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優美かつ艶やかな文体と、爽やかで強靱きわまる精神。昭和30年代初頭の日本現代文学に鮮烈な光芒を放つ真の意味での現代文学の巨匠・石川淳の中期代表作――華麗な"精神の運動"と想像力の飛翔。芸術選奨受賞作「紫苑物語」及び「八幡縁起」「修羅」を収録。
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Posted by ブクログ
歌詠みの家に生まれた宗頼、才能は豊かだが心に鬱屈したものを抱え、辺境の地に追いやられる。人を憎む狐の化身である美女を手に入れた宗頼は邪魔者を殺し続け、その跡には死者を想う紫苑が植えられた。そしてついに魔の矢により地上を焼き尽くす。 / 紫苑物語 山の岩戸に住む石別(いしわけ)一族は、里の人々と適...続きを読む度な交流を持って独自の生活を成り立たせていた。しかし里の支配者は彼らの名なしの神を奪い征服しようとする。いつしか名なしの神はその由来を大きく書き換えられ、八幡大菩薩(源氏の氏神)になる。 / 八幡縁起 人から外れた胡摩姫(コマ=駒=馬)と、山賊、足軽、盗賊たちを通して日本の起源を描いた物語 / 修羅
あ…ありのままに今起こったことを話すぜ… 『学校の課題で糞つまらん文学作品を読まされていたと思っていたが いつの間にかカッコよすぎて言葉を失っていたッ!』 美文とか漢籍の素養とか そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
若い国守は歌を捨て、狩へすすみ、やがて人を殺すことを覚える。雪崩れるような勢いの、妖艶な美文にくらくら。
言葉が光り輝きキラキラしています。テクストがまさに織り上げられ敷き詰められている。そんな感じがします。小説って織物なんですね。
所収の「八幡縁起」がベスト。太古からの日本人精神史でもあります。石川淳の文は読むと力が湧く貴重な文です。こんな文章を書く人、また現れないかなと願ってます。
再読。 最初に読んだ時からかなりの時間(30年くらい昔)が経つ故に、ほぼ初めて読んだように向きあった。 若かりし日に読んだ時の印象は、著者の他の純文学作品と比較して読みやすいな、ぐらいのものだった。改めて読むと、熟練の技とでも言いますか、洒脱な文章に舌を巻く気持ち。この味は、外国語に翻訳するとリ...続きを読むズムとコクが再現できないだろうな、などと考える。
著者の作品を初めて読む。文体のリズム良く、音楽を聴くように読める。私の、少ない読書体験から近いものを選べば半村良氏。フィクションだからこそ、歴史を引き寄せて想像出来る。
☆3.5 復古派、石川淳 王道の幻想譚であらう。 後半にかけておもしろく読めたが、もっぱら筋のなりゆきゆゑ。雲の上のたゆたふ筆致は、読み手に依れば川のやうによどみ、ともすればしづんでしまふ。使ひ慣れぬ漢語和語の連打の蕩揺としたとりえが読み初めはこころ苦しくあり、のびた麺のやうに好むところがすくな...続きを読むいこともある。竹を割った切れを味はひたいと願った。世の中を文章で美化しても、卑下しても、本質は変らない。自分には実直な方がいい。 構造としては、上田秋成「雨月物語」の影を落す。日本霊異記、宇治拾遺物語の滑稽感はなく、むしろ徳川期に多いやうな人間のくろぐろしい浅ましさをゑぐった王道の寓話伝奇が形を変へ、内容もそぞろに、現代の作家でいへばイタロ・カルヴィーノ、の方向性か。藤枝静男の奇想とちがって、すでにある物語の型になぞらへて、おもてに出した。 瑕瑾はあり、歌詠みが主人公なら実際に和歌を出せばよいが、出さない。天才的な歌詠みであることに説得力がない。ひとに、和歌の素養はなかったのかと勘繰ってしまふ。古典的長文ではあっても、日本古典と異なる趣きは和歌があひだに挟まらず、あくまでもよそほった文体だからだと思ふ。それに、平太、妖狐と出逢ふまでの前半はいかにも説明的でつまらない。歌詠みである必要も筋の意匠としてない。歌詠みが狩にのめり暴虐のかぎりを侵して、死ぬ。谷から聞えてくる歌も辻褄合せにとってつけたやうである。 夏目漱石の漢文素養とは違ふ。漱石時代の教養がまぢかであった前時代の遺物なのは仕方ないとしても、かれはあくまで町人然とした粋人にこだはったふうである。 粋人は弟子の丸谷才一まで受け継がれ、それは文章読本の例文の趣味や、忠臣蔵の評論、花柳小説であきらかだ。斎藤美奈子の、例文に祝詞まで持ちだす、といった批判はただしい。王朝復古と評したのはまさに適当な表現だらう。
「紫苑物語」「八幡縁起」「修羅」の3作が収められている。このうち「紫苑物語」についてドナルド・キーン氏が自伝の中で、美しい日本語で書かれていると絶賛していたので読んでみた。 石川淳は今回初めて読んだ。解説を書いた立石伯氏によれば、石川淳は第一等の詩文の大家だったそうである。それ故戦いの場面でさえ...続きを読む美しい文章で書かれているのだという。 ストーリーについてはあまり良く理解できなかったが、キーン氏の言う「美しい日本語」には出会えたような気がした。
【お金が無いので再読】 ダイガクの文学総論みたいなのでやった。 その時はまったく理解できなかったが、数年経ってまた読んでみたけど、ピンとこなかった。 あたしの感性の問題か?? 表現のすばらしさも良くわかんなかった。 勝手言ってみると、やりまくりブーの白痴姫の理由をもっとかいてみれば、おもしろいの...続きを読むではないか、と。
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