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Posted by ブクログ
江戸の、時代の過渡期で武士という立場に悩み翻弄される「佐和山道場」の村上登、青木昇平、仁志兵輔の三人の武士たち。
その一人、本作の主人公である村上登がある商人から名刀を預けられるところから物語が動き出す。
昇平が小普請を抜け出世し、出世は二の次とした剣に生きる風の登。間に挟まれた兵輔。そんな中、町で無惨な辻斬りが頻発する。
それを打ち取り出世を目指す兵輔が動きだし、三人の人生の歯車が少しずつ違えていくさまは本当に切なかった。
時代を扱うものなので読みにくい字もあれど文章が読みやすくページ数もちょうどよいと感じた。
様々な背景を読みときながら楽しめますし、誰が辻斬りだのを推測しながらも読めたりして、懐の広い作品に感じました。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
いまならば斬れる! 人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる――。
幕府開闢から180年余りが過ぎた天明の時代。江戸では、賄賂まみれだった田沼意次の時代から、清廉潔白な松平定信の時代に移り始めた頃。二本差しが大手を振って歩けたのも今は昔。貧乏御家人の村上登は、小普請組の幼馴染とともに、竹刀剣法花盛りのご時勢柄に反し、いまだに木刀を使う古風な道場に通っている。他道場の助っ人で小金を稼いだり、道場仲間と希望のない鬱屈した無為の日々を過ごしていた。ある日、江戸市中で辻斬りが発生。江戸城内で田沼意知を切った一振りの名刀を手にしたことから、3人の運命は大きく動き始める。
令和3年2月26日~3月2日
Posted by ブクログ
未来の展望が開けない青年たちの夢をかけた、切なくて苦しい青春時代小説。悪政で有名な田沼意次の時代から、松平定信の時代に移り始めた頃の江戸が舞台。御家人の村上登は、道場仲間と貧しいながらも、清浄な武士への鍛錬に勤しむ日々を暮らしていた。そんな時手にした一振りの名刀が大きく三人の運命をかえていくことになる。。本作品、友情と反目、はかない恋など時代に翻弄された士分たちの心の機微を巧みな言葉とともにあぶり出しつつ、辻斬り犯を巡るミステリアスな面など多彩な要素を含む。がすべての要素は、天下泰平の時代に巣くう”貧困”の一点に集約されるよう区切りなく物語は進んでいく。それにしても精緻なロジックと貧困がもたらす悲劇を余すことなくつまびらかにする切れ味抜群の筆力が凄すぎ!筆者の時代小説にかける真摯な想いを強く感じる秀逸な作品です。
Posted by ブクログ
先日読んで良かった青山さん。これもなかなかです。
田沼政治が終わった頃、流行の竹刀剣道ではなく木刀による型中心の剣術道場に通う三人の若い剣士を描いた作品。
時代小説で三人組といえば、武闘派、頭脳派、癒し系の仲間が力を合わせて事態を打開して行くというのが王道です。しかし、この作品で描かれるのは剣の道に邁進するがゆえに壊れて行く若者たちです。
爽やかな感動のようなものはありません。妬みや破滅があります。しかし、それは道を究めようとする清冽さが、誤った方向に流れた結果です。
純文学を目指いしていた著者の再デビュー作と言える作品。その主人公の一人の名前が青木昇平。著者のペンネームに模した名ですが、何か思い入れがあるのでしょうか。
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