無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
トラベルミステリーで有名な西村京太郎による長編ミステリー第1作「四つの終止符」です。
この作品は、聾者の置かれた厳しい現実、理解のない社会に対する痛烈な批判が、荒っぽい言葉ではなく、淡々と語られています。ミステリーとしては、いったい誰が犯人なんだろう?と、最後の方まで分からず、う~ん?と悩みますが、そのこと以上に、聾者に対する世間の冷たい扱いを改めて知り、自らへの反省も含めて、大いに考えさせられる作品でした。
下町の玩具工場で働く晋一は耳の不自由な青年だった。ある日、心臓病で寝たきりの母が怪死する。母のためにと晋一が渡したという栄養剤から砒素が検出されたとき、容疑は晋一に集中した。すべてが不利な中で彼は無実を叫びつつ自死してしまう。
晋一がたまに行っていた飲み屋「菊」のホステス幸子は、ある理由から晋一と懇意になっていたが、彼の無実を信じ、無実を晴らそうと動く中で、彼の自死を知り、自らも後を追ってしまう。
同じ店のホステス仲間の時枝は幸子の無念を晴らしたいと考え、新聞記者の古賀とともに、真犯人を探しはじめる。
貧しく、誰にも恨まれることのない晋一の母、晋一が殺したのではないとしたら、一体誰が彼をハメたのか?
作品の中で、何度か聾学校が描かれていますが、子供たちは聾学校で一所懸命に言葉を覚え、社会に出ていくものの、社会の仕打ちはとても厳しいものでした。聾学校の中で、あんなに明るかった子供たちが、社会に出て、周りの無理解にさらし者にされ、笑顔を失っていく...。ただ、耳が聞こえないというだけで、どれだけの差別を受けるか....。
そうして、彼らは自分たちの殻に引きこもっていってしまう....
いや、そうさせてしまっているのが社会なのだ....
最後に分かる真犯人ですが、何故、彼がそんなことをしたのかについては、やや釈然としないものもあります。ただ、その時点では、真犯人のことよりも、障がい者の置かれる現実の厳しさの方が重くなってしまっていました。
本作は、1965年に松竹から「この声なき叫び」というタイトルで映画化され、また1990年には劇団GMGというところが自主映画として「四つの終止符」と同じタイトルで映画化しています。
さらに、テレビ東京系列『女と愛とミステリー』枠でテレビドラマ化もされ、2001年1月17日に放映されています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸