の、物言いは、極端であるが、あながち間違いでもない。 きちんと、データーを提示すれば、看破出来そうだが、 野坂氏は、作家の直感に基づいて、発言している。 それは、戦後しばらくの食料難を経験し、生きるとは、どういうことなのかを、 皮膚感覚でわかっているからだろう。 氏は言う。 「薄っぺらでお手軽な世の中に、幾重にも正体不明の闇が広がっている。(中略) 金や物を崇め、合理化とやらをすすめてきた日本。無駄だと省かれたものの中にこそ、日本の誇りがあった」 そして、最後に 「結局、何が豊かなのか判らぬまま、日本は滅びようとしている。戦後、その都度決着をつけてこなかったこの国、当然の報い」 これが御年80歳を超える方の発言である。 心地良いことばかりが、喧伝される世の中で、氏の主張は、やはり厳しい。 しかし、こういう事を言う人がいなくなると、社会はどんどん閉塞感に覆われてしまう かもしれない。
読んでいるうちに暗澹たる気持ちになっていくこと請け合いである…本当に日本に未来はないのか!? 食のことはよく分かりませんけれども、確かに今後、日本が成長していくなんてことはありえるんだらうか? ってなことは僕もよく考えることなのであるからして、今作は中途で飽きることなく一気に読めましたね… なん...続きを読むというか、戦前生まれの人の言うことには説得力があるような…普段、接する機会のない世代の人ですから…こういった著書を読んで少しは戦前生まれの人とコネクトしたい…みたいな気持ちにさせられる著書でした。 ヽ(・ω・)/ズコー 著者の書いた小説なども読んでみましょうかね…あの有名な「火垂るの墓」の原作者なのですよ! 著者は…などと言ってみたところで、もはや現代には著者のことを知る人も少ないかもしれませんね…特に若人諸君は…おしまい。 ヽ(・ω・)/ズコー
野坂昭如(1930。10.10~2015.12.9)著「終末の思想」、2003年脳梗塞、自宅でリハビリ中の2013.3執筆・刊行されてます。ご自分の思いを吐露した作品とお見受けしました。「質素・清貧・分を知る」といったかつての文化に思いを寄せ、「街は便利で清潔、全体に美々(びび)しくなり、人もまた...続きを読む見てくれきれい。醜くなったのはその生き方、消費文化の行きつく果て。」と警鐘を鳴らしておいでです。 日本は気候に恵まれている。そして島国、海に囲まれている。土に戻り、農を大事にして、近海で獲れる魚、海藻を食べていれば生き延び得る。野坂昭如(1930.10.10~2015.12.9)「終末の思想」、2013.3発行。①少子化は現在にも未来にも希望が持てない本能のあらわれ ②地球上で人間だけが勝手気ままに振舞っている。歪んだ食(品種改良、防腐剤、添加物、人工着色料・・・)は元へは戻らない ③安楽死は最高の老人福祉である。
さすがに野坂氏も年齢を重ねられて、少々丸くなられた感じがしないでもないのです。(大島渚監督をひっぱたいたシーンが忘れられません。)氏の本質であると私は思っているのですが、随所に優しさがうかがえました。私はそこが好きなのです。文学は「生」や「死」を見つめることにつながると思うのですが、氏の作品の底辺に...続きを読むはこの「生」と「死」が流れていると思います。 いっぽうで、氏にはもっともっと毒舌を吐いていただき、辛辣な文章を書きまくっていただきたいのです。
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