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作家の横田卓郎は妻を亡くし、娘の千秋と二人で暮らしていた。妻の死後、千秋は奇妙な絵を描くようになる……。人ではない異形のものを。ある日をきっかけに「青い顔の女」ばかりを描くようになった千秋は、その絵を「ママ」と呼び、絵を描くことに執着する。そしてもうひとつ執着すること。それは、夜の散歩だった。第1回『幽』怪談文学賞大賞受賞作。解説は京極夏彦氏。
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Posted by ブクログ
子どもの描く絵の不気味さなどは端的なタイトルや描写でよく表現できていた。 文章は平易で読みやすく、生理的な嫌悪感を刺激するのも上手い。担当の不潔な風貌など、非常にいやらしく書けていた。 スプラッタな描写でこれでもかと畳みかけてくるより、外堀からじわじわ埋めていくようなうそ寒さを感じる。 中盤(主人公...続きを読むが亡妻の部屋で例のアレを発見するまで)は怖かったのだが、それ以降のどんでん返しで少し冷めた。 青い顔の女の正体が実は……という展開は意外性があって面白かったが、え、そっち行くの??とカテゴリをスライドできなかった。幽霊が出てくるホラー路線と思いきや超自然な方向へ滑っていくので、そこで梯子を外されると「アレッ?」となる。 狭義のホラーにこだわらず、幽霊もクトゥルーもなんでもありな読者向け。 担当の行方など明らかにされてない謎も多く、ラストは後味悪い。 まあホラー小説は後味の悪さもウリなのだが、冒頭の記事を読み返すと、結局指輪は取り戻せておらず本文と矛盾が生じる。それともあの水死体は実は……と、考えれば考えるほど薄気味悪くなる。
著者初読み。妻を亡くした卓郎は、作家業を続けながら一人娘の千秋と暮らしていた。母を亡くして以降、奇妙な絵を描き続けるようになった千秋は、ある日顔の青い女の絵ばかりを描くようになり「ママ」と呼び始めた...。タイトルの和やかさからは想像出来ない恐怖が詰め込まれている。暗くて悪臭が匂ってきそうな家、何処...続きを読むからともなく降り注がれる誰かの視線...。子供が明らかに異常な執着を見せているのに卓郎の呑気さにイライラしたり、最後のオチは想像出来てしまう展開だけど面白かった。「もぎぃ」って聞こえてきそうで怖い。
とにかく不穏な空気が読んでいる途中から漂い祝山を読んだ時の様な不気味さ。けど、どんどんページをめくり先はどうなるんだろうと読み進めてしまった。最後のオチはどこかて見た様な感じだったけど途中の夢に出てきそうな気持ち悪さは、仄暗い水の底からとか、着信アリとか。不条理な感じがとても怖かった
得体の知れない気味悪さで久々に凄いホラー小説に出会えた嬉しさとともに若干薄ら寒くなった。中盤以降その恐ろしさが失速してしまうのが残念ではあるものの(恐怖の元凶が弱いような)文章だけで人を不安にさせるって凄い。からこそやっぱり…もうちょっと期待してしまう。
ちょっと気持ちの悪い系のホラー。そこそこの面白さだったと思います。お絵かきの用紙をめくって表情を表す描写が巧いなと思いました。
続ホラー。夏だし。 こっちは320ページほどある、ガッツリしたホラー。 ミステリー的な感じもあるかな? ある街に、親子3人が住んでいた。 母はイラストレーター、父はホラー小説家、娘は幼稚園。 ある時母が死んでしまい、それから娘が奇妙な絵ばかりを 描くようになる。 初めは、芸術色の強い娘にかなり好...続きを読む感を抱くけれど、 最終的には怖くて怖くてたまらない存在に…。 さて、どうして娘がそんなことになってしまうのでしょう、という話。 もー怖い。相当怖い。 でも読み出したら先が気になって辞められなくて、 夜中大雨で更に怖くて眠れなくて、徹夜で読むことも 考えたくらい。 通常、私は寝る前に本を読んだら眠くなるのに、 興奮してまったく眠くならなかった本。 やたら雨水がしたたる音とか、屋根がきしむ音が読みながら気になった。 ただ、父にかなりイラっとくる!! 若干主要な登場人物に感情移入ができない。 私なら、こんなのとっくに異常の域を超えてるし、 怖すぎるから耐えられないのに、結構普通な彼ら。 その辺が、ホラー作家と一般人の違いなのかしら?
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