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Posted by ブクログ
タンカーのスラッジ清掃を請け負う村上は、船内で仲良くなった崔を、ボスである徳山に殺される。それは面白半分や恨みではなく、村上をめぐる嫉妬からであった。横浜に戻り、ドヤ街からふとしたきっかけで、ライブバーMOJOで実力はシンガー綾と出会うが、綾もまた徳山の可愛がる1人であった。
花村萬月だねえ。ボリュームがあり、畳み掛ける知識とバイオレンスを覚悟していたが、予想通り最初から最後まで、花村萬月だった。しかし、読みやすい。
ヤクザで下のものに恐れられ、嫌われているが、容赦なく暴力を振るい、仕事を与える徳山という存在が、敵になったり味方になったりと揺れ動くさまは非常に面白い。主人公は村上であり、準主人公は綾なのだが、結局徳山の手の中にいるのだ。徳山は神であり、環境であろう。
暴力シーンは、のっけから日本刀で指を落とされる作業員、スラッジに叩き込まれ、看板で頭を割られる。いつもの花村萬月よりは、ペースが緩やかなので、苦手な人でも割と大丈夫なんじゃないかと思う。
それよりは、後半に進むにつれて、章のタイトルで何が起こるかがわかってしまい、そうだよね、そうなっちゃうよねと思いこんで読んでしまう。読むのが辛いが読ませる文章である。
他の作品よりも、ちょっとマイルドに感じるのは、初期の作品ということもあろうかと思う。だからといって完成度は全く問題なく、初めて花村萬月を読むひとにもおすすめできる作品だ。
Posted by ブクログ
これは、魂の奥底をくすぐるような秀作(すごい表現)。一気読み。
これでまた、花村萬月という作家が解らなくなった。というよりも一層のファンになってしまったとでも言おうか。
エログロがないのもいい。何よりも、タイトルの通りの、殺風景な街角からブルースが流れてくるようなイメージと、巨大タンカーの船底から響くエンジン音と、荒れ狂う海の咆哮を感じる事ができるのだ。そして、村上と徳山のお互い惹かれつつも、距離をおいていく絆、最後のシーンでは涙、涙だった。
久しぶりに感動本に巡り会えたような気がする。草葉の虫の声にも、じっと耳を傾けることができた、いい秋の夜長だった。
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