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Posted by ブクログ
ー これまでの検察側の尋問においても、被告人の犯行は浮き彫りにされたのである。さらに、被告人自身も自白している。このようなケースにおいて、なおかつ原島弁護士だけが無実の主張をしているのだ。
事実はなにか。法廷にさらけ出されるのは、『訴訟上の事実』であって、『真実』ではない。『真実』は神にしかわからないのだ。
冤罪事件の多くは不当な自白から起こっている。冤罪事件の弁護は、捜査側の自白強要による嘘の供述の指摘からはじまる。つまり、被告人は取調官の過酷な追及に抗し切れずに、ついにやってもいない事件を自白してしまうのだが、裁判に入って、その自白をくつがえすことから、冤罪裁判がはじまるのだ。
ところが、この事件の被告人弓丘奈緒子は、裁判に入ってもすなおに罪をみとめている。その被告人を無実だと、原嶋弁護士は言いはなったのである。 ー
起訴事実をすべて認めている被告人を無罪だと主張する弁護士が紐解いていく“真実”。
後半の弁護側の冒頭陳述からの展開が面白い!
背後にある重たいテーマも考えさせる作品。
Posted by ブクログ
先日、コミックスで「家裁の人 全10巻」を読み終えたばかり。
カバーのかかった「次に読む本」候補、数冊の中から目をつむって選んだのが、この本。 帯の「書店員さん大絶賛」の惹句に思わず購入。第41回(1988)推理作家協会賞受賞作。
これほど上手い文章は久しぶりです。
展開に無駄やゆるみが全然ないんです。
時間が空いたのでちょっとだけ読もうと、ページを繰っていたら、あっという間に10ページは進んでいます。おまけに活字を追っているのも忘れてしまうほど没入してしまいます。
法廷劇です。夫殺し罪を認めている主婦の裁判を、幼馴染でもあり、かつては憧れてもいた新聞記者の私が傍聴します。
3分の1くらいで、大体、犯人の予想はつくのですが、その予想が、途中で2転3転します。そのうちに、自分は完全に新聞記者の私になりきってしまいます。
読後感良好!! なぜもっと早くにこの作家に出会わなかったことが悔やまれます!!
Posted by ブクログ
法廷ミステリーとしても社会派としても
小谷野さんから。
裁判エンターテインメント。同時に、社会派エンターテインメント。
法廷ミステリーは初めて読んだ。筆致が丁寧で面白かった。紋切型も厭にならない範囲で巧みで、無駄な文章が少い。素材はきっちりと社会派に収めてある。
テーマ的に、大江健三郎を思ひ浮かべた。よくできた筋だ。社会派としてまったく古びてゐない感じさへあった。
直木賞候補になったが落された。選評を読むと、文体だったり人情物だったりに難癖がつけられてゐる。この小説が落されるのだから、当時の直木賞は相当レベルが高かったのだなと皮肉交じりに思った。
Posted by ブクログ
我が家のお庭は芝生なのだが、毎年この季節は草取りが大変(-。-;
土日ともなると何時間も外で草取りをしている(-。-;
いつも通り、早朝に草取りをしていると、隣に住む読書好きの叔母が声をかけてきた。
いつも私がポチポチした本は、一冊残らず、全て隣の叔母に回しているのだ。(もちろん、ラブセメタリーもだ)
「まきちゃん、いつも本ありがとね。
まきちゃん、絆って本読んだことある?小杉なんとかって人だったと思うけど。
あれなかなか良かった記憶があるよ。」
と教えて貰ったのですぐにポチった(笑)
弓丘奈緒子は、夫を殺害したことを認めていたのだが、担当する弁護人である原島は無罪を主張する。
殺された夫には、愛人がいたことがわかっていた。夫婦の間では離婚話もあった。
明らかに検察側が圧倒的に有利だったのだが、原島弁護士によって真相が明らかにされていく。
新聞記者であり、幼い頃被告人の隣の家に住んでいた男性が物語を進めていく。
彼は被告人の弟と幼い頃仲良くしていたことがあった。知的障害者の弟に命を助けられたこともあったのだ。
最初はちょっと難しいのかな?退屈かな??と思ったのだが、次第に物語が進み出す。
半分くらい来ると、早い!早い!
どんどん新事実が出てきて読者を飽きさせず、後味も悪くない終わり方o(^▽^)o
叔母はこういう本が好みなのだろうなo(^▽^)o
しっかり楽しませて頂いた♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
Posted by ブクログ
第41回日本推理作家協会賞長編部門受賞作。直木賞候補にも挙がった作品である。
物語は、被告人に憧れを抱いていた司法記者の視点で進み、記者自身が進行形で抱える問題と、裁判の進行が見事にリンクする構造となっている。
罪を全て認めている被告人と、無罪を主張する弁護人。実際の事件の犯人は誰なのか、という点に主眼はなく(そこも一定の推理はされるが)、「被告人はなぜやっていない罪を認めるのか」を、知的障害者(本作では精神薄弱者となっている)の問題と「罪」に絡めて描写している。
舞台は全て法廷であり、尋問を見つめながら過去を紐解く語り手の「私」の設定が秀逸だと思えた。
きっちりきっちりと薄皮を剥ぐように明らかになる事実。
弁護人は法廷外で語ることばはほぼない。代わりに前弁護人が、弁護人の葛藤を語り、その考えを語り、そして「私」も心を決める。この物語は多くの人物が心に抱える「何か」を、痛みを抱えながら清算する物語なのだ。
被告人は過去の罪への思いが強すぎて結果、現在の家族をある種置き去りのような形にしているのもどこか人の業を感じてしまう。人間は複雑だ、というありきたりな結論になってしまうのだけれど。
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小説・文芸
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