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「悼む」という行為は人間だけが持っている。人間は必ず死ぬ。人間は死に向かって生きているのであり、人間にとって死ほど重大なテーマはない。歳を重ねるほどに悼む機会が増えてきた著者がたどり着いた哲学は、「死んだ人は、だれかがその人を思い出している限り生きている」ということであった。親しかった人の死に遭遇しても、いつまでもその人を思い出すことで、その人は生きていたときと同じようにイメージできる。多くの文学は死んだ後もその人を生きていることにできる唯一の方法なのだ。「いつのまにかずいぶん長生きをしてしまった。八十歳も近い」とつぶやく作家が、ここ十年にわたって執筆した追悼文を一章に、二章「よく生きて、よく死ぬ」では「悼む心」が自身の文学に影響している心情をまとめ、三章「読書が培う悼む力」では日本語と悼むつながりを考えたエッセイをまとめ、悼むことの重要性を再認識する一冊。
...続きを読むPosted by ブクログ 2019年07月07日
阿刀田高(あとうだ たかし)さん、初読みです。「悼む力」(2013.6)、エッセイです。悼む心を明日の糧に、よく生きてよく死ぬ、読書が培う悼む力 の3つの章立てです。日本にある世界一の資産、百%に近い識字率、みんなが文字を読み、書くことができる、確かに世界に冠たる資産ですね。おかげで、面白い本を見つ...続きを読む
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