過去に起きた国家的な債務危機、金融危機を、1800年以降を中心に(古いところでは1400年代も含めて)長期的な視点でデータを蒐集して研究した大変な労作である。今後は、この本に出ていることは経済・金融関係者にとって当然の共有知識として持っておきたい。ロゴフは"Foundations of international macroeconomics"という優れた国際マクロ経済学の本も書いている。しかしこの本では経済モデルは出てこなくて、データに全てを語らせるというスタイルが貫かれている。588ページの本であるが、本文は414ページまでで、残りは参考資料である。
この本を読めば、金融危機は以前から何度も繰り返し起きていることが分かる。リーマン・ショックもそのうちの1つであって百年に一度などと呼ばれるようなものではない。
長期の分析で”this time is different”で毎回同じような歴史を繰り返してきたのだなと思った。
長期のデータセットと分析は非常に興味深いと思いつつ、”なぜその危機が起こったのか”という背景には踏み込まず、あくまで起こった事象の解説という感じがしたのが若干物足りなく感じた(ただ、扱っている事件や事象が広範すぎるので、無理な願いという気もする)
また、例えばヘンリー8世?など昔のデフォルトについて、現代と同じように分析して良いのかなど、時代や社会背景が違う事象を並べて分析して良いのかという点にも疑問が残る。
ただ、今回は違うということはない、という点を広範なデータセットで提示しているという点が非常に興味深い本だと感じた