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匿名
意外な引き出し
この作者には内向的な若者の青春をみずみずしく描いた作品が多いので、こんな引き出しもあるのかと驚いた。あとがきで語られるように、作者の凄まじいコンプレックスと、それでも捨て去ることはできない美への憧憬が人形に強く息を吹き込んで、執念すら感じられる濃密な物語を形作っている。
ここに出てくる主人公たちは、生きた時代から容姿のレベルに至るまで、いつもの短編集以上にバリエーション豊か。また、人形の性質や姿かたち、物語の起承転結にも想像力が炸裂している。人形や「美」というものが、いかに深いインスピレーションを作者に与えているのかが伝わってくるようだ。
Posted by ブクログ
人形に色々な思いを託す人々の6編の短編集
駅で切符を買うときに後ろに人が並んでいるのにもたついてしまう時、道を間違えて人の流れに逆らって歩かなければならない時、しまったなあという行動をする時、「ああもし私が美人だったら、今舌打ちされなかっただろうな、苛々させなかっただろうな」と思ってしまう。
それは自分の性格が歪んでいるからだと分かっても、反射的にずっと。
だからこの本のあとがきに書かれていたのは、私にも共感できることで、この短編集はそれぞれ救いようがないようで、救われるような美しいものだったように感じた。
働いて、広い社会に出て、何十年間か後に読んだらまた違うかも。
「手のひらの中のやわらかな星」と「僕が人形と眠るまで」が特にすき
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