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Posted by ブクログ
高杉良さんが書いた、企業実名モデル 小説。
インスタント食品で名高い東洋水産を取り上げ、森社長がどのように会社を立ち上げ、苦労し、育て上げたかを詳細に記した、社史とでも言うべき一冊。
お金のやりくり、親会社との駆け引き、競合他社との熾烈な裁判。一世紀近く前のことにはなるが、リアルな会話と共に著者が現代に甦らせている。
東洋水産といえば、インスタントラーメン、マルちゃんの愛称でおなじみだが、なぜ「水産」の文字が入ってるのか、いまいち分からなかった。しかしこの本を読んで、合点がいった。東洋水産にとって、水産は「祖業」。外せないわけですね。
これも、時間を忘れて、読みふけった。
Posted by ブクログ
経済小説家の高杉良による実名小説。マルちゃんラーメンで有名な東洋水産の創設・拡大、アメリカ市場進出やそれに関わる日清食品との特許紛争などを通して、創設者である森和夫のフィロソフィーを描いている。経営判断、采配、人づきあいなどにおいて、仁義や筋を通すことを大切にして仕事に命をかけている姿や、人の良さが逆に仇となったような事例を見て、森の人となりを知ることができるほか、一人の職業人としてもまたこんな生き方をしたいと思わせてくれる。
なお同じ著者による実名小説で公認会計士事務所TKC創設者の飯塚毅を描く「不撓不屈」と比較して、本書の話の筋はよく似ている。両者とも、裕福ではない出身から努力して会社を興し、仁義や努力や熱意を大切にして会社を軌道に乗せていくが、当局や競合の巨大会社などの既得権益を持つ強大な敵から言われなき咎めを受け、苦しみながらも、諦めず、一所懸命に立ち続け勝利する、というストーリーである。
高杉小説の魅力は仕事に命をかける人の生き様だと思うが、同時に仕事に命をかけることが非常に難しいしそれだけが価値ではないということも思わされる。命をかけられるだけの仕事をしてきた覚悟の強さや、そういう仕事を作ったり見つけてきた人としての強さなどは魅力的だが、これを読んで「じゃあ私も命をかけよう」とすぐに思えるものがあるわけではない、覚悟をできない、というのが感想である。また、同様のテーマに触れていた小説として、城山三郎の「官僚たちの夏」があるが、熱血官僚が前時代的になり、ワークライフバランスをとりなが、仕事に命はかけないクールな若者たちが台頭してゆく姿が描かれていたように、仕事以外の部分にも楽しみを持つ生き方にむしろ共感する面もあるのもまた素直な感想である。
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