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人は自分で考えているほど、自分の心の動きをわかっていない。人はしばしば自覚がないままに意志決定をし、自分のとった行動の本当の理由には気づかないでいるのだ。人間科学の研究が進むにつれ、「認知過程の潜在性・自動性」というドグマはますます明確になり、人間の意志決定の自由と責任に関する社会の約束ごとさえくつがえしかねない。潜在的精神を探求する認知・行動・神経科学の進展からうかびあがった新しい人間観とは。
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Posted by ブクログ
神本。心理学科を選ぶに至った理由がこの本。読み切ったのは入学後だけど,学問としての心理学を知れた。面白い。
下條先生がCalTechに言ってしまう前に、最終講義がわりにこの本の読書会を開いたって覚えがある。なにか一生懸命質問したはずだが、覚えてない。当時、下條先生がディスカッションするときの「3つ質問があります」というスタイルを真似ることに夢中でした。
面白い。 人の行動が潜在的な、本人にとって無意識の認知過程に大きな影響を受けていることを、心理学史上の様々な実験を紹介しながら解き明かしていく。 密閉したビルの中でネズミを飼うと、ある程度まで増えた後、性的不能な個体や子殺し、同性愛などが多発し、場合によっては個体数が減少することもある。 言うま...続きを読むでもなく、大都市に住む人間も似た徴候を示すわけだが、個々の人間にインタビューすれば、例えば「私は自由意思で同性を愛してるだけだ」となる。 環境から受ける潜在的な影響には無自覚だからだという。自由に選んでるつもりで、実は大きな流れの中で踊らされてるだけ。 なんだか寒気がする話だ。
<目次> 0.私の中の見知らぬ私―講義に先立って 1.自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学 2.悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論 3.もうひとりの私―分割脳と「自己」 4.否認する患者たち―脳損傷の症例から 5.忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶 6.見え...続きを読むないのに見えている―域下知覚と前注意過程 7.操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム 8.無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学 9.私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって
大学で心理学部に入ってすぐ読み、心理学に興味を持たせてくれた一冊。 実験・生理心理学の入門には最適。読み終わった後は、抽象的な人間のこころとは何なのかが少し理解できるようになるはず。
人は自分のことをよく知っているようで知っていない。 自由とは何なのか、前提となっている自由意思とはなんなのかというアンチテーゼが非常におもしろかった。 認知過程の潜在性・自働性がテーマ。 序 私の中の見知らぬ私-講議に先立って この本では心的過程の潜在性というドグマの根拠と妥当性を検討する。 科学...続きを読む哲学者マイケルポランニ「われわれは語ることができるより多くのことを知ることができる」 顔などの全体的知覚(ゲシュタルト的)「明示的な統合は暗黙的な統合にとってかわることはできない」 プラトン「未解決な問題について解答を探し求めるのは不合理だ。探し求めている答えを知っているのなら初めから問題などそんざいしなかったことになる。」これは暗黙知を前提として初めて解消する。 意識的経験がなくても記憶の効果が表れることはしばしばある。 第一講 自分はもうひとりの他人である-自己と他者の社会認知心理学 自分も他人と同じように何かの客観的な事実より認識する。 その意味で他人と同じである。 認知的不協和 個人の心の中に互いに矛盾するようなふたつの「認知」があるとき、認知的不協和と呼ばれる不快な緊張状態が起こる。それを低減しようとする動機づけが生じる。外的な要因は変えようがないので、内的な要因が変わる、態度の変容が生じる。これが無意識的な自己合理化。 コマーシャルで見たという認識があるときより、むしろ想起できない場合に、その商品を買いたくなる。これも自己正当化が生じるため。覚えている場合はコマーシャルのせいにできるが、覚えていない場合コマーシャルのせいにできないため自分が好きだからと思いこむ。 高い商品ほど購入した時の満足感も高まる。これも認知的不協和。 自己知覚理論 本人にしかわからない私的な刺激に左右される部分も実は他者が知ることのできる顕在的・公共的な事象に起源を発している。 第二講 悲しいのはどうしてか?-情動と帰属理論 実は感情は行動から起因しているという話。 ジェームズ「興奮するようなできごとを自覚すると、ただちに身体に変化が生じる。この変化に対するわれわれの感じ方(feeling)が情動(emotion)である。」 顔や表情を認知する神経機構が脳内で情動に関連する領野のすぐ近くにある。 意識的な経験は無自覚的プロセスに対する後付けの解釈にすぎない 「身体的過程→潜在的認知過程→自覚的情動経験」 情動二要因論・まとめ ①生理的興奮は情動の種類にかかわらず案外類似している。 極端な状態は生理的興奮としては類似性・一般性・曖昧性をもつ。そこでその生理的興奮を異なる状況要因に帰する過程である ②感情でさえ無意識的な認知過程。 ③行動に表れる無自覚の認知過程と言語報告に表れる意識的な過程とは別物。 第三講 もうひとりの私-分割脳と「自己」 分割脳とはてんかんなどで脳梁を切断された患者。 腕をおさえて手の自由が利かない状態でボクサーといれても何も見えないと意識する。腕を自由にするとボクサーのポーズをとり、さっきのはボクサーだったと認識できる。 自分のまわり行動から自己の行為の起源を認知する。 自らの脳内でさえ、神経コミュニケーションの他に自らの行動を通して認識している。 人は自分の認知過程について、自分の行動から無自覚的に推測する存在である。 第四講 否認する患者たち-脳損傷の症例から 人は事実を正当化して回答する。認識しているのにしていないと認識している場合あとからその理由づけをする。 第五講 忘れたが覚えている-記憶障害と潜在記憶 プライミング効果(呼び水効果)一度でもちらりと見たものは二度目には見やすくなるあるいは反応が早まったり強まったりする効果のこと。 同じ単語が提示されると処理反応が促進される「直接プライミング」と意味的連関のある単語を提示すると処理反応が促進される「間接プライミング」がある. 思いだせなくても効果があるので、潜在的プライミングといわれる。 持続期間も驚異的で、数週間、数か月経っても促進効果がみられる。 記憶には宣言的記憶と手続き的記憶があり 宣言的記憶にはエピソード記憶と意味記憶がある。 第六講 見えないのに見えている-域下近くと前注意過程 カクテルパーティー効果など意識していなくても見えていたり、することがある。 それに対して我々はやはり後付けで理由を合理化している。 閾下知覚 第七講 操られる「好み」と「自由」-サブリミナル・コマーシャリズム 宣伝・コマーシャルには二つの原理が働いていると思われる。 説得性原理 商品の存在と魅力をアピールし、納得させる。 親近性原理 見知っている、聞きおぼえがある、なじみがあるという状態にするだけで消費者の欲望 は高まり、選択をおこなうようになる。 単に同席するだけでも、より交換を持つようになる。 また、情動効果が大きいほど記憶に強くのこる。 また何かのシンボルに気付いた人より気付かない人の方が先述の無意識による 親近性の正当化により効果が大きくなる。 サブリミナルコマーシャリズムにより、欲望の受動化・画一化が起こっている。 遊びや芸術や科学技術にまで、このような制御と画一化の傾向が浸透し、 政治的な世論操作や思想統制にまで使われうる。 潜在的な認知過程と自立し意志をもった自立する心。この二つの相互作用が今後の課題。 第八講 無自覚の「意思」-運動制御の生理学と哲学 オペラント条件付け(道具的条件付け) ハトがキーをつつくと餌がでるなどを繰り返すと、その作業を学習すること 古典的条件付け 何かをしながらの刺激を続けると、その刺激だけで反応してしまうようになる。 頭を切り落としたゴキブリから条件づけメカニズムは頭部神経にあるが、条件を貯蔵する 機能は他の神経節に分散している。脊髄など。 第九講 私の中の悪魔-自由意思と「罪」をめぐって 私たちの知覚や判断や行動は自身により直接経験されるもの。 しかし、その経験が何に由来し、起因したかを検討するのは本当はわからない。 自分の判断に確信を持ちすぎてしまっている。 ウイルソン「私たちの感情の実際の起源と、私たちが起源だと思うことは違っている」 「実際に私たちの経験をもたらした認知過程と、それに対して働く自覚的で言語的な解釈システムとはちがう。」 直接経験は本人の特権を認めつつ、前後の因果関係には第三者の特権を認めている。 ・整理 私たちは意図がどうであったかが重視される しかし、責任の検討から明らかになったように、行動由来・理由・動機・原因などの最終的な 特定化を行う際は第三者の観察に特権を与える 責任は自覚化された意図と第三者による因果関係との間で重みづけされて斟酌される これは時によって変化される体系という意味で時代の人間観と呼べる。 これを理解するため人間観の本質的な複合性を自覚し、根拠を洗い直すべき。 近年同性愛や性の乱れが生じている。これは高密度のラットでも同様の現象が生じている。 そのような環境により生じていたとしても、合理化され、自分の意志でそうしていると 認識する。本人にとっては「密度効果」であることを意識しないし、ある意味でそれは正しい。 これは自分のことは自分が一番よく知っているという人間観と そうとはいえない人間観との違いからきている。 裁判も意図を重視しているがそれははたして正しいのだろうか。人間観が違うとそれさえもわからない。
人間の意思決定の自由というものは、近年の心理学、脳科学等の研究により、だんだんと怪しくなってきているようである。潜在的に、自動的に外界の情報を処理しており、自分が決断したということも、無意識が決断した結果を追認しているだけのような場合があるようだ。閾値下の自分(無意識)と閾値上の自分(意識)。この比...続きを読む率は閾値下の自分の方が大きいようだ。
「人は自分で思っているほど、自分の心の動きをわかってはいない」というテーマ通り、まだ人間の心と行動についてはわかってないことが多いんだなというのが正直な感想。「〜と言われている」など断定しない表現が多かったのが印象的。 最近からくりサーカスを読んだばかりだったので、人間の意思決定が環境や遺伝子によ...続きを読むって決定される場合そこに自由意思はあるのか?って哲学的な議論になる最後の章が好きだった。 ・記憶は深い浅いだけではなく多元的な構成要素に分かれている ・カクテルパーティとかサブリミナルに表れるように自覚する前に周囲の情報について前処理が行われているのでは ・無意識化で五感が働いていてもそれに自覚的じゃないから印象の原因を見誤ることがある ・消費とは商品によってシンボライズされた欲望の代償行為、だから隠喩的な広告は効果を発揮する ・潜在化での繰り返し訴求は顕在よりも効果を発揮することすらあるんだとか ・故意と過失と偶然の線引きの難しさ。潜在的に考えてたことを過失と言いきれるのか?自分の意志か環境のせいかなんて線引きできないもんな ・からくりサーカスみたいだな、過去の遺伝子の影響を否定できるのかとか。そう考えると自由ってなんなんだ?
読者の興味を引く実験を多数紹介しながら、無意識のうちに生じている認知過程についての研究を、分かりやすく解説している本です。また最終章では、著者の考える「潜在的人間観」が、現代の「自由」と「責任」の概念に投げかけている、哲学的な問いについても考察が展開されています。 とにかくおもしろく読める本です。...続きを読むまた、人間観のゆくえという、大きな問題にまで議論がつながっていることにも、興味を引かれます。
名著再読。容易に他者がコントロールしうる「自由意志」のあやふやさ、危うさを指摘したこの本の内容も、新しい常識として広まりつつある。しかし操作する側の手法もどんどん巧妙化している。「人をどう操作するか」という視点で読んでも面白いと感じた。
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