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Posted by ブクログ
「これ以上併読本増やすべきじゃないよなあ」と思いながら今朝ついつい手が伸びた今邑彩、文章の軽さもあり400ページ超ながらさっくり読めた。この頃気忙しくて読書が停滞気味だったので、いいリハビリになったな。
四部作である蛇神シリーズの一作目。今邑先生らしいミステリ寄りのホラー。主人公が訪れるいわゆる因習村に終始漂う不穏な空気感がたまらない。この手の民俗学ホラーって、解決パートの不自然な解像度の高さに鼻白むことが多いんだけど(「誰がなんの目的で地方のいち部落の習慣をそこまでクソ丁寧に記録しとるねん」というツッコミ)、本作は構成の工夫でうまく抑えられていて、このタイプの小説としてはお手本みたいな出来栄えだなと感心してしまった。
ただ、恐怖心はあまり煽られず。明るみに出る事実はおぞましいのに、どこかミステリ部分と比較して遠景におかれているような印象を受ける。四部作を読み進めれば印象は変わるのかも。これまで古本屋でこのシリーズを見た記憶がほぼないので、見つけられたらだけど……。
Posted by ブクログ
かつて蘇我氏との勢力争いに敗れて落ち延びた物部氏の末裔が
長野県の奥深い村で大神信仰を守り続けており、
そこでは古来から続く陰惨な祭りが現代まで受け継がれており・・・
といったやや気宇壮大な感のある伝奇神話ミステリーのシリーズ第1作。
「おいおいホントかよ(笑)感」のある神話の新解釈や神社の縁起、
蛇神信仰など民俗学的なウンチクなどは楽しめるのだが
作者の頭のなかに膨らんでいく神話と絡めた壮大な大河ストーリーに
作者自身が興奮しながらそれを書き記していくことに
いっぱいいっぱいな様子が伺えやや物語の進め方にぎこちなさがあるというか
文章そのものがストーリーを展開させるためだけにあって
読み進めていく中でのワクワク感やドキドキ感の演出まで
行き届いてないような印象を受ける。
もっと筆力がある作家が丁寧に書けばもっと面白くなった気がする
というとちょっと言い過ぎだとは思うけど、ちょっともったいない感じは否めない。
いやまあ、でも面白いです。
Posted by ブクログ
長野の奥地に、天照大神~物部氏という、日本の神話から創生に関わった子孫が隠れ住んでおり、その隠れ里で行われる奇祭に、村から離れ住んでいた、日女(ひるめ)の「血」を受け継いだ親と子が関わっていく。
ホラーというよりは、日本書紀を下敷きにした現代版ダークファンタジーで、第一部(親)と第二部(娘)で20年の隔たりが有る。「八日目の蝉」パターン?文章は非常に丁寧で、この直前に安部公房を読んでいたのもあって、読みやすいことこの上なし。
第二部も、第一部の未解決条項をきちんと消化していて、基本的に破綻もなく安心して読める。
ただし2点。一つは登場人物がこれっぽっちも人間味がなく、魅力がないため、ほとんどの人が誰にも感情移入できないであろう。非常に非現実的、非人間的な奇習に対して、ほとんど抗うでもなく、エスカレーターのように突っ込んでいってしまう。反論することが危険で拒否すべきであれば、その部分を描いたほうが、恐怖を掻き立てられるのではないか。
次に、動機が弱いのだな。「物部の頃から続いているから」というだけの奇習で「血を絶やさないために」以外の動機がない。動機がないため、都合よくぽんぽんと人が死ぬのは、過去の伝統以外で説明できないのはいかがなものか。
また、全体に漂う、狙って描かれた不快感(女性の弱い立場、性的な嫌悪感など)のようなものは、ほとんどが有ってしかるべきというものではなく、おそらくは作者の感情と、その正反対の裏返しの2通りであり、普遍的な気味の悪さというところまで消化・馴化できていないと感じる。
「痣」で次作へ繋げたのだろうが、うーん、次読むかなあ?という程度の作品だ。スリリングな展開はなさそうだしね。
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小説・文芸
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