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脅威と喧伝されるが、謎の多い解放軍。その実態に迫るカギは軍事ドラマにあった! それはプロパガンダであるがゆえに、軍の思想教育や兵士の日常をつぶさに映し出す鏡なのだ。
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Posted by ブクログ
中国と言う国は、日本人がまだまだ理解していない国であると本書を読んで思った。世界中で漢字を使っている国は、中国と日本しかないという。事実、中国人とは漢字を使った筆談で意思疎通ができる。しかし、国民文化という点では全く違うのだろう。同文ではあるが同種ではない。いまだになかなか理解しにくい近くて遠い国...続きを読むであるのだろう。 本書はそのわかりにくい中国の中でも、軍事機密のベールに隠された人民解放軍についての考察の本であるが、「TVの軍事ドラマからの分析」という比較的わかりやすい考察を積み重ねている点は興味が持てる。 2008年5月に発生した四川大地震に際して、温家宝国務院総理が「人民が軍隊を養っているのだ。救援に向けてなんとか方策を講じろ」と命令したエピソードなどは、人民解放軍が人民の軍隊として、独特の成立の歴史を持っていることが伺える。共産党独裁の国家ではあるが、国民の視線を無視することはできない事情がみえて興味深いと感じた。 具体的な軍事ドラマを取り上げての、人民解放軍の内情を推察する分析は、読んで面白かった。最近の日本の報道では、高度成長の中で毎年巨額の軍事費を投入して軍拡に進む中国の姿が取り上げられるが、中国にしてみれば、後進国の劣悪な装備と武器を最新式のものに更新するためには、まだまだぜんぜん足りない思いがあるのだろう。何しろ、仮想敵国がアメリカならば、さしずめ横綱と小学生だろうから。 本書の「相手の思考を理解することが重要」とのスタンスには全面的に賛同したい。やはり、知らないことが誤解や勝手な解釈を生み、大きな誤りにつながることが多い。国家同士の誤りは大きな被害を生むことは歴史が証明している。現在の人民解放軍の内情を取り上げた本は少ないと思うので、興味深い本であると感じた。
[ 内容 ] 中国人民解放軍の謎に包まれた思想・内情をプロパガンダから読み解く。 [ 目次 ] 第1章 軍事ドラマは情報の宝庫(「脅威」として再認識されはじめた中国軍 中国人民解放軍とはどんな軍隊か ほか) 第2章 情報・ハイテク時代の解放軍―『沙場点兵(戦場の召集)』より(北京軍区の協力で撮られ...続きを読むた軍事演習ドラマ 賛否分かれる視聴者の反応 ほか) 第3章 中国の領土・主権意識―『垂直打撃(垂直攻撃)』より(ドラマに描かれた解放軍空挺部隊 「斬首行動」の矛先に見えるもの ほか) 第4章 核から有人宇宙飛行まで、執念の開発―『国家使命(国家の使命)』より(中国版「プロジェクトX」 建国55周年のメッセージ ほか) 第5章 大国興亡の歴史を鑑に―『大国崛起(大国への道)』より(プロパガンダとしてのドキュメンタリー 中国のドキュメンタリーが描く「9つの大国」 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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