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Posted by ブクログ
「一茶は生涯を通して、農民への畏敬、都市に暮らす裏長屋などの下層民への共感、政治や経済への強い関心を変わることなく持ち続けた社会性豊かな稀有な俳諧師であった。その俳諧師が自ら生きた文化文政期という時代をどのように見ていたのか。それを一茶の句を使って描いてみたのが本書である」(p.176)と、著者急逝のため瀬戸口龍一が代筆した「おわりに」で端的に述べられているように、一茶の文学的な研究ではなく、一茶を媒介とした18世紀後半~19世紀前半の江戸社会史である。一茶の遺した大量の句集や日記・書簡などを通して、「先進工業地帯」であった故郷信州の経済構造の変化、年季奉公による江戸と農村の間の人びとの移動、対外危機によるナショナリズムの萌芽、「世直し」志向の台頭といった時代の様相が浮かび上がる。
Posted by ブクログ
昨年…2013年・夏…一茶生誕250年ということで…
その故郷である長野県信濃町を旅した。
旅から戻り、立ち寄った書店で見つけたのが本書だ。
好好爺のイメージとは異なる、一茶像が描かれている。
残された句…芭蕉は976、蕪村は2918に対し、
一茶は21000と桁違いに多い。それは、句にするテーマの
広さを伺わせる…江戸に出て俳句を学び、全国を歩き、
膨大な数の読書をし、時代の趨勢にも眼をやっていた。
それに、相当なメモ魔で…50過ぎてもらった20代の奥さんと…
「夜五交」…などと書き残していてビックリ…(@_@。
本書は、これまであまり取り上げられることのなかった、
一茶の句を紹介している…名句一歩手前の句?…
今しがた此世に出てし蝉の鳴
国土安穏とのん気かがし哉
梅がゝやどなたが来ても欠茶碗
涼風の曲がりくねって来りけり
花の世や出家士(さむらひ)諸あき(商)人
それから、本書で仕入れた小ネタをひとつ…
「尾張名古屋はシロでもつ」と云ったのは、
蕪村なのだそうだが、ここで云う「シロ」とは、
「井上士郎」…当時の中部俳壇の重鎮だったそう…
残念ながら本書の完成を見ることなく、著者は
逝去された…とのこと。俳句を専門としない著者の
視点は新鮮に感じられ、興味深く読んだのだけれど…
おそらくや、最終段階まで手を入れるつもりだったろう…合掌。
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