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Posted by ブクログ
表題作は今から40年前の直木賞受賞作らしい。半村良の伝奇SFを好んで読んでいた時代があったが、まだ若かった故に、本作のようなオトナの世界を描いた作品には手を出さなかった。まあ、あの時代に読んでとしても面白さは解らなかったと思う。
何とも良い雰囲気を醸し出している連作短篇集である。新宿の歌舞伎町でバーのオーナー兼バーテンダーの仙田を中心に様々な人間模様が描かれる。
最初の短篇『おさせ伝説』はエロチックな伝説SFのような結末で、この作品全体がこのトーンで進むのかと思ったら、『ふたり』からしっかりとオトナの世界が描かれる。やはり、表題作の『雨やどり』が絶品。ラストに見せた男らしい未練の描写はなかなか描けるものではない。
全8編を収録。
Posted by ブクログ
「古き良き新宿」という知らない世界の話。かつてバーにはお姉ちゃんがいたらしい。キャバクラとクラブと分化してなかったとか。へーって感じ。
抑制の効いた大人の人情話という感じで好きだった。男に騙されても女に利用されても、きちんと傷ついて泣いて悲しんで、そのうち元気になってまた人生頑張っていくという当たり前の営みが丁寧に描かれている。超然とした傍観者になりがちな狂言回しの仙田が現役のプレイヤーとして女で甘々なしくじりをしてしまうなど、少し意外な方向に展開するのが面白い。例えば『バーレモンハート』みたいな酒場ものを読んでいたつもりが、いつの間にか群像の中を彷徨い歩いており、周りを見回すと仙田ともはぐれてしまっている、というような感覚。自分も飲み屋街をそぞろ歩く一人になってしまって、これからどの店に行こうかと考えているときの懐かしい匂いが鼻の奥に蘇る。
好きだった、読んでよかった。
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