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時間の感覚、死生観、恋愛と結婚、酒……今の暮らしは、どこかヘン!? 江戸を向いて歩こう! 恋愛こそすべてという圧力、名前に対する過剰な思い入れ、死んだらおしまいと言えないムード……どこか息苦しくないか? 落語のなかに生きる人々の姿から、近代人のおかしさを撃つ! (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
江戸の世界観を現代に伝える落語。子どもの頃に両親に連れられて上野鈴本で観た正月公演。そこから落語好きになったのだが、今は江戸、明治という時代の雰囲気を楽しんでいる。著者は京都生まれで上方落語や江戸(関東)落語に深い造詣があることをひしひしと感じる。ライブで落語を聞けないとき、DVDではなくCDを推す...続きを読む著者の主張に納得だ。桂米朝を聞いてみたくなった。
落語を題材にした、江戸時代の庶民の生き方。 面白い。 が、ちょっとこの、舐めた文体が、時に苛つく。
ある日突然「落語の国」に迷い込んでしまったビギナーにとって、この一冊はなかなか便利な「道しるべ」となっている。 ここでは落語の歴史やあらすじ、おすすめの噺家などが紹介されるかわりに、落語に登場する人たちー 熊さんや八っつぁん、長屋のご隠居や与太郎といった魅力的な人物たち ーのことばや動きの背景をな...続きを読むす「感覚」について、「時間」「金銭」「結婚」「恋愛」「酒」「死」といったキーワードを通して語られる。 たとえば「時そば」という有名な噺(はなし)の下げ(オチ)は、「九ツ」と「四ツ」という江戸時代の時間の数え方を知っているか知っていないかでその面白さがずいぶんとちがってくるように思えるし、現代よりもずっと「一年」という区切りの単位が重かった時代の噺(はなし)だからこそ、「芝浜」のおかみさんは「大晦日」に真実を告げるのだと合点がゆく。「夢」が「現実」に変わるとしたら、そのタイミングはまさに一年の変わり目にしかありえないからである(以上は、読みながら勝手に感じたぼくの解釈)。ほかには、じっさいに著者が「東海道」を日本橋から京都まで歩いたときの体験から語られる江戸の人々の「歩き」にかんする考察も、ふだんそんなこと考えたこともなかっただけにおもしろく読んだ。 ぼく自身は知らなかったのだが、著者は週刊誌などで活躍する人気コラムニストとのこと。読むひとのなかにはその軽い口調が気に障るひともいるかもしれないが、落語や町人が活躍する時代劇などに関心のあるひとにとっては、おそらくきっと興味深く読めるのではないかな?
落語の時代という200年前と現代の情勢を落語を交えながら比較しつつ語られた本。昔はいかに社会が優先され、今はいかに個人が優先されているか気付きを与えてくれました。随所随所で数々の有名落語ダイジェストもあり、面白かったです。
最近、落語をよく聴く。 話の背景を理解するのに便利。 現代の常識はたった400年前の常識にあらず。
[ 内容 ] 時間の感覚、死生観、恋愛と結婚、酒…… 今の暮らしは、どこかヘン!? 江戸を向いて歩こう! 恋愛こそすべてという圧力、名前に対する過剰な思い入れ、死んだらおしまいと言えないムード……どこか息苦しくないか? 落語のなかに生きる人々の姿から、近代人のおかしさを撃つ!第1章 数え年のほうがわ...続きを読むかりやすい。 [ 目次 ] 第2章 昼と夜とで時間はちがう 第3章 死んだやつのことは忘れる 第4章 名前は個人のものではない 第5章 ゼニとカネは別のものである 第6章 50両で人は死ぬ 第7章 みんな走るように歩いてる 第8章 歩くときに手を振るな 第9章 生け贄が共同体を守る 第10章 相撲は巨大人の見世物 第11章 見世物は異界の入り口 第12章 早く結婚しないといけない 第13章 恋愛は趣味でしかない 第14章 左利きのサムライはいない 第15章 30日には月は出ない 第16章 冷や酒はカラダに悪い [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
○テレビウォッチャーでコラムニストの堀井氏の作品。 ○落語の登場人物や描写、時代背景などを、テーマごとに選りすぐり紹介したコラム集。 ○典型的な古典落語から、新しめの創作落語まで、様々な話について、横串をさして紹介している点が斬新的。 ○内容がやや小難しい部分もあるが、全体として面白かった。
落語噺の住人も現代人も、のぞいてみればおんなじだ。 人間ってもんをわかりやすく教えてくれる。落語にはそんなところもある。 古典落語を聴く。なんも難しいことなんてねえ。ただ、聞けばいい。ちょっとのぞいてみようかなって感じでいいんだ。
一時期、ポッドキャストの落語の配信を楽しみにしている時期があった。少々かじった程度であるので、本からでも他に面白いことがあるのではないかと手に取ってみた。なるほど、昔の常識(武士の利き腕、月と暦の関係)が分かっているのt分かっていないのでは落語の理解、面白さに差がでてくるではないか。今後は違った視点...続きを読むからも落語が聞けるのではないかと思う。著者の言うようにライブで見るべきだが、いつかは行ってみたい。
江戸時代の価値観で現在を見直してみると、意外に面白い。 落語を聞いていて、どうしても現代の感覚からするとピンと来ない場合があります。 ちょっとしたことだと移動の距離感や貨幣価値、労働環境など。 そうしたこのと知識も得られて楽しいのですが、 中でもおもしろいのは「公」と「個」に関する観念の違いでした...続きを読む。 例えば「左利きの侍はいない」という話。 現代の我々の感覚では当然左利きの武士だっていただろうと思ってしまいます。 しかし、いない。日本刀の扱いはすべて右利きを前提に定められており、例外は認められないのです。 なぜなら生存をかけた争いが激しかった時代においては、少数派の存在を考慮する余裕がない。有無をいわさずその型に嵌めた方が効率が良い。ましてや侍とは「さぶらう」つまり貴人の側にいてそれを護る役割であり、あくまでも「公」の存在。個人の好みや個性などという「個」の要素とは最も遠い存在であったのです。 したがって左利きの侍は存在せず、左利きの落語家も、扇子を刀や箸に見立てるときは右利きとして演じる訳です。 ちなみに現代の剣道においても左利きであろうが右利きと同じ構えで教えられます。 あるいは結婚についての話。 庶民にとって結婚はああだこうだ言わないで勧められたらするもの。それ以上でもそれ以下でもない。恋愛なんてのはあるにはあったけれど、閑で金のある人間がするもの。まぁ吉原やら川崎やらでお金を払ってそれらしい遊びをするのがせいぜいで。ここでも「共同体の存続」を「個人の生き方」よりも優先するのが合理的であった時代であることが窺えます。 まぁそんな感じで、現代人からみたら堅っ苦しくて不自由で耐えられないと思いますが、なにしろそんな自由なんて概念すらなかった時代です。でもその中でけっこう泣いたり笑ったり、貧しいながらも人間らしく暮らしていたようにも見えますね。 けっして「江戸時代に戻りたい」という訳じゃなくて、こうした「200年前の今とは全く違う価値観の社会」での出来事がこうして落語というかたちで現在も語り継がれ、しかもその人間性に充分共感しうるという事実に驚き、なかなか素敵なことだなぁと思うのです。寄席に行ってみたくなりますね。
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堀井憲一郎
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