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先端テクノロジーは私たちをどこへ連れていこうとしているのか。私たちは、このテクノロジーを受容することで、どのように変容するのか。人間は何になろうとしているのか。人間であるとはどのような意味なのか。
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Posted by ブクログ
人間のサイボーグ化についての議論を 今のうちに俎上に載せておきましょう という内容。攻殻機動隊を全部見た後に読んだ。 脳の可塑性。環境に適応しようとする性質。 環境が可変可能になってきたら必然的に サイボーグ化するのか。
①VR、ユビキタス、BMI/BCI、ナノテク、細胞を創る技術など、先端テクノロジーを貫く発想の原理には「ビット化」がある。「ビット化」によって、対象の無再現の変形可能性が生まれる。 ②脳は環境が変わればそれに柔軟に対応する「可塑性」を持っている。 人間は、その脳の可塑性に基づいて、環境に適応するとと...続きを読むもに、環境を改変せざるをえない。 ③先端テクノロジーが環境を改変すれば、私たちもそれに呼応して変容せざるをえない。従って人間(脳)のサイボーグ化は不可避の過程である ④脳は自己完結した機構ではなく、身体を通して環境とたえず相互作用のループを描いている。こうした自然状態の<脳・身体・環境>の相互関係は、テクノロジーを通じて拡大・拡張され、ひいては個体性を超えるまでに変容されうる。 ⑤テクノロジーを通じて人間は物質と接近・融合化(サイボーグ化)していくことで、人間と物との境界を曖昧化する存在、人間と物のあいだを浮遊し漂う存在へ変容していく。 ⑥サイボーグの心とは、個体という枠組みが絶対的なものではなくなったところに成立するでろう、自分と対象(他者や物)、自分と環境のあいだの浮遊である。 ⑦パターン化の能力をもつものとしての人間・最終的に宇宙で魂を満たす人間は、人間であるかもしれないが、つねに人間以外の者へと変質していかざるを得なくなる。 ところどころぶっ飛んだ論理展開にも思えたが(カーツワイルとチオンピの説を用いた終盤など)、そもそも筆者は現実がSFのような世界に近づいていることを前提としているので、これもこれで一つの仮説として受け入れるべきなのか。 それとは別に、3つの『攻殻』作品を次のように分析しているのは興味深い。 ①士郎版は、サイボーグ草薙素子の自己への回帰、 (荒巻素子といった草薙素子の亜種・同位体たちは、相互の差異はありつつも、究極的には、機械との融合体である草薙素子へと回収されていった) ②押井版は、素子の他者への素子の変容、 (素子は人形遣いと融合することで、人間以外の他者になることを望み、イノセンスでは少女や鳥、ハダリとして存在することができる異化作用を可能にした) ③神山版は、自己と他者の混交的・融合的な媒介を描いている (自己は「消滅する媒介者」として消滅・変形することで、新たなるものを産み出し、変容し続ける。自己は変形されることで他者との混合体となる。自己と他者は混交し、互いを関係付け合い、互いに媒介し合う。)
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高橋透
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