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戦後の世界には、常に米国が最強という「柱」があった。軍事的に経済的に、文化的にも他国を圧倒した米国が戦後世界を取り仕切った。旧ソ連との冷戦に勝利し、日本の経済的挑戦をも退けたことで、盤石と思われたその地位が、しかし今、揺らいでいる。米国の影響力が減退する中、世界は新たな秩序を模索し始めた。いっぽう日本は、ますます米国依存を深めているようにも見える…。外交と国防の大家が激動の国際政治をリアルな目で俯瞰。新時代の針路を読み解く。
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Posted by ブクログ
著者の孫崎氏の本はそれなりに読んできたが、これまでの本はどちらかといえば、孫崎節的な同じ論が繰り返されていたような気がするが、本書はもちろん著者の意見を書かれているが、より多くの引用文献等が紹介されていると感じた。 内容的には、これまで1世紀世界の覇権としてのアメリカが衰退し、中国が大国としてあが...続きを読むってくる時代にどのように考えていけばよいか、様々な意見を紹介しつつ著者の立つ立場を紹介している。例えば、タカ派とハト派の重鎮の意見を紹介しつつ、これはハト派の意見が筋が通っている著者は思うなどのような書き方である。 状況分析とともに、平和の手段の構築、4つの脅威(中国、北朝鮮、イスラム、イラン)など、時間をおいて再度読んでみたいと思う。
ソ連崩壊崩壊後、アメリカの一強時代が到来した時期もありましたが、現在の世界情勢はそのようなことにはなっていません。 アメリカ時代の終わりで世界秩序はどうなっていくのか、日本の安全保障を考えていくうえで、きちんと世界で起こっていることを分析しておく必要があります。 世界中の政治家、外交・国防・学者...続きを読むの言動をあらゆる角度で見ていかなければなりません。 そういう意味で、元外交官の書いたこの本は示唆に富むものであり、一読の価値はあるでしょう。
世界の二大大国の話。 日本人はひたすら対米追従であるが,それへの疑問符を発した本。 中国は巨大なマーケットであり,世界の中心的存在になっていくことにもはや疑いはない。中国との戦略的互恵関係を築くべきである。領土問題等は一旦棚上げである。それが現実的な選択であろう。 尤も,領土の問題はそううまくいかな...続きを読むいであろうが・・・。
・有史以来、産業革命までは中国とインドが世界のGDPの約50%以上を常に占めていた。歴史的に見るとこの2カ国の台頭は普通のことである。 ・AIPAC(アメリカイスラエル公共問題委員会)は、全米最大のロビー団体。政治家への資金援助も最大。オバマも会合で演説。
これからの世界は大変化の時代にあり、米国一極支配が終わりアメリカ衰退後の中国台頭時代の世界観を分かり易く解説されていた。
筆者といい佐藤優氏といい、分析の客観性が提言になると鈍るのはオシントの限界なのか。 両氏ともさらに、自分のキャリア周辺分野になると逆に体験が邪魔をするのか客観性が低くなる傾向を感じる。 過去の書籍と比べて新しいこともあまり見えず、少し残念。
著者は、最近、書店でよく見かける孫崎亭(まごさきうける)さん。外務省ではイラン駐箚特命全権大使などを経験されている。本書以外では、『戦後史の正体』などで話題を呼んだ。米国追随に対して疑問を投げかけるスタンスが一貫している。 本書については、タイトルどおり『これから世界はどうなるか』という、ある意味...続きを読む未来予測本だが、孫崎さん自身が本書を通して、自分の論考をまとめたものだと思う。それゆえ、孫先さんの意見が集約されているのは「終章」だ。 1.いま、世界は大変な変動期にある。米国の一極支配が終わろうとしている。 2.中国の経済力が米国を追い抜くことは世界では自明なことである。すでに、2010年には中国の工業生産は米国を追い抜いた。今後は中国経済全体が、米国経済の上を行くことは確実であり、100年に一度の歴史的変化が世界に起きている。 3.軍事力では、中国が米国に追いつくと考えるのが妥当。しかし、核兵器の均衡から、お互いに攻撃しないという合意を求める方向になる。米中間では、すでにその戦略対話が始まっている。加えて、ロシアも同様の関係であり、この3国間で、最終的な覇権争いをするような直接的な軍事衝突はないだろう。 4.米国は、依然として世界を、「民主主義国家」「市場経済」に変革することが自分たちの使命であると考えている。そのための軍事力行使は躊躇しない。 5.ロシアはかつての共産主義イデオロギーの拡大を図る国家ではない。ただし、旧ソ連を構成していた地域には特殊な思いがあり、特に中央アジア、コーカサス地方が問題となる。 6.中国は、共和国の一部と思っている地域に対する軍事行動はあるだろうが、米国と異なり、自国周辺とはいえない国に対する軍事行動はないだろう。 7.米国という超大国が衰退する中、国連憲章の原則を確認することが、もっとも平和に近づく術であろう。そのヒントは、第一次大戦、第二次大戦後の独仏関係にある。地域協力を意識的に作り出すことで、共同体、協力分野の拡大を図ることができた。 8.アジアではASEANがこれに該当するだろう。地域協力を構築することが、国家間の軍事紛争を軽減することに寄与している。 9.各国の国内時事情的には、軍事力を主張するグループ(タカ派)と、平和を主張するグループ(ハト派)が並存する。ハト派グループは、しばしばタカ派に押される。ある国のハト派は、相手国のハト派と連携を図る努力をしなければならない。これができないと、通常、タカ派グループに押し切られる。 これらのまとめは、ある意味、当たり前と思うかもしれないけど、だけど、その当たり前を改めて考えることに意味があるのだと思う。
皆さん都市伝説ってどう思います? 私なんかは、下らないとか言いつつ、ついつい引き込まれてしまいます。 さて、実は私は陰謀論とか結構好きです。なんか都市伝説と似ていませんか。今のご時世ならば(不謹慎ながら)コロナはどこぞの国が作った人工ウイルスとか、あるいは製薬業界の仕業とか、いやいや常識的には...続きを読むないでしょと言いつつ、心の底でまったくないとは言い切れんかも、とか思いつつ。 実は本作の著者の孫崎氏もこれまでは私の中では陰謀論者のカテゴリーに所属しておりました。それは以前「戦後史の正体」という本を読んだからでした。 さて、陰謀論だという印象はでも、そもそもどこから来るかと言えば、語られることがいわゆる常識的な話(学校教育やマスコミでの情報)から大分離れている場合に受けると思います。 でも実際に陰謀論かジャーナリズムかを判断するとすればその分水嶺は、依拠する出典が相応にあるかどうかによると感じています(勿論、どこまで証拠を出せば十分かといえば、永遠にグレーにはなりえます)。 そうした典拠の点では本作、陰謀論でもなんでもなく、骨太な国際政治論であったと思います。 ただ内容は過激です。米国が挑んだイラク戦争は嘘だった。米国では当事者が誤りを認めている、米国内では米国衰退論が起こっている、イスラエルと中東との関係、欧州連合のスタンス、テロと外交のバランス等々。 日本では殆ど報道されませんが、米国にも自国の政策を自省するむきももあるのですね。リベラルが居てネオコンも居て、結局まだら色の体をないしている。だから、そうしたものを渉猟してその国のカラーを学ぶべきなのでしょうね。 少なくとも日本のマスコミはそうしたものを分け隔てなく報道・紹介しているようには感じず、その点読後に残念に感じました。 ・・・ まとめると、なかなか面白かったです。 著者の孫崎氏が防衛大学で教授を歴任しているところを見ると、氏の意見や知見は、防衛庁が理解している米国や外国とは本作のものと同じ方向にあるのであろうと想像できます。 また、米国のリベラル、ネオコン、どちらのオピニオンリーダーも出典や概要が併せて記載があるので後から追いかけて読むことが出来そうです。参考になります。 日本の将来が末恐ろしいと感じるかた、政治を何とかしたいと思う方、日本の米国との関係やアジアとの関係はこのままではいけないと感じる方等々、政治や国際関係に興味のある方にはお勧めできる本でした。
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孫崎亨
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