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戦後の市民による政治参加に圧倒的な支配力を及ぼした丸山眞男。そのカリスマ的な存在感の背景には、意外なことに、戦前、東大法学部の助手時代に体験した、右翼によるヒステリックな恫喝というトラウマがあった。本書は、六〇年安保を思想的に指導したものの、六〇年後半には学生から背を向けられる栄光と挫折の遍歴をたどり、丸山がその後のアカデミズムとジャーナリズムに与えた影響を検証する。
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Posted by ブクログ
本書のいうとおり、戦後左翼にとって幻滅しつつあった共産主義に代わる器が丸山眞男だったとすれば、ものすごい影響力を持つ人物だったのだと思う。いま丸山眞男の評論を読んでも深く感じるところがないので、かつての時代の雰囲気を逆に強烈に感じる。 本書では現代からの視点で丸山眞男に対する違和感が数多く語られる。...続きを読む戦争に反対する社会的クラスと積極的に賛成するクラスを、画一的に論拠なく断定したこと。社会運動を煽るものの、サルトルなどとは異なり自身はそれらに参加しないこと。そして学生運動で自身の研究室が破壊され、学生をナチス以下呼ばわりしたこと。荻生徂徠を近代政治のきざしであるかのように牽強付会に論じたこと。日本の敗戦までのみちのりを西洋近代の理想からの落ちこぼれとみなしたこと、などなど。 丸山眞男は心のどこかで大衆社会を信用していない。にもかかわらず大衆社会を自身の理論と実践に最大限利用しようとする。それは30年代における大衆社会化の逆利用のようだ。だから戦後にファシズムや軍国主義が忌諱されたように、ひとたび大衆を裏切ったかように見られれば、丸山眞男も手のひらを返して糾弾されるのだ。よくも都合よく私たち大衆を利用したなと。戦争終結時の丸山眞男の有名な言葉、「どうも悲しい顔をしなければならないのは…」。ここからすでに大衆の心もちと掛け離れていたのであれば、はじめから運命は決まっていたのかもしれない。 当初は簑田胸喜との対比で丸山眞男が描かれる予定であり、簑田に触れる部分がずいぶん多い。
「普遍的知識人」としての丸山眞男の思想史的な位置を、戦中から戦後にかけての日本社会における文化資本をめぐる状況の推移のなかで検討しています。 前半は、狂信的な国家主義者として知られる蓑田胸喜について多くのページを割いて考察をおこなっています。また著者は、「亜インテリ」と「本来のインテリ」を区別しよ...続きを読むうとした丸山の主張に対する批判を展開し、ファシズムを下支えすることになった「亜インテリ」とされる人びとが、教養主義の丸山らとは異なるもうひとつの形態にすぎなかったことを明らかにしています。 そのほか、戦後の社会状況において丸山が「普遍的知識人」としての地位を占めた理由と、その後本格的に日本社会を覆うことになった大衆文化に直面するなかで丸山が直面することになった困難を、文化資本の社会的変遷という枠組みによって説明しています。 丸山眞男の思想そのものではなく、丸山眞男を焦点とすることで「丸山眞男の時代」について考察をおこなった本として、興味深く読みました。
戦中戦後の大学、及びジャーナリズムと 大衆インテリの動きについて 丸山を中心に時代の流れを伝える一冊。 丸山らを取り巻く議論については 難しく感じる点が多々あった一方、 時代の雰囲気については理解しやすく、かつ内容も面白い。 もっと詳細に戦中や戦後安保闘争時の潮流を 知りたいと感じさせた。
丸山眞男の時代という書名通り、丸山だけに焦点をしぼらず、丸山が活躍した時代全体に焦点を当てようとするなかなかの力作。 著者は、教養主義の没落などの作品を書いてある社会学者の竹内洋氏であり、ところどころにある社会学的な統計的な裏付けもあって、読んでいて楽しかった。 簡単に要旨をまとまれば、丸山思想...続きを読むの背景や時代の説明に始まり、法学部の政治思想史を教える傍ら、「超国家主義の論理と心理」により、日本独自の視点を指摘して注目されたことや、その影響を描いている。しかし、その後は有名であるがゆえに、様々な批判も受けることになる。当時の教養主義についても、終章で触れている。 丸山思想や時代背景も含めて全体としてとらえたいならば、丸山眞男の本は数多いが、そのうちの1つとしてこの本もお勧めしたい。
なかなか面白い。 丸山眞男と彼の生きた時代背景。 丸山にフォーカスしつつも裾野は広く、彼の生きた時代を、彼を通して捉えなおしている。 全闘連、戦争…知識が大衆化された現代、その制作に携わった人物の功罪を冷静にみつめ、その背景を読み解いた一冊。 今に近い歴史は中途半端に受けとめがちで、ともすれば...続きを読む古い歴史こそ率直に受け入れる。 この本はその中途半端さを解消し、今と近い時代に於ける日本で起きた知の変化を認識させてくれた。
竹内洋 「 丸山眞男 の時代 」 丸山眞男の思想論というより、丸山眞男は誰を啓蒙し、その背景は何かを論じた本。東大法学部という肩書とジャーナリズムを利用して、大衆にインテリという政治主体者の役割を啓蒙したという構成 敗戦により天皇が象徴になり、国体が破壊された日本において、大衆に政治主体となる...続きを読むよう啓蒙したようにも読めるが、丸山眞男に代表される知識人が大衆をコントロールしているようにも読める。本の後半は 丸山眞男への批判色が強い。必要悪として捉えている 戦中日本のファシズムを超国家主義とした丸山眞男の概念は 自由意思のない国家主権をうまく表現している。倫理すら権力化し、上級者によって規定された行動基準には 恐怖を感じる 八.一五革命説 *日本国民は敗戦によって国体から解放され、自由なる主体となった *八月十五日にさかのぼれ〜私たちは廃墟の中から、新しい日本の建設を決意した
丸山眞男像というものが今ではどうなっているのかわからないが、非常に現代的な評価だ。例えば蓑田胸喜などとの対照として丸山がいたことなどについて現代に通じる。
日本の政治経済、文化、官僚を支配する地のパラダイムである法学部的知と文学部的知も解体されつつある。 法学大学院と4文字学部(国際教養とか)によって、大衆教養主義の没落によって歴史、哲学、政治、思想、文学の知が崩壊している。最近の大学生で丸山を読んでいる人なんていないのかな。
[ 内容 ] 戦後の市民による政治参加に圧倒的な支配力を及ぼした丸山眞男。 そのカリスマ的な存在感の背景には、意外なことに、戦前、東大法学部の助手時代に体験した、右翼によるヒステリックな恫喝というトラウマがあった。 本書は、六〇年安保を思想的に指導したものの、六〇年代後半には学生から一斉に背を向けら...続きを読むれる栄光と挫折の遍歴をたどり、丸山がその後のアカデミズムとジャーナリズムに与えた影響を検証する。 [ 目次 ] 序章 輝ける知識人 1章 ある日の丸山眞男―帝大粛正学術講演会 2章 戦後啓蒙という大衆戦略 3章 絶妙なポジショニング 4章 大衆インテリの反逆 終章 大学・知識人・ジャーナリズム [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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