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荻生徂徠、安藤昌益、本居宣長、平田篤胤、吉田松陰-江戸時代は多くの著名な思想家を生み出した。だが、彼らの思想の中身を問われて答えられる人は多くないだろう。それでも、難解な用語の壁を越え、江戸の時代背景をつかめば、思想家たちが何と格闘したのかが見えてくる。それは、"人と人との繋がり"という、現代の私たちにも通じる問題意識である。一三のテーマを通して、刺激に満ちた江戸思想の世界を案内する。
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Posted by ブクログ
そのタイトルに劣らず、近世日本思想史を適度なバランスで幅広くかつ、十分な分量で概説してくれる良著。仁斎の愛、徂徠の道など、もっと勉強してみたくなる本である。一番の収穫は平田神学の中で、のちの柳田民俗学に連なるような祖先の霊魂の話が出ていたことであり、国学と民俗学の系譜という事で、興味深く読んだ。各論...続きを読むはいつ見ても参考になると思うのであえて触れない(!)
特に心に残ったのは二宮尊徳。これといった強力な宗教や思想があったわけでもない日本で、人々を労働へと導いた二宮。彼が用いたのは「暴力」でも「宗教」でもなく「言葉」であった。
学生のときに日本史用語集で時期と名前と著作を延々と暗記していた 固有名詞が色鮮やかに立ち上がってくる。 その思想は世の中をより良くするための思想で満ちている。 主に儒学・朱子学をテキストとして実に様々な批判や改良を試みて独自の思想を築いている。 どうしたらより正確に判断できるか、どうしたらより便利...続きを読むで豊かに暮らせるか。 現世におけるそのような思いが詰まっている。 誠実なプラグマティズムとでも言いたくなるほどに。 豊穣な近世の格闘を知らずに明治以降の思想を知ることはできないというのは正論だ。 近代的な輸入物である民権、自由、平等、憲法などが比較的短期で理解され定着したのは、 それもまた現世に対する思い入れの深さという点では近世と同じだったということだろう。
江戸時代の思想史に関する話題をいくつかの分野ごとに解説した書籍です。各話題については、細かいことは記されていませんが国学や儒学など多くの話題の要点に触れることができます。また、天理教など思想史系の本ではあまり触れられることのない江戸の新宗教についても解説がされており、重宝します 【こんな人におすす...続きを読むめ】 江戸の思想について広く浅く学びたい人
江戸時代の様々な思想を、<人と人との繋がり>のあり方から整理し、通観した本。江戸時代を世俗の秩序化の時代ととらえ、そこから近現代の我々と共有される問題を導き出そうとしている。世俗の秩序化は、イエ、出版(江戸時代は紛れもなく<書物の時代>である)、商品・市場、「日本」意識、性・差別といった場面で現れる...続きを読む。 取り上げられた思想家は数多く、一人ひとりの思想家に割かれる紙幅は多くないので、その分、いささか教科書的なところもあるが、著者の最初の問題設定にしたがった大きな軸に沿って位置付けられており、理解がしやすいように思う。
全然本論と関係ないのですが、あとがきの最後に「徳川思想小史」の著者、源了圓の話がちょろっと出てきて、特別思い入れがあるわけではないのに、うるっときてしまった。
江戸時代にあらわれた諸思想を概観する。各思想家の紹介は短いが、それらが、江戸の思想の中でどのように位置づけられるかを、わかりやすく説いている。特に、各章の冒頭と結びの部分の指摘は、頭を整理するのに役立った。
#再読 #実家に送ってた本シリーズ 本文だけだと山川倫理の引用文多い版の域を免れない印象もあるし、記述の中で著者が自ら再論にあたっての作戦を貫徹できた印象もあまりない。ただし、著者が漠然とながら「江戸という、人同士が長い期間で共在し始めた時代において、ひとびとが人の関係を捨てない新しい思想を求めよ...続きを読むうとしていたのではないか」という直感がなんとなく潜在しているような印象は受けた。そのような観点から見直すと、江戸の儒学者は、シカゴ派社会学の誕生がシカゴのスプロール化に抗するものであったことに似たような発生過程を経ていたと言い直せるのかもしれない。儒学の都市化とでもいうか。
江戸時代の思想の博覧会。朱子学から国学、蘭学さらに天理教などまで及ぶ。どこかで聞いたことくらいはある思想、人名が多いのだが、改めてこうして総ざらえにされると、江戸の世に百花繚乱の思想があった様がよく分かる。あとがきに、思想に寄り添いすぎて批判的に読むのが苦手、と記してあるがたしかにその通りみたいで、...続きを読む正反対な志向を持つ思想を取り上げてもそれぞれの長所を誉めてしまう。厚くはない新書にこれだけ幅広く詰め込んでいるので細部の突っ込みはあまりないのだが、初心者には好適の見取り図。てんこ盛りすぎて消化不良のきらいはありますが。 元禄ルネサンスなんて言葉をどこかで聞いた記憶があるが、この様子にはルネサンスを思わせるものがある。戦乱の中世を抜けて、はじめは武士のあり方を模索したりしているが、やがて都市に文化が花開く。仁斎や徂徠は、朱子学を突き抜けて孔孟に帰ったという点で古典復興と呼べるだろう。徂徠や富永仲基、吉見幸和のテキスト分析の実証性や白石にみられる合理性、古いドグマを振り払って蘭学等々の実学が生まれるのもルネサンス的と思える。 だから何なのか?都市で束縛の少ない、より匿名的な社会関係が生まれると思想もそういう方向に向かうのかも。本書は序章でそういった社会条件を列挙しているが、そこと思想の関連性をもっと問うと面白いかも。 宣長のニヒリズムには魅力を感じるが、国学の自国中心主義はさすがに少し鼻白む。さらに神がかった感のある篤胤がもっとも多くのフォロワーを各地に残したというのは面白い。天理教などの新興宗教をあわせ考えても、分かりやすさ、受け入れやすさは重要な要素だと分かる。 中国・朝鮮との比較。大陸では儒学が官学で、科挙により儒学者が支配者層になる。日本でも官学は儒学だが、支配者層は武士で別に必ずしも学問をやっているわけではない。儒学者は在野に多くて、そういう層から新しい思想が生まれる。儒学に限らないが医者が多いというのは興味深い。 横井小楠のワシントン褒めとか面白い。 経験主義的な白石や玄白をやっぱり近しく感じます。 徂徠は、その主張はつまらなく感じるが、方法論がすぐれている。そういうのもあり。主張だけ言うなら仁斎の方が腹に落ちる。
江戸時代の思想史を概説している入門書です。 本書の冒頭では、応仁の乱以後の日本を連続的なものとして捉える内藤湖南や網野善彦の議論が参照されています。中世の日本人が異界に近しい生活を送っていたのに対し、近世に入ると社会が安定し世俗的な秩序が整えられるようになります。江戸時代の思想は、そうした社会的条...続きを読む件のもとで形成されていきました。本書では、朱子学の諸概念がこの時代の思想を明確にすることに役立ったことを指摘しつつも、近世以降の日本人が直接的に触れることになった問題を、江戸時代の諸種の思想のうちに読みとっています。 同じ「中公新書」には、伝統的な思想のなかに土着の近代性を見るという立場をとる源了圓の『徳川思想小史』があります。本書は、源とは異なる観点から日本近世思想史の全体を見通すことのできる、優れた入門書だと思います。
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江戸の思想史 人物・方法・連環
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田尻祐一郎
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