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Posted by ブクログ
「6八歩が、いい手なら、『ああ、そんないい手があったのか』ということで、それまでの自分の考えを改めて6八歩を打つ。しかし、それが分からない。6八歩のあと、相手の出方によって5五銀右と指すのだが、先に6八歩を一本打っておくことが、いいのか悪いのか。
私は74分費やして、6八歩以下の手順を読んだ。けれども結論が出なかった。わかったのは、私の6八歩に対して、向こうの応接の仕方は10通り近くあって、そのどれもがどうなるのかわけの分からない、難しいものだということだった。
しかし、6八歩のような、いいのだか悪いのだかわからない手に対する最善の応手は、一つしかないものだ。一つしかないから最善手というのだが、それだけが正解で、次善手というのがなく、残りはすべてダメな手なのである。これは40年近く将棋をしてきた私の経験則だ。」
「田中角栄先生は、私の最も好きな政治家だが、かつて健在なりし頃、雑談のなかで次のようなことを教えてくれた。
まず第一に、人間は努力する事が大切であり、努力すれば必ず成果が上がるという事。そして次に成果が上がった分だけ、他人は羨む、妬むということに気付かなければならない。第三に、他人の嫉妬心に気付いたら、それに対して配慮しなければならない。
ここまでは世間でよく言われることだが、角栄先生は第四として次のようなことを言った。
『人間は、いかなる場合にも、嫉妬する側ではなく、される側に立たなくてはならない。』」
勝負、人間観察の鋭さが心地よく、楽しい本。
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