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まさか!? なんてこと!! パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う……子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは? オスはその時どう動く? 「ヒト」は彼らと別物か? テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。
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Posted by ブクログ
非常に面白かった。現在生き残っているのは、遺伝子を残せた結果であるということから、より多くの自分の遺伝子を残す、そのためのいろいろな方法を動物がとっている。パンダから始まりさまざまな動物の例でどのようなことをしているかが説明されている。そのことから、さらに先住民の例などから人が本能的に取る行動の説明...続きを読むにもつながっている。非常に面白い。これは読む価値があった。
「母親スイッチ」なんてない。そんなものは、たぶん誰かの(当事者じゃないだれか)の願望なのだ。 にも関わらず、それが実在していると信じられてしまっているために、「理想の母親」を演じられずに苦しむ女性のなんと多いことか。 少子化を憂いつつも、若年出産や未婚の母を蔑視し、差別する。一家の苗字がバラバラなだ...続きを読むけで家庭が崩壊すると心配する。 「よりよく育てられない」という予測が出た時点で、次へ進むのは、動物としてはなんら間違っていないやり方なのだが、人間世界ではそれが通用しない。 「動物の愛情あふれる子育てを見習え」という人は、動物のシビアな選択もまた受け入れなければならないだろう。動物の生態のイイトコどりだけするのは虫が良すぎる。 人間もまた動物の一種である、という謙虚さを思い出したほうがいいよなあと思った。 「虐待行為」のみに焦点を当てて、行為者を非難したり糾弾したりしても、問題はなんら解決しない。人間なら「理性的」に判断すべきじゃないのか。 よけいな知恵や文化が発達したせいで人間は苦労しているようにしか思えない。 もっと動物行動学が広く知られればいいのにといつも思う。
この本を読んでから、連れ子を虐待死させたニュースを見る度に動物の本能が強いからか…と思ってしまう。色々な動物がいるが、人間も本能的には自分以外のオスの子を育てられるようにできてないのかな。まぁ他の動物と違って人間は知性があるから絶対許されることじゃないんだけど。でも女性はそういうオスがいるってことも...続きを読む知っといたほうがいい気がする。
いやぁ、動物の本能は実に良くできてるなぁと感心するとともに、シビアであることに、ちょっと怖くも思えました。人間はどうしても感情的にとらえてしまいますが、動物であることには変わりなく、知らないうちにこの本能に従っているのかもと思わされました。
読んでいて驚きの発見が連続して起きた本である。 愛くるしい仕草を見せて私達を和ませてくれる動物たちは、私達の想像を遥かに越えた子育てをしている。そして後半にかけては動物たちの子育てと、現代社会で暮らす我々の意外な共通点を見出し、論じている。 冒頭でまず驚いたのは、「もし種や集団のために尽くす...続きを読む個体がいるとしたら、自分の遺伝子を残していくという事が疎かになり、結果的に自分の遺伝子を残すことを優先する個体に負けてしまう。彼らはいかに効率よく遺伝子のコピーを残すかを極めているため」という点である。 その他にも、タガメは自身の遺伝子を残すために60回近くも交尾して献身的に卵に水をかけるも、他のメスに卵を壊されたらそのメスと交尾してしまう(より強い遺伝子を残すため)、タツノオトシゴのオスは自分の身体に「子宮」を作り出産する、タスマニアデビルは交尾の前にメスを巣穴に二週間近く閉じ込めてしまう(他のオスを近づけないため)、チンパンジーはその時の状況によって集団の子供を共食いすることがある、オオジュリンは自分の子ではなさそうなヒナがいる時はエサを与えるのをサボるなど、動物たちの遺伝子をめぐる壮絶なやりとりが書かれている。 そして、その動物たちの行動は、私達人間においても子殺し(子どもが男に撮って自分の子か否か・子供の質・生育環境)という先住民にみられる行動や、今日問題になっている児童虐待(連れ子・障害児の子育て疲れ・末っ子への比較的酷い虐待・貧困家庭)へも強い関係を持っているのではないかと問いかけているのが本書の真の狙いである。 本書の最後のページを若干省略して引用する。 「人間も動物の一種である以上、遺伝子の論理の下、手探りの苦労を重ねながらどう振舞うべきかと懸命になっている。そんな毎日の中、子につらく当たり、手を上げてしまいたくなるような状況に直面することは誰にでもありえます。まず一呼吸おいてみましょう。それは本能の喪失などではありません。動物として自然なこと、恥ずかしいことではないと確認するのです。人間は他の動物とは違うと思い込み、自分を追い詰めるような事だけはしてはいけないのです」 動物の生態について学ぼうと手に取った本であったが、生態だけでなく、動物を通じて複雑化した人間社会についても学ばされた。いい本である。 自分用キーワード 種の保存・種の繁栄(40年前に否定されている) シジュウカラ(繁殖シーズンに二回繁殖するが、二回目の方がヒナの死亡率が高い。餌不足で全滅することを割けるために、あえてエサを取れないヒナを作っている) デヴィッド・ラック(鳥類学者) ジャイアントパンダ(双子の内、第二子は不測の事態のためのスペア。最初から死んでしまうようになっている) ツイン・スワッピング法(パンダの双子を両者ともに母親に育てさせるために、すりかえる方法) 着床遅延(ツキノワグマなどに見られる、受精卵が胚盤胞の状態になったまま細胞分裂を止め、子宮の中を漂う現象。食料の無い冬ごもりの時に出産することを避けるため、より多くの免疫の型を持った子を殖やす為の知恵) ハヌマンラングール(群れのリーダーが交代すると、そのリーダーは乳飲み子を殺して新たに自分の遺伝子を残そうとする) ブルース効果(新たなオスの登場によってメスの妊娠が中断、流産、吸収されてしまうこと) ジリス(授乳中のリスは動物性タンパク質の為に他のリスの子を食べることがある) 交尾排卵(ラッコやネコに見られる、交尾の刺激によって排卵が起きるという現象。オスが周囲にいない状態で排卵するのを避けている) ショート・ヴィジットの効果(兵士や漁師の妻にみられる、排卵後から月経までの妊娠しにくい時期であっても妊娠すること。チャンスをものにするために交尾排卵が起きているとされる。似たような例に、停電中やクリスマスといった大きな心の揺れが訪れる時は排卵が起きやすくなるとのこと) アヨレオ族(南米に住む先住民。正式な結婚を果たすまでにできた子供を、父親から援助が得られない・障害を持っている・きょうだいとの年齢が近いといった「育てられない」と判断した時に殺してしまう) 人間関係地域ファイル(HRAF) ヤノマミ(ブラジル付近に住む好戦的な部族。彼らも子殺しの風習がある) マーガレット・ミード(学問における問題を引き起こした人物。自分が望む情報、データを得るための質問を相手に見抜かれ、教えられた嘘の情報を基に『サモアの思春期』を出版した) ステップファミリー 福田史夫(霊長類学者。「子供を持った男女は、子どもが小学生以下の場合は決して再婚すべきではない」と、虐待事件について述べている) モソ(中国に住む集団。子育てをするのは全て血縁者であり、虐待のない集団とされる)
知らなかった動物の生態、より良い遺伝子を確率高く残すため我が子殺し、兄弟殺しは動物ではよくあること、 人間の虐待も動物の本能、より良い自分の遺伝子を残すための本能が残っているから起きるのではという
動物の子育て、先住民の子育て、現代人の子育て…と様々な角度からみる子育て。 人間として当たり前と思ってた考え方もあっさりと覆された気分です。何が正しいとか間違っているとかそういう問題ではなく、生きているものはみな根元としては一緒。だけど、今私が法律の存在するもとで生きてる以上感じなくてはならない感情...続きを読むとかは大事にしたいなって思いました。
久しぶりのレビュー。動物に見られる「子殺し」のメカニズムと、人間の児童虐待の関係について簡潔に述べられている。 生物に共通の「子孫繁栄」という目標を達成するためには、あえて子を殺すことも理に叶う場合がある。それは動物にとって、よくあるプログラムであるそうだ。そうすると「では人間は?」と考えてしまう...続きを読むのは避けられない心理だろう。今でも「子殺し」が社会的に認められている先住民族の例を挙げながら、人間にも潜在しているプログラムが現代社会において「虐待」として表見していると本書は指摘する。それは非常にショッキングである。 なぜ動物はあえて「子殺し」を行うのか。続きはこの本で。
タイトルとは裏腹に、育児放棄や虐待に関する考察の本。今でも文明の浸透していない原住民がいるということが驚きだった。母系性社会の方が子供を育てやすい、という考察を読み、女性のあらゆる意味での立場を見直すことで、もう少し子供を育てやすい社会を作れるのではないかと思った。
本当に怖いです。母性愛を信じている人は、読まないでください。 自分の遺伝子のコピーを残すことを最優先にするため、充分に育てられない、または自分の子ではないというときには、恐ろしいことが起こります。 しかし、これは動物だけではありません。人間も同じです。子どもへの虐待が、本能で行われている部分がある、...続きを読むというのは衝撃でした。 虐待を防ぐには、通報だけではダメ。育てやすい環境をつくること、その子を遺伝子的に大事にしてくれる人をつくること、いろいろ考えさせられました。
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本当は怖い動物の子育て
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竹内久美子
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