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祖国が分断され、まだ多くある差別の中で、若い青春を、本当の生きかたとは何か、を真摯に問いながら生きる群像。李恢成の初期中篇「われら青春の途上にて」「青丘の宿」ほか父親の死を契機に、対立し、相反する2つの組織が手を結ぶ、僅かに残された“黄金風景”を描く「死者の遺したもの」収録。
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Posted by ブクログ
1972年に在日韓国朝鮮人として初めて芥川賞を受賞した李恢成さんの作品を初めて呼んで見た。「われら青春の途上にて」「青丘の宿」「死者の残したもの」の3編を収録。いずれも自身の身の回りのことに題材をとった私小説的なものだろう。 読みながら驚いたのは、1970年代にはここまで在日色の強い作品が読まれる素...続きを読む地があったのだということ。現代に至るまで在日作家の系譜は連綿と続いているけれど、最近は日本社会の狭量さの影響を受けてだろう、こんな濃さのある作品はなかなかお目にかかれない。しかも当時はまだ民団より総連のほうが日本社会にひいきされていたことがうかがええる内容も。50年たつと何と状況が変わることか。 3編のうちでは、在日青年・少年と下宿の日本人のひとり者の女性の温かなやりとりが感じられる「青丘の宿」がよかった。世のなかにはいつも世間体をあまり気にせず自分の感覚で人とつき合える人がいる。一方で、その有難さがあまり文章になっていないのもちょっと印象的だった。たしかに、温かなふれあいがあることが当然であり、その有難さをことさらに書き立てるものではないのかもしれない。でもやはり、その温かなふれあいこそが私の心を打つものだった。
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われら青春の途上にて 青丘の宿
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李恢成
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