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中国の歴史において宦官のはたした役割は実に大きい。清朝の歴史家は、各王朝ともその衰亡の原因が宦官にあったことを指摘する。過去四千年にわたる専制君主と表裏一体をなして生きながらえた宦官の研究は、単なる好奇心を越えて、中国史の重要な課題の一つである。宦官とはなにかから説きおこして、宦官のもっとも活躍した漢・唐・明代を中心に、それぞれの、時代を背景にした特色を指摘する。毎日出版文化賞受賞。
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Posted by ブクログ
なぜ「宦官」という制度が作られたのか、またその歴史がわかってよかった。 日本になぜ「宦官」という制度がもちこまれなかったのか、という点については、「あとがき」に筆者の短い考えとして書かれているが、それでもある程度、納得できた。 古い本なので、少し時代を感じる部分(価値観?)もあるが、良書だと思う...続きを読む。
前半は宦官の概要、後半は漢・唐・明の歴史と宦官の関わりについて書かれている。流石に60年前の本だけあって現代と男女観などは違うが、全編を通して非常に分かりやすく面白かった。長年愛され続けている本は伊達じゃない。 統一戦争で何十万という大量の殺人を行い、統一後には殆ど例外なく功臣や肉親を殺し、追放して...続きを読むきた歴代の中華皇帝。この非人間的な皇帝と本質的にウマが合うのが、同じく非人間的な存在である宦官という指摘にすごく納得。各王朝で偶に出現する英明な皇帝によって宦官の権力低下に成功するも、外戚など様々な要素が存在する王朝では宦官を活用せざるを得ない状況が発生する。どうすれば良かったのか?と考えながら読んだが、良い知恵は全く浮かばなかった。 一夫多妻の古代中国で殷、周と王朝を経る度に后妃の定数が怪しい計算方法によって増大し、それにより宦官も増えるが、その数は想像の遥か上。流石に中国はスケールがデカい。 漢の頃、女性の嫉妬心を抑えるため、儒教で婦道が説かれたという説明も面白い。また、纏足も同様の考えが元となって生まれたとの事。清末の宦官や纏足女性の目撃談は、60年以上前に書かれた本だけある。昔に書かれた本の貴重さを実感した。 後宮というと皇帝が気まぐれに訪問してそうなイメージだったが、実際には皇后の印が押された文書で通知されないと部屋にも入れない、明代では宦官と女官がパートナーになる事がよくあったというのも驚きだった。 宦官・外戚などの影響や様々なシチュエーションから儒学が古代中華で重く用いられ、王莽が王朝を簒奪する流れとなるが、歴史の因果は複雑で同時代人には予見不可能な事を改めて感じた。 あとがきに日本で宦官制度がなかった理由として異民族がいなかったという説明がされている。本邦では平安時代は藤原氏、江戸時代は徳川氏と藤原氏というように外戚も中国と違って固定化されているのも原因ではないかと思った。
宦官についてあまり注目したことはないが、中国の歴代王朝について考える上では重要な存在であると思った。 ただ、あまりに古い本なのでそこは注意が必要だと思う。 著者による、漢、唐、明の皇帝に対する評価が興味深かった。
第三の性と呼ばれる宦官。中国とトルコが有名だが、中国は特筆される。清王朝末期でも数百人はいたという。その異様な様子は、当時の西洋人が撮影した写真が扉絵に載せられており、図りしれる。額には細かな皺が刻まれ、顎は異様に細く、お婆さんのような顔立ちながらも、喉仏はある。声は嗄れた高音で聞くに耐えなかったと...続きを読むいう。それでも、歴史上には、権力を振るったものや、司馬遷のような歴史書を遺した人もいる。皇帝という神に近い存在には、人ではない別のもの(それが第三の性)が、近侍する考えになったようだ。
五十年前の著作を改版したもの。中国二千年の宦官の歴史。執筆された時代を反映してか,宦官に対する著者の嫌悪感がにじみでているのは仕方がないんだろうか。無学,がめつい,破廉恥,嫉妬深い,国を滅ぼす…彼らにつきまとう悪いイメージは歴史を記述する者によって不当に強化されてきた面もあるんじゃないかな。 ま...続きを読むあ漢,唐,明を中心に,宮廷に蠢く宦官たちの事績をまとめた内容は読み応えがある。自宮のやりかたも詳しくて,浅田次郎『蒼穹の昴』の当該場面はこの本に負うところが大とみた。政府公認の刀子匠が執刀し,切断した物を「宝」と呼んで後生大事に保管したとか。辛亥革命で消え去る運命を考えると虚しくも滑稽な何ともいえない感情をもよおしてしまう。
中国史好きの年寄りの蘊蓄話を延々グダグダと聞かされているような本。宦官が中心に語られるのは精々が第一章くらいで、第二章から大きく逸脱し始め、第三章以降はもはや「10秒でわかる中国史」の雰囲気が濃くなり、皇帝を一人一人順繰りに紹介していると気づいた時には興味もほとんど冷めていた。 近世史が専門の自分に...続きを読むとっては古代中世の歴史は未知なのでその意味では面白かったが、控えめに言っても中国史は同じこと延々と繰り返しているだけなので、さすがに途中から欠伸が止まらなかった。「年年歲歲花相似,歲歲年年人不同」は見知った馴染みの顔が一人また一人と亡くなっていくことを歌ったものだが、王朝かわって、皇帝かわって、その度に登場人物の名前だけがかわってパターンはかわっていないのをみると、中国史の単調さを歌っているのではないかと思ってしまうほど。中公新書の担当者ももう注意して少し軌道修正うながすべきだったのでは。 ただ、終盤になるとまた宦官に焦点が合うようになってきた。宦官に焦点があっている序盤と終盤、どちらも明清が中心なので、つまるところ、それより古い時代の宦官のことはよくわからず、かと言って知っていることだけ書くと数頁にもならない分量でおわってしまうから、関係のないところにまで木の枝をひろげていったのが中盤、ということなのだろうと勝手に推測した。正直、それならそれで中盤は省いてしまってよかったのでは。薄くなったって別に誰かに咎められるわけでなし。内容が凝縮されて却ってよいと思う。残念な本。 --- p.41 「……別の男と不義をむすぶことを意味する『 』という奇妙な文字が……」 鉤括弧の中が抜けているので中公新書に問い合わせたところ、 「㚻」 という文字が脱落しているらしい。 --- 序盤より。宦官の製造工程がおもしろかった。 「手術を受けるものは、炕(オンドル)に半臥の姿勢ですわる。……一人が腰を、他の二人が足を……押さえる。ここで刀をもった執刀者が自宮志願者の前に立ち、『後悔不後悔』……と念をおす。……承諾の意がしめされると、刀は一閃して、そこに宦官が出現する。」 直後に詳しい手術の方法は説明されているものの、この突然宦官がジャジャーンと現れるかのような書き方に数分間、抱腹絶倒した。 いやしかし、出だしからイエス・キリストも宦官反対ではなかったとあり、中国特産だと信じきっていた人間としては寝耳に水で唖然とした。しかも紀元前14世紀には既に中国に宦官が存在していて、清朝の滅亡が1912年、つまり20世紀だから、たすと34世紀、3400年はすくなくとも中国で活躍していたと。背筋が寒い。
古い時代の著作なので時々ひっかかる表現はあるものの読みやすかった。 中国にける宦官の成り立ちと役割の変遷、漢や唐でどのように歴史に絡んできたのか。 司馬遷も宦官になっていたとは知らなかった。 中国からいろいろな制度を参考に国造りをした日本だが、宦官が根付かなかったのも興味深い。
『蒼穹の昴』(浅田次郎/講談社文庫)と並行してちまちま読んでいたのが『宦官 側近政治の構造』(三田村泰助/中公新書)でした。『蒼穹の昴』には宦官が登場するからです。 宦官とは、後宮に仕える去勢された男性のことです。現在はいません。 大昔、貧しい家に生まれ、少しでも身を立てるために自宮(自らの意思...続きを読むで去勢すること)して王朝に仕えたり、または罪に問われたときに課せられた刑(宮刑)によってはからずも去勢させられたりということがありました。 本書はそんな宦官について書かれています。 第一章では宦官の起源や去勢の方法、宮刑や宦官を輩出する地域について書かれています。第二章では宦官が仕える後宮の、后妃に関することや宦官の職務について。 第三章では漢代の宦官について。第四章では唐代の宦官について。第五章では明代の宦官について書かれています。 そして終章では、「宦官はなぜ日本に存在しなかったか」「現代における宦官的存在」で締められています。 男性の方はちょっと背筋が震えるかもしれませんが、中国などの王朝で裏から世を動かした宦官について覗いてみてもいいかもしれませんよ。
股間がモゾモゾする。根元から断つって(泣 現代のニューハーフって疑問もわくが妻帯者が大勢いたことをみるそうじゃないらしい。今よりも良い暮らしをするための手段であったり、異民族が暮らす国としての悲しい風習であったり・・・後半は流し読み
後半、具体例になるとだれてしまったのが残念だが、前半は面白かった。中国宦官のおこり、由来について。 終章にあるように、皇帝の秘書、社長室等の見方は参考になった。中公新書の世界史シリーズ。要チェックである。
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