アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門

アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門

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968円 (税込)

4pt

3.7

大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起……。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。

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アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    個人的にこれまでアナーキズムを深く考えたことがどれほどあっただろうか。アナーキストなど何を考えているか得体の知れない完全なる他者だと確信していた。それは無意識のうちに信念として存在するほどに。その思想は社会を国を共同体を破壊して何を達したいのかと疑問に思うだけで、こちらから知ろうともしなければ、あちらからも呼び掛けられもしない存在。それがアナーキズムであり、アナーキストであった。

    しかし本書は呼び掛ける。
    「我々誰もが、徹底すればアナーキストにならざるを得ない」と。我々の生活する社会の原理原則を突き詰めた先にアナーキズムはあるということだ。自由、平等、反権威などを建前として暮らす以上、人はその究極においてアナーキズムと無縁でいられない。目が覚める思いをした。近代性の妥協を排した極北としてアナーキズムは存在するということだろうか。
    一見するとアナーキズムは解釈次第でいかようにも定義されうるように見える。本書では大杉栄などのビッグネームはもとより、任侠のヤクザや漫画のキャラクターなどを例として提示している。しかし、そこに通底しているものは何だろう。ある種の純真さみたいなものかもしれない。大人になれない子供の精神なのかもしれない。もしくは過剰な程に潔癖なのかもしれない。
    近代の原理原則を、知行合一よろしく究極のかたちで自分の生き方とすること。それは、保守思想がニヒリズムのうちに諦めたであろう権力という必要悪を、その潔癖さゆえに諦めきれない生き方のように思う。あたかも求道者のように。

    つまり本書を読めば今よりもアナーキズムを身近に感じることができる。

    0
    2017年01月17日

    Posted by ブクログ

     宮崎哲弥『新書365冊』(朝日新書)と松岡正剛「千夜千冊」の紹介をきっかけに読んでみた。本書が素晴らしいのは、読書ノートと索引が充実してるところだ。新書本であるのにもかかわらず、各章ごとに、関連する書籍を多数案内してくれたり、本書で登場した用語と人物名のページをくまなく載せたりと、著者の誠実ぶりに感銘を受けた。では肝心の内容はどうであるかというと、こちらも「アナーキズム」の知識が体系的にまとまっており、今回初めて知ったものが多かったため、内容的に満足のいくものであった。はじめにアナーキズムの定義を記述し、次にこの概念と関連する人物像の経歴と影響力を、最後に現代(といっても本書は2004年出版であるが)におけるアナーキズムの意義を考察して本書を締めくくる。そのなかでも興味深かったのが終章である。これは、近代以降に誕生した概念(例えば、自律的な個人、強い自我など)を改めて見直し、それ以前の時代では当たり前であった自給自足、相互扶助、共同体などに再注目する。近代以降に発生したさまざまな弊害を考える際、上記のような価値観を今一度振り返って、そこから何か得られるものがあるのではないだろうか。

    0
    2023年03月25日

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    大正ロマン香る革命家の伝説。
    破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。
    祝祭としての群集蜂起。
    生命流の爆発。
    相互扶助と自由連合のユートピア。
    唯一者を生きる矜持。
    戦士たちの共同体。
    あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。
    そこにかいま見える近代の臨界とは何か。
    十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。
    大杉栄、竹中労から松本零士、笠井潔まで十の名著をたどりながら、日本のアナーキズムの潮流を俯瞰する。
    常に若者を魅了したこの思想の現在的意味を考える。

    [ 目次 ]
    序章 反逆とユートピア―アナーキズムとは何か
    第1章 この人を見よ!―アナーキストの肖像 『大杉栄』(「日本の名著46」)
    第2章 悲しき若者のロマン―デラシネ・テロリスト 竹中労/かわぐちかいじ『黒旗水滸伝』
    第3章 躍動するエラン・ヴィタル―ベルグソニアン 鈴木貞美編『大正生命主義と現代』
    第4章 社稷を想うこころ―コミュニタリアン 滝沢誠『権藤成卿』
    第5章 撃てと命じるものを撃て―アンチ・スターリニスト 埴谷雄高作品集3『政治論文集』
    第6章 敵の敵は味方―コンサバティスト 勝田吉太郎著作集第四巻『アナーキスト』
    第7章 五十六億七千万待てますか?―ミレニアニスト 宮田登『ミロク信仰の研究』
    第8章 さよなら日本、さよなら世間―コスモポリタン 鶴見俊輔『方法としてのアナキズム』
    第9章 君が気にいったなら―ピカレスク 松本零士『宇宙海賊キャプテンハーロック』
    第10章 商人のユートピア―アナルコ・キャピタリスト 笠井潔『国家民営化論』
    終章 日本アナーキズムの現在―メタ・アナーキズムの方へ

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    [ 参考となる書評 ]

    0
    2014年10月27日

    Posted by ブクログ

    近代・現代日本のアナーキズムに関する諸思想を案内している入門書です。

    まず取り上げられているのはアナーキスト大杉栄です。頼むべきは自分一人だと考える大杉は、個人の自由を最大限に尊重する気質をもっていたと著者は指摘しています。そうした大杉にしてはじめて、アナーキズムを人びとに「啓蒙」するというジレンマを解決することができたというのが、本書が語る大杉像です。大杉にしたがう人びとは、彼の思想の奴隷となったのではなく、彼の人格に魅せられて自主的にアナーキズムへと進んでいったと著者はいい、大杉のキャラクターを、彼と親交のあった任侠の世界との関係のなかで読み解こうとしています。

    著者はまた、権藤成卿の「社稷」という考えに見られるコミュニタリアニズム的な発想を、アナーキズムの系譜のなかに置いて理解しようとします。大杉の妻だった伊藤野衣は、無政府という理想社会が空想にすぎないという批判に対して、無政府社会はすでにわれわれの「世間」としてじっさいに存在するのだと回答しました。こうした共同体主義は、しかしながら西洋のアナーキズムが依拠している個人の自由という理念と著しく背馳するという問題を孕んでいたという指摘がおこなわれています。

    そのほか、戦後日本のアナーキズムの展開として埴谷雄高がとりあげられ、「個」へと退却する彼の身振りのうちに現代の「引きこもる」個人の先駆と、その限界を見ています。また、鶴見俊輔の「方法的アナーキズム」は、コスモポリタンの立場に身を置いて、とりあえず自分が今いる場所で、具体的な生き方としてのアナーキズムを実践するという可能性を提示したものとして評価されています。そのほか、松本零士の『宇宙海賊キャプテンハーロック』に見られるヒーローの姿や、笠井潔の『国家民営化論』で理想的に描かれるアントレプレナーの姿に、個人の自由を最大限に尊重するアナーキズムの理想が重ねて描かれています。

    0
    2017年11月30日

    Posted by ブクログ

    歴史知識皆無なのでなかなか頭の中で繋がりません。とにかくキーワード、人物が多い。入門本なのに全く覚えられそうにありません。時間もかかってます。だからレファ本カテゴリなのですが、いつか、日本史が頭に入ってから再読したいと思います。そのときには別のカテゴリに入るはず。

    0
    2010年12月22日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    社会を拒絶するインテリパンクスを魅了してやまない思想。
    あらゆる権力を否定し、何ものにも抑圧されない究極の自由主義思想。
    アナーキズムの入門書。

    日本のアナーキズム思想の流れがよくわかる一冊。

    大杉栄の生き様に魅了されて仕方が無い。
    「この個人的思索を欲しない輩は、いわゆる衆愚である、永遠の奴隷である。歴史を創ることなくして、歴史に引きずられてゆく、有象無象である。僕らとはまったくの他人である。」

    私生活はもっぱら埴谷雄高に近いが。

    アナーキズムは共産主義以上に空想的な思想だ。
    人類には早すぎる。
    ただ原始時代に戻るってわけにもいかないし、それではまた不自由な社会になってしまう。
    単純ゆえに欠陥もあるが、それは人間そのものの欠陥なのではないかと思う。

    アメリカの保守的な自由主義、小さな政府の考え方と社会主義思想の系統に属するアナーキズムの違いが分かっていなかったが、よくわかった。
    どちらも似たようなもんで、自由民主主義も共産主義も究極に行き着けば、アナーキズムのような考えに落ち着く。

    0
    2012年03月07日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    著者自身が述べている様に(P287)筑摩書房「現代日本思想体系」を底本としている。彼の本は60年代発行であり、本書はその後の思想史をカバーし、かつ「道具としての思想」を意識している。

    日本のアナーキズム思想における重要書として10冊をあげている。
    結局のところアナーキズムにとって最大の難問は「権力統制無しにいかにその運動を持続させるか」にある。
    この難問にかつて数多のアナーキストが挑みそして失敗してきたか。
    結局のところ、世間の中でなんとなく生きている人にとってアナーキズムなんて、思想的エンターテイメント以上の価値を持たないと思えてくる。

    0
    2011年01月27日

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