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一九九五年にドイツ各地で開かれた「国防軍の犯罪」展は激しい抗議運動を引き起こした。ナチスばかりでなく正規軍である国防軍も残虐な行為を行っていた事実に光が当てられたためである。「ドイツは自らの戦争責任を認め、謝罪してきた」と言われてきたが、それは正しいのだろうか。膨大な聞き取り調査を通じ、ドイツが冷戦構造の中で巧妙に論理のすり替えを行ってきたことを検証し、歴史と向き合うことの重さと意味を問う。
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Posted by ブクログ
ドイツによる第二次世界大戦の清算過程における問題を、 非ナチ化と三種の戦争犯罪という面から議論する一冊。 日本との対比もあり論点が明確でわかりやすい。 また急速に進行した東西冷戦の影響が強かったことも印象的だった。
戦争責任についてはドイツは日本の対極にあって、模範的だとみられることが多いが、それはいわゆる「ホロコースト(大量虐殺)」を戦後問いつづけ、全ての責任をヒットラーやナチスに負わせてしまったことからきている。ヒットラーやナチスだけが悪いのではないという認識が戦後生まれたようだが、慰安婦問題などは今でも問...続きを読む題にならないという。日本で言えば、東条たちA級戦犯に戦争の全責任をとらせようという発想に通じる。戦争責任は重さの違いこそあれ、全国民が負わなくてはならないものだ。ドイツではホロコーストが強調されるあまり、侵略の責任、慰安婦を含む戦場での犯罪は不問に付されてきた。ドイツ人にとっては、むしろ戦後ソ連が入ってきたときの大量強姦等による被害者意識の方が強かったようだ。戦争責任というものを世界的に考えてみる必要を感じた。
同じ戦争敗戦国であるドイツと日本でどう歴史認識を行っているのか、それが世界でどう認識されているのか。今韓国、中国から非難されている日本は過去の日本政府、官僚、国民の対応の結果だろう。ドイツも形こそうまく清算したかのように見えるがそれは見せかけだけ。調べてみると負の部分はどんどん出てくる。今一度歴史を...続きを読む考えてみるべきであろうと思わせる良本。
戦争責任については、中韓からは「未だに過去を清算できない日本」と言うメッセージが世界中にばら撒かれており、片やドイツは現在の処この問題を実にすっきり処理しているように見えます。 この日独両国の差を解きほぐそうとしたのが本書で、非常に精力的に取り組んだ本だと思います。 結果から言うと、 ①ドイツはヒ...続きを読むトラーを絶対的な悪役にしてあっさり責任を押し付けた。 ヒトラーは敗戦直前に自殺をしていたので、裁判にかける必要がなかったし、しかも彼は外国生まれの成り上がり者であり、ドイツには遺族や親族もいなかった。 この事により、ヒトラーとナチスをスケープゴートにした国家的トリックが仕掛けられ、かつ見事に定着した。 ここに、日本の天皇との 大きな差があると思います。 ②二番目が日独両国の首脳の資質の問題。 戦後のドイツの首脳の配慮の行き届いた発言に対して、日本の歴代の首脳の配慮を欠いた発言は枚挙にいとまがない。 これらの発言により、責任を取ればまだしも、そうではないので、国際社会から見れば、日本人が「反動的」な首脳を支持しているように映り、かつ過去を清算していないという負のイメージが、更に膨らむという悪循環を繰り返している。 著者は上記に加え、更に1985年のドイツのバイツゼッカー大統領の演説で「ドイツの敗戦」が「ドイツの解放」という言葉に置き換えられた。これは見事な国家的なトリックであると。 ただ、良心的なドイツ人からは、ドイツ国民はナチスから解放されたのではなく、当時の相当数の国民がナチスに加担した事実や(ナチスではない)国防軍の責任について考えるべきだと言う意見が時折出てくるが、本書のサブタイトルの「清算されなかったドイツの過去」とあるように、現在の処そのような意見は封印されてしまっているようである。 日本の戦争責任の問題をこの欄で言うのは話がややこしくなるのでやめるとしても、我々日本の戦後世代が思うのは、せめて国益を損なうような政治家の行為や失言だけでも止めて欲しいものです。
[ 内容 ] 1995年にドイツ各地で開かれた「国防軍の犯罪」展は激しい抗議運動を引き起こした。 ナチスばかりでなく正規軍も残虐な行為を行っていた事実に光が当てられたためである。「ドイツは自らの戦争責任を認め、謝罪してきた」と言われてきたが、それは正しいのだろうか。 膨大な聞き取り調査を通じ、ドイツ...続きを読むが冷戦構造の中で巧妙に論理のすり替えを行ってきたことを検証し、歴史と向き合うことの重さと意味を問う。 [ 目次 ] 序章 日独でちがうもの、おなじもの(ふたつの舌禍ドイツ版“君が代論争”) 1 善いドイツ人と悪いドイツ人=DEトリック(旧ドイツ国防軍の暗部、トリックの仕掛け人 ほか) 2 忘れられた「戦争」の罪責=ABCトリック(ふたつの国際軍事裁判、すれちがう日独比較 ほか) 3 粉飾された国家像=ABC・DEトリック(トリック集大成―ヴァイツゼッカー演説、トリックからの決別―ヘルツォーク演説 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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“戦争責任”とは何か 清算されなかったドイツの過去
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木佐芳男
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