ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
6pt
何もさえぎるものない丘の上の新しい家。主人公はまず"風よけの木"のことを考える。家の団欒を深く静かに支えようとする意志。季節季節の自然との交流を詩情豊に描く、読売文学賞受賞の名作。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
はっきり言って何も起きない、筋書きがあるともいえない、ないないづくしの家族小説(大きな出来事は落雷くらい)。なのだけれど、この平凡な家族の生活をいつまでも見ていたいような、不思議な気分に浸ってしまった。そう思わせるのは、解説が指摘するように、結局はこの平凡な生活が永遠には続かないことへの切なさが、背...続きを読む後に流れているからだろうか。 本作は、1964年9月~64年1月の『日本経済新聞』夕刊連載小説。つまり、東京五輪とまさに同時期なわけで、五輪の「華やかさ」で印象付けられる年に、こうした静謐な作品が連載されていたことに、高度成長という時代の多面性も感じた。
なんでもない日常の光景が、こんなに輝いていたなんて。 近所の野山で遊んだり、学校帰りに梨を買ったり、部屋にムカデが出たり、風邪ひいたり…。 懐かしくて、温かくて、優しい毎日が、美しく移ろってゆく。 ずっと浸っていたい空気がここにある。
丘の上の新しい家に越してきた家族が、その土地になじみ毎日を過ごしていく様子を穏やかに描いています。 この小説には、萩、金木犀、山茶花、ムカデ、梨・・・といった季節季節の自然が出てきます。 自然と交流しながら成長していく子供達、子供とのやりとりを楽しみ支えていこうとする主人公の父親、家族にそっと寄り...続きを読む添う母親が目に浮かびます。 一見して、平凡で当たり前で目立たない、落ち着いた生活を見つめた作品です。 しかし、作者の柔らかく美しい文章が、そうした生活の尊さや深さに気づかせてくれます。
<poka> 小田急線生田駅近くの西三田団地が舞台の家族小説。 大学がその近くだったので懐かしかった。 文体は穏やかで疲れることはありません。こんな文章を書きたくなります。 <だいこんまる> ビートたけしは、生田大学のあの階段を上るのが面倒で大学を辞めたとか。
まず前提として、本書は“純文学”であるということを分かっていなければならない。決してエンタメ小説ではない。基本、“退屈でつまらない”、それが純文学である。人を楽しませるために書かれた本ではない。 前情報なく、本書を読み始めると、「何だこの退屈な小説は」と思い、途中で投げ出してしまうかもしれない。なの...続きを読むで、巻末の解説を最初に読むことをおすすめする。 「幸せとは何でもない日常にこそあるのだ」 確かにそうだろう。そう思って読んでいた。退屈を愛でること、それこそが幸福であると。 しかし、どうやらそんな単純な話ではないことに途中気づいた。 当たり前の日常は、当たり前“だけ”ではない。退屈な日常は、実は、退屈ばかりではない。 そこには必ず、“危うさ”が潜んでいる。 当たり前も、退屈も、いつそれが消えてなくなってもおかしくない。実はとても不安定で、危ういものである。夕べの雲のように、いまの形は次の瞬間には変わっている、言い換えれば、いまの形は次の瞬間には“消えている”のである。そう考えると、いまの平凡な日常が、“いま”であるはずなのに、どこか懐かしく思われてくる。 ただただ退屈を愛でるだけでは、退屈な日常を真に理解しているとはいえない。 「幸せとは何でもない日常にこそある」 確かにそうであるが、その裏側に潜む“危うさ”もセットにして日常を捉えること。 「懐かしい」には、「哀しい」が含まれている。懐かしいと思うとき、そこにはどこか哀しい気持ちも含まれている。そのような、懐かしくて哀しい気持ちをもって、今を、日常を、見つめる。ありふれた日常がまた違って見えてくる。私は退屈を愛でるだろう。 私の幸福は、不幸と表裏一体であることで存在している。常にそういった気持ちでありたい。 最後に。 小説なのだが、どこか詩的な感じがした。詩を読んでいるような気持ちになった。 また、途中、「梶井基次郎の作品っぽいな」と感じたのだが、作家案内にもあったように、やはり影響を受けているのかなと思った。 少々長く感じたので、『静物』くらいの長さでもよかったかも、というのが正直な感想。
なんて事のない日常が淡々と描かれているのだが、花や木、果物、虫などの描写が季節を感じさせ、自然と関わりながら生活する家族の様子が理想に思えた。何気ない家族の行動や会話の描写がおもしろく、読みながらクスっと笑えたり、あーそうそうと同感できたりして、心が温まる一冊だった。各章のタイトルも素敵だった。
なんということもない日常なのに、心惹かれる。 私がこの当時の世俗を知らないということを抜きにしても滋味深い小説。
おそらく何周もしないとたどり着けないだろう普通さ。高等な普通さとでも言うべきか。小津『お早う』なども連想した。
須賀敦子が日本を説明するのにということでイタリア語訳したという。 中井久夫の言によると、「家族の日常を描いて筋があるかなきか」の小説。しかし、ここには筋はなくとも家族のかおりのようなものがある。私自身の子供時代とは20年くらいのずれがあるものの、なつかしい気分にさせられる。これから私の家族にも、時...続きを読む代こそ違えどこんな情景が訪れるだろうか。 冒頭の萩の成長、ラストの切り開かれた山とお墓は移ろいゆく時間の象徴か。
静かだけど、毎日変化している 自然と 家族を リンクさせて記述した短編集。各章のタイトルが出てきたところを起点に 物語が転じる 「うまくいかないことは目立つが、うまくいっていることは案外 目立たない」が この本のテーゼ 風は 大きな変化、自然破壊、戦争 を意味するのではないか。そんな中でも...続きを読む 静かに 毎日変化している自然と家族は 案外うまくいっている というふうに 解釈した
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
夕べの雲
新刊情報をお知らせします。
庄野潤三
フォロー機能について
「講談社文芸文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
ザボンの花
愛撫 静物 庄野潤三初期作品集
明夫と良二
インド綿の服
絵合せ
紺野機業場
庄野潤三電子全集 第1巻 1949~1954年 「プールサイド小景」ほか
自分の羽根
「庄野潤三」のこれもおすすめ一覧へ
▲夕べの雲 ページトップヘ