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言語学者である著者はトルコ共和国を一九七〇年に訪れて以来、その地の人々と諸言語の魅力にとりつかれ、十数年にわたり一年の半分をトルコでの野外調査に費す日々が続いた。調査中に見舞われた災難に、進んで救いの手をさしのべ、言葉や歌を教えてくれた村人たち。辺境にあって歳月を越えてひそやかに生き続ける「言葉」とその守り手への愛をこめて綴る、とかく情報不足になりがちなトルコという国での得がたい体験の記録である。
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Posted by ブクログ
最近気になる中東の文化を紹介している本かと思ったら、言語学である著者によるトルコの旅の記録でした。めっちゃ面白い。言語学者による旅行記がこんなにもアドベンチャラスなものになるのか!観光ガイドブックのような表面的なものではなく、少数民族に焦点をあてながら自らの体験として紹介しているのです。それもそのは...続きを読むず。1970年当時トルコに魅せられた著者による少数民族調査旅行だったのです。強大なオスマン・トルコ帝国が西洋諸国によって分断されたのち単一民族国家という幻想で統一しようとしていた時期で、少数民族の虐殺・弾圧もある危険な時期。言語もばらばら、宗教もばらばらであることを認めない時期に少数民族の調査目的をひた隠して旅行を続けるのです。現地警察による逮捕だったり、政府からの妨害、人々とのあたたかい交流など物凄い体験がぎっしりつまった1冊です。すさまじい迫力の冒険記となっています。この告発本とも呼べる新書の出版が多言語民族国家を認めるきっかけになったとのこと。う〜ん、凄すぎる。言語=イデオロギーなのですね。単一民族国家とうそぶく日本にも黒歴史があるよね。心を一つにとか甘い言葉も行きすぎると危険な考えとなることに注意しなければならないと感じました。米国寄りにそまった日本の考え方が世界標準に沿っていて「正しい」なんて勘違いしない方がいいということも思い知らされます。 異なる文化背景にともなう翻訳の限界で情報が正しく伝わらないという情報誤差の発生は必ず考慮しなけれなならない問題としてとりあげられています。これはカタカナ英語で表現してなくなるとかではなく概念の話だし、AIで翻訳しても解決しない問題。自分で直接異文化に接することって大事だなと実感。素晴らしい旅本です。旅にでたくなるぞ。 なんと政治的配慮で削られた部分を補足する「補遺編」と続編「漂流するトルコ」もあるそうな。読みたい。
本書はフランス在住でトルコの少数民族が話している言語を研究している日本人の手記ですが、一貫して本人の体験談をもとに記述されているため非常に生々しい本です。題名にもあるように、イスタンブールやトロイ、カッパドキアなどとは違う、一般の人の目にはまず入ることのないトルコの側面を紹介しています。日本には方言...続きを読むこそあるものの基本的に日本語を皆が話していますし、方言は個性的なものとしてむしろ近年は良いものという風潮が大きくなっている気がします。一方本書が描かれた1980年代のトルコでは言語、方言というものが政治に密接に関係し、自身の話す言語次第では逮捕されることがある、という事実は衝撃的でした。民族、言語、宗教という言葉はもちろん知っていますし、意味もわかっている気がしていたのですが、本書を読んで改めて「民族」とは何か「言語」とは何か、「宗教」とは何か、がつくづくわかっていない自分に気がつきました。現在のトルコではどうなっているのかわかりませんが、本書トルコ理解を促進するためには必須の本と思います。
言語学者である著者が単一民族国家を標榜するトルコで体験した少数民族迫害の真実についてまとめた本。 政府によって隠蔽されてきたトルコの暗部を暴くというのがこの本の趣旨だが、著者の旅行記の側面も併せもっており、この部分がすごく面白い。 行く先々で出会う少数民族とは毎度毎度あっという間に打ち解けてしま...続きを読むうし、トルコ人学者の誤った歴史認識を巧みな弁舌で言い負かしたかと思えば、警官に捕まり投獄されて窮地に陥ったり、とにかくノンフィクションの旅行記としてはおそらくこれ以上にないほど濃いエピソードに溢れている。
ものすごい言語能力とコミュニケーション能力を持つフランス在住日本人言語学者によるトルコでの言語調査旅行記。とても面白い。 トルコ政府に怪しまれてどこにいくにも随行員がついてきたり、数日前に出会った官僚が心臓麻痺で死亡したりと普通の旅行記より読んでいてハラハラした。 著者の言語に対する真摯な態度と飽く...続きを読むなき探求心が伝わってきた。 また、当たり前に母語で本を読み、母語で会話できる当たり前の現状をありがたく思った。
新書は研究者が論文内容を一般向けにしたものが多いがこの本はエッセイのようで、しかも文章が上手くて読ませる。時に現地語や言語学の用語が出て気ても苦もなく読ませてくれる。それどころか早く続きを知りたくて出かけるときは鞄の中、寝るときはベッドと、読書中はほぼ食事とお風呂以外は近くから離さず持ち歩いていた。...続きを読む これだけのフィールドワークを重ねた見事な研究内容が、研究対象地域の政策を脅かしかねないことで最終的に著者が実質的な国外退去処分となってしまったのはまことにもったいない。本人にとっても研究対象地域にとっても学問においても悲劇。現在少数民族の言語が滅ぶ危険性が訴えられており、いかに保存するかを国際機関や世界の各地域で腐心しているというのに全く逆行。正直トルコがここまで少数民族や少数話者の言語を弾圧するような行為を行い、無理に国家の体をなしているとは思いもしなかった。この本の内容は1980年代・冷戦期までのことだが、21世紀になった今状況はどうなっているだろう。トルコの体制はより右傾化が進んでいる。クルド問題に関しては隣国イラクやシリアの内戦もあるがトルコ国内では未だその存在は無視されているも同然ではなかったか(最近のミャンマーでのロヒンギャ問題を見るようだ)。まずは著者の著作を続けて読んでみようと思う。 それにしても小島氏の能力の高さには驚く。本が出版されたのは1990年であり、調査時に録音も写真撮影もしていないとあったが、現地の様子が絵で浮かぶような詳細な描写の見事さ・記録の細かさ・曲などを記憶して譜に書き起こしているなど尋常ではないと思ったが、ご本人のブログを拝読すると「直感像記憶」に優れてらっしゃるようだ。機械類が使えなくてもフィールド調査ができるのも研究者にとって大事なことだろう。返す返すも氏がトルコの少数民族言語の現地調査が続けられないことが惜しい。また現在本人が居所・連絡先・勤務先一切を非公開とされている、ここまでして個人で身を守らねばならないというのも悲しいことである。 著者が外交官や一般の人と話していて感じる違和感から「教育」の恐ろしさを感じる。見解を述べ合うにもベースとなる教育の部分が根底から違っていては見解を正すことすらできな。「クルド人などいない」「サザ語などない」というのは教育というより洗脳のような恐ろしさを感じる。
[見てしまった者の言]親日国と知られ、近年では経済成長も目覚しいトルコ共和国。言語学の専門としてトルコに文字通り「はまって」しまった著者が、少数民族の言語を調査する過程で、外側からは決して知ることのできなかった裏の一面を明らかにした作品です。著者は、本調査の末にトルコ共和国から国外退去処分を受けるこ...続きを読むとになった小島剛一。 数々の言語を操りながら少数民族の苦悩や知られざる実情を調査する様子は、まるで一級のスパイ・フィクションを読んでいるかのよう。1990年に執筆された作品ではありますが、今日でも民族問題や言語問題を考える上で、非常に参考になる一例だと思います。クルド人問題やキプロス紛争など、日本ではあまり知られていないトルコが関わる情報を知ることができる点も高く評価できる一冊です。 〜トルコ人だのギリシャ人だの区別しないで、誰でも好きなところに住んで好きなところへ行けるようにならないもんかね。お前は日本人でフランスに住んでトルコに遊びに来て、それでいつでも好きなときにメイスにも行けるんだろ。世の中、不公平にできてるもんだ。〜 ぜひ続編も読んでみたい☆5つ
傑作。尊敬。こういう方が本当の学者だと思う。読み物としても素晴らしいサスペンスで一気呵成に読みきった。中東問題の根深さは到底日本人に想像できるものではない。
心に炎が燃え移った。10代で読んでいたら、もっと人生変わったかも。いや、酸いも甘いも知った今だからこそ共感できるのかも。若さって保守的な傾向をもつこともあるから。 トルコが舞台だが、同じようなことはいくつかの国にも当てはまるのでは。日本も例外ではない。「普通」に生きていると社会や国家、教育内容に疑...続きを読む問を持つことは少ないかもしれない。しかし、一歩はみ出たときに果てしない荒野が急激な崖が見えてくるのだ。 トルコを知る格好の書物だが、問題意識をトルコに終わらせないことが大事な本だと思った。
自分が知らない世界が完結にではあるがしっかりと描かれていることで、知らぬ間にどんどん引きこまれていった。 民族・宗教・言語が当事者同士で複雑に絡みあっている。 宗教なんて関係なくていいじゃん、言語共同体なんて、とか考えていた自分が恥ずかしくなってくるくらい。 次も早く読みたい。
トルコに対する認識が改められる本。 少なくともトルコに関する知識が貧弱過ぎた自分には、インパクトが強かった。 現地視点からのクルド問題の提起、言語学者として「隠れ民俗」「忘れ民俗」など足を使って(時には妨害されながらも)調査、分析した筆者の功績はとても大きい。 アレウィー教徒を扱った章では、マイ...続きを読むノリティに対する差別と自民族のアイデンティティに対する誇りの間で生きる人達の姿が、印象的なエピソードで綴られていて、考えさせられた。 続編の「漂流するトルコ」を早く読みたい。
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小島剛一
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