近隣国との摩擦について、今に至った経緯を改めて顧みる為の一冊。ややもすれば即物的に判断しがちであるが、過去の(特に中国、台湾、韓国、及びアメリカとの間の)外交においての”agree to disagree”という知恵が、ここに至る日本の外交的地位を支えてきたことは厳然たる事実であり、それを否定するのであれば、それに置換しうる枠組みを実現できる政治・外交・軍事的な裏付けを以ってして否定すべきで、それ無しに感情的に反対するのは、徒らに国益を損ねることになることに、留意すべきだと、改めて感じた。昨今、外交について安易な言質が持て囃されるが、その代償を支払うのは、政治家でも外交官でも言論人でもなく、自衛官や海上保安官、警察官、そして一般の人々なのだ。