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夢の中で誰かに見せられた「底のない袋」。その袋に「面白そうだと思うものは何でもみんな抱え込むのだ。底がないからそのうち自然に遺(のこ)したいものだけが残ってゆく。楽しみという底なし袋にとび込むものは何だろう」と好奇心いっぱいに日々の暮しを見つめ、思い出を振り返った珠玉のエッセイ集。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
読み終わったのだけれど、エッセイというのは、先へ先へとストーリーを追うものではないので… ずっと手元に置き、機会があれば再読したいと思う作品です。
2002年から2004年にかけて雑誌等に連載された身辺雑記をまとめたエッセイ集。 今世紀になって書かれたものなのに、何故か昭和その前期の雰囲気が感じられるのは、著者が幸田文の娘で、さらに幸田露伴の孫娘ゆえ、露伴や文の影響が大だからだろうか。 文章全般に、穏やかでゆっくりした時間が感じられ、読んでいる...続きを読むこちらもある懐かしさに浸ってしまうという稀有な思いに纏われる。 「食事の風景」や「露伴の春秋」は、露伴との暮らしを綴った貴重なエッセイで、当時の生活が偲ばれる。
「月あかり雪あかり花あかり。あかりという言葉には、あたたかみのある人懐しさが感じられる。音で読めば雪月花。三文字寄り添うと質の異なる美しさが互いに補いあって、それ以上の美しさは考えられない風情が浮かび上がる。」やわらかだけどシャープで緊張感漲る言辞。これが隙なく並ぶ。趣があり芳香匂い立つエッセイ集。...続きを読む日本の心を日々流れる日常の中から優しく掬いあげる。ほのぼととした懐かしさにしばし浸る。
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